ホーム 02【遊びに行く】 築140年の古民家で土間づくり!?度会町地域おこし協力隊が描く“関係人口”の未来

築140年の古民家で土間づくり!?度会町地域おこし協力隊が描く“関係人口”の未来

「土間づくりのイベントをやるんです」

そう聞いて最初に思ったのは、「土間って何だっけ?」でした。
古民家の玄関あたりにある、土足で入れるあのスペース。見たことはあるけれど、自分で作る機会なんてまずありません。

着任からわずか二か月の地域おこし協力隊が企画したそのイベントに興味をひかれ、現場を訪れました。
そこで目にしたのは、単なる土間づくりではなく、人と人、人と地域をつなぐ、度会町の新しい物語の始まりでした。

6月20日(土)、三重県度会郡度会町柳地区で、「土間でつくる、地域の未来」と題した古民家再生イベントが開催されました。
主催者は、度会町地域おこし協力隊の、原 洋隆さん喜多 新さんの二人です。

舞台は、原さんが協力隊を卒業する2027年3月の完成を目標に建設を進めている、昔ながらの日本を体験できる築140年の古民家。
この日までに原さんと喜多さんが準備を進めてきた土間づくり体験と、度会町名産のお米や地元食材を味わうBBQを通して、地域交流や地域への理解を深めるプログラムです。 

参加者は9人。
伊勢や松阪など度会町近隣からの参加者のほか、喜多さんの前職の後輩4人が東京から駆け付けました。
東京からの参加者の中には、三重県を訪れるのが初めてという人も。「これを機に三重へ行ってみたい」「古民家や田舎暮らしに興味がある」と参加を決めたそうです。
当日は、地域おこし協力隊の仲間やその家族も加わり、総勢20人ほどが古民家に集まりました。

主催者の一人、原 洋隆さんは、大阪出身。
自給自足の生活を求め、山海川の条件がそろった地への移住を考えていた時に、度会町の地域おこし協力隊の募集を目にし、2024年4月に着任しました。

地域おこし協力隊の任期は3年です。
「自然を活かしたアウトドアコンテンツの創出」をミッションに、1年目は、バイクで町中を走り、様々な人に会ったり行事に参加したりすることで度会町を知り、2年目には、卒業後民泊施設を開業できるように山と畑のついた古民家を購入。
同じく度会町への移住者である大工さんとともに、10年間空き家となっていた古民家の改修を進めています。

「日本の食料自給率をはじめ、持続可能性はこれからの大きな課題です。僕は、自分の子どもや孫、その先の世代が何があっても最低限食べていける力を持っていてほしいと思っています。そのヒントは、昔の暮らしの中にあります。そうした知恵や技術を体験できる民泊施設を作っています」と語る原さん。

協力隊2年目には狩猟免許も取得しました。
民泊での土間づくり、かまどづくり、古井戸の再生、手植え・手刈りの米づくりや畑作業、味噌や醤油づくり、炭焼き、椎茸栽培、狩猟、燻製づくり、露天風呂、バイオトイレ、ツリーハウス…。
度会町指定文化財「おうむ石」や倭姫の伝説がある「乙女岩」、県天然記念物である「火打石」など周辺の資源も多く、度会ガイドとして仕事を進めていくことについても可能性があると感じているそうです。

もう一人の主催者、喜多 新さんは、度会町出身のUターンです。
大学への進学を機に、「こんな何もない田舎に戻ってくることはないだろうな」と思っていた喜多さん。
東京や海外で、国際物流会社の貿易や事業企画の仕事をしていました。
その後、新規事業開発の会社でプロジェクトマネージャーを経験。
結婚し、家族で帰省すると、自然の中でのびのびと遊ぶ楽しそうな子どもたち。
その様子を見て、地元に戻ってこの環境で子育てするのもいいなと思い始めたそうです。

Uターンを決意した喜多さんは、「地方には仕事がないなら自分でつくろう」と2026年1月に起業しました。
そのころ、妻みゆきさんが、度会町で地域おこし協力隊を募集しているのを見つけました。
最初は、「私応募してみようかな?」と言っていたそうですが、移住後すぐは生活を整えてほしいという思いと、募集されていたミッションが「度会町のファンを増やす関係人口づくり」であり、喜多さんに適任であったことで、ご本人が目指すことに。

みゆきさんは埼玉県出身。
東京にいた頃は正社員として働きながら、遅くに子どもたちを保育園にお迎えに行っていました。
田舎暮らしを始め、初めての家庭菜園にも挑戦し、自然に癒されながら、パートとして働き、ゆとりを持って生活し、子育てできることに幸せを感じているそうです。

Uターンした喜多さんに、度会町に住む両親は、「帰ってきてくれてうれしい」と声をかけたそう。
幼い頃から喜多さんを知る町民たちも、「外に出ていく人ばかりで、若者が地元を盛り上げてくれるのを応援したい」とエールをくれました。
そして、Uターンを聞きつけた地元に残る同級生たちは、BBQを開いてくれた。
たくさんの期待を背負い、2026年3月に前職を退職し、4月に着任。
わずか二か月で、この土間づくりイベントをはじめ、様々な動きをスタートしています。

二人には心強い仲間がいます。

同じく地域おこし協力隊の水野 寛之さん(写真:右から2番目)。
岐阜県出身で、東京で映像や写真の仕事をしていました。
コロナ禍で仕事が制限されていた頃、趣味である釣りをしていて、ふと「田舎で釣りをしながらのんびり生活できないかな」と考えたそうです。
名古屋で開催された三重県移住フェスに足を運び、度会町に出会い、2026年1月に着任しました。
ミッションは、映像と写真での度会町の情報発信です。
イベントや伝統行事、学校の運動会など子どもたちの撮影。町が運用するInstagramや広報紙で活躍しています。
「今後は、度会町の四季の風景を撮影したい。直近では、夏の風物詩である鮎漁の撮影を予定しています」と水野さん。
喜多さんは、水野さんとのコラボイベント「プロカメラマンと行く鮎釣り撮影会」を企画していると話します。

そして、協力隊卒業生の先輩、度会町の集落支援員として働く木崎 高志さん(写真:左)。
4人で集まり、日常会話から生まれる新たな企画が続々と誕生しています。

さて、今回の土間づくりイベントも、そんな横のつながりから生まれました。
「度会町を知るきっかけを作るだけでなく、その後もふとした時に思い出してもらえるような体験を作りたい」という想いを持つ喜多さんが、卒業後を見越して古民家体験民泊施設の整備を進める原さんを見てひらめきました。

土間づくりには多くの人手が必要です。
喜多さん自身、学生時代に海外で住宅建設ボランティアに参加した経験がありました。
「みんなで一つのものを作る体験は、何年経っても忘れられない思い出になる。今しかできない土間づくりを通して、度会町とつながる入口を作りたい!」と、今回の企画が生まれました。

  • 地方創生や地域活性化に興味がある方
  • 地域との関わり方を探している方
  • 田舎暮らしや自然のある暮らしに興味がある方
  • 移住や二拠点生活を考えている方
  • 仲間と一緒に何かを作る体験をしてみたい方
  • 古民家やDIY、リノベーションに興味がある方

このような方におすすめと、広報について相談をいただいたのが、10年前に地域おこし協力隊として度会町からも近い大台町にやってきた私・キャスターマミでした。
私の当時のミッションは、移住定住促進のための町の魅力発信。当時主流だったFacebookやブログ、そして本メディア「OTONAMIE」も使い活動していました。
現在も、県をはじめ自治体のアンバサダーを拝命し三重県の情報発信を進めていますが、普段は観光分野がメインのため、「関係人口」という言葉が懐かしいと思い、「現場に行って取材させてください!」と申し出た次第です。

参加者「この機械、何ていうんですか?」
原さん「知らないなぁ。借りてきた古いものだから。ミキサーかな?これがあるだけで作業が何倍も早く進む!」

名前も分からない年季の入った大きな機械で土と石灰、塩化マグネシウムの入った水(にがり)を攪拌し、手作業で石を取り除く。

原さん「にがりを入れないと、土間が割れてしまう」

ミックスされた土だけの状態で、土間に運び入れ、平らに固めていく。
参加者「うまく体を使わないと痛めてしまいそう!」
参加者「こんなに地道な作業を昔の人はやっていたのか…」

BBQの食欲そそる香りがしてきました。

ふっくらと炊き上げられた度会町名産のお米と、焼きあがっていくお肉や野菜を囲み、古民家と山々を背景に、近くを流れる一ノ瀬川のせせらぎを聞きながら、和気あいあいと交流が深まります。

今回のイベントで舞台となった、原さんが営んでいく民泊施設。
ここで繰り広げられるのは、
土間づくりに始まり、かまどづくり、古井戸の再生、畑や田んぼ、味噌や醤油づくり、炭焼き、椎茸栽培、狩猟、燻製づくり、露天風呂、バイオトイレ、ツリーハウス…。
昔ながらの知恵と暮らしを体験しながら学べる拠点となります。

また、喜多さんは「WATARAI COMMONS構想」として、度会町と関わる人たちのための関係人口案内所づくりも進めています。

都市部に住みながら地域を応援する。
週末だけ訪れる。
移住を考える。
そんな多様な関わり方ができる未来を目指しています。

今回のイベントは、その第一歩。

土をこね、汗を流し、同じ食卓を囲む。
そんな何気ない時間の中で、参加者たちは度会町の自然や人の魅力に触れていました。

移住でも観光でもない、「また来たい」「誰かに紹介したい」という気持ちから始まる関わり方。
原さんや喜多さんが目指す未来は、そんな小さな縁を少しずつ育てていくことなのかもしれません。

土間が完成する頃、この場所にはどんな人たちが集い、どんな物語が生まれているのでしょうか。

今後の予定は、喜多さんが主宰する関係人口創出コミュニティのオープンチャットで発信されていきます。
ぜひ登録し、度会町とつながってみてください!

Watarai COMMONS | 度会町とつながる場

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