ホーム 01【食べに行く】 熊野古道馬越峠。絶景!紀伊半島。天狗倉山の山頂と世界初つけらぁめんを巡る旅。

熊野古道馬越峠。絶景!紀伊半島。天狗倉山の山頂と世界初つけらぁめんを巡る旅。

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私:えー!あの山頂まで登るんすか・・。

しまった、と思った瞬間だった。
熊野古道馬越峠と、その先に続く天狗倉山の頂上から、紀伊半島と海を撮影して記事を書くという別件の依頼があった。
私は、熊野古道松本峠(初心者向け・1時間30分くらいのコース)には行ったことがあった。
「どうせ同じくらいの距離だろう」と、勝手に思い込んでいたので、二つ返事で依頼を受けたのだった。

カメラマン:撮影しながらやと、往復3時間くらいかな。

山登りをされる人からすれば余裕かもしれないが、私は山に登ったことがない。
そして穏やかな伊勢湾の平野部育ちで、なぜか昔から少しだけ山が怖い。
なにより最近、3時間も歩いたことがない。
それにしても天狗倉山は不思議な山だと思った。
写真ではわかりずらいが、山頂に巨大な岩がある。

 

古道でストリートライブ!?

「そもそもトレッキングシューズとか持っていないけど、フツーのスニーカーとかでいいのかな。ヘビとかヘンな虫とかいたらイヤやな」などと、小さな不安を抱きながらスタート。

ストリートミュージシャンをしている友人も同行することになったのだが・・、

「え、なんでギター持ってきたの?頭がおかしくなったのかな・・」と思いながら、後ろを歩いていた。

少し歩くと、赤いニットを被った夜泣き地蔵があった。
石に囲まれた地蔵は、所謂一般的なそれの形ではなかった。
そして積み上げられた小石。
なんだか原始的、プリミティブな雰囲気だった。

石畳み、木々、そして差し込む穏やかな冬の太陽という、THE熊野古道的な写真が撮れそうな場所で、太陽の光待ち。
すかさずギターを取り出すストリートミュージシャン。

カメラマン:古道もストリート、やね!

「明日死ぬんだと分かっていても、何故だか仕事に行くんだろな。周りの陰口が怖いから、また無理に笑う唇」
妙に切ない歌詞だが、冷たい冬の風に乗って流れたそれは、心地よかった。
森の中で響くアコースティックギターは、いつもと違って聞こえる気がする。

 

自然の中を前に向かって歩く

最初は冗談も言いながら歩いていた3人だが、登るにつれ、会話も息も途切れてきた。
そして、私はスタート時には不安しかなかったのだが、歩き進めるにつれ少し気分がのってきた。

目には木々、苔の鮮やかで深い緑、見上げれば空の青、耳には鳥の声。
ただただ自然の中を歩く。
「空気が美味しいってこういうことか」

私は、空気が美味しい十分な田舎に暮らしていているが、尾鷲ヒノキなどの木々の香りがする空気。
身体の隅々まで染み入っていった。
前に向かって歩いていることを身体が認識していると、人はマイナスなことを考えにくくなるのかも知れない。

体力的に歩くことに集中し、三人の歩く足音が鳴る。
「昔の人は、何を想ってこの道を歩いたのだろう」
ふと、頭を過ぎった。

馬越峠は熊野古道伊勢路。
古来より、熊野本宮への参詣道だった。
蟻の熊野詣でといわれるほど、栄えた時期もあった。
平野部が少なく深い山々から、急にリアス式の海岸や、日本一長い砂礫海岸が広がる紀伊半島の東側。
日本人のルーツである自然崇拝。
そのメッカといわれる紀伊半島、熊野。
詣るためだけに、一心に歩き続けた古来の人々。
それほど、詣ることが大切だった時代。
そして今の時代に、欠けていること、とは・・。
木の国、紀伊半島の深い森を歩くと、いろいろな想いが巡った。

 

肌で感じる自然崇拝

熊野古道馬越峠の終着地に到着。
ここからは石畳みで舗装されていない山道。

想像より急な道が続く。
しかし登っていくと、チラっと美しい海が見えてきた。

私:山って山頂に近づくほど、道が急になるんですね。せーの!

と、かけ声が出てしまうくらい、一歩が急になったりした。
そしてついに山頂に到着。

山頂の岩の向こうには、息を吞む美しい風景が待っていた。

この風景を見ていると、自然崇拝のルーツである紀伊半島を、肌で感じている気分。

山頂には修験道の開祖とされる、役行者(えんのぎょうじゃ)が祀られている。

 

若いうちに流さなかった汗は、老いてから涙となって返ってくる

さらに山頂には、巨岩があった。

「これは登るのムリやな・・」とあえて触れなかったのだが、友人はそそくさと登っていった。

私:私はムリです。
カメラマン:行ってみよかな。

以前、高所恐怖症といっていたカメラマンも登っていった。
しかも巨岩の上で楽しそうな話し声が・・。

photo:y_imura

「若いうちに流さなかった汗は、老いてから涙となって返ってくる(By イエローハットの創業者鍵山秀三郎さん)」の格言で、自己暗示していると、

友人:大丈夫やって!上がっておいでよー!

彼は何を言っているんだ。
大丈夫じゃないから登れないのだ。
でもなんか、巨岩の上は楽しそう・・。

よし!
何も考えずに登ってみることにした。

鎖は冷たく、逆に私の手は恐怖心で熱く湿っていた。
「あーこわい、これは下をみたらダメだ。でもダメって考えると見たくなる。あー、下を見るんじゃなかった。あーこわい。もう全然関係ないこと考えよう。えーと、普段使ってるシャンプーの銘柄は何やったかな。あ、あかん。そんなシャンプーみたいな滑りやすい触感のこと考えてたら落ちる。ぎーっ」

多分、高所に対して普通の感覚の方はスッと登れるレベルだ。
でも、高所恐怖症の私にしては、結構な冒険だった。

なんやかんやで巨岩の上に辿り着けた。

岩上では、津市でSamatwaというボディーワーク&アロマや本格足つぼマッサージ(日本一とのこと)、ヨガスクールなどを運営している方や、その娘さん、ご友人などとカメラマンや友人が笑いながら話しをしていた。

 

岩上でカップラーメンを食べていたファミリーもいた。
皆さんとても楽しそう。

ヨガポーズでパシャり。

一応、私はオトナなので一緒に笑ってはいた。
そう、皆さんは楽しいかもしれない。
でも・・、
ハシゴって
下りるときの方が
こわいんじゃ
ないの・・?

皆さん、ひとしきり岩上を楽しみ(楽しみきれなかった私・・)、いざハシゴを下りる。
皆さんのご厚意で「下りるのは最後から二番目が安全なんじゃないか」ということに。
後ろ向きになって、這いつくばるような姿勢で、足先でハシゴを探す。

「こわい。でも岩上で一夜を過ごすと多分凍死するから・・。でも、こわいー。ヒーヒーフー、ヒーヒーフー。あれ、これってお産のときの呼吸法?あ、あかん。そんな関係ないこと考えたら落ちる。ヒーヒーフー」

photo:y_imura

下りた人たちから「がんばれー!」「あと2mくらい行けたら、落ちても大丈夫!」「生まれたての子鹿みたいに足が震えてるでー!」

うるさい!
こっちは「ヒーヒーフー」で集中しとるのに、うるさいわ!
がんばれー!って、めちゃがんばっとるわ!
と叫びたいが、こわくてぐうの音も出なかった。

なんとかハシゴを下りた。
体力を使い果たした感。
でも、下山しなくては・・。

 

世界初、つけらぁめん

下山は撮影もなく、早めのテンポで進んだ。
しかし、石畳みを早めで下山すると、上りとは違うところの筋肉や関節を使うことを知った。
フーフーいいながら下山中に、

私:膝が笑うって、こういうことなんですね。
カメラマン:そやねー。あ、あぶねっ!!今、逆ひざカックンなりかけたわ。

曲がってはいけない方向に、ひざが曲がらなくてよかった。

下山後は登山口からすぐ近くにある、ら〜めんケンぞ〜へ。
OTONAMIEでも話題になった、無化調(化学調味料をいっさい使っていない)ラーメン。

私は、世界初という「つけらぁめんセット」を注文。
お店の方のご厚意で、夜限定だが昼間に出していただいた。

体力を使い、冷えた身体にラーメン。
美味しいごはんでお腹を満たし、帰路へ。

身体を動かし、自然を感じたり、
笑って、美味しいごはんを食べるとリセットされた感覚になった。

人間はシンプルだ。

 


 

熊野古道伊勢路馬越峠
三重県北牟婁郡紀北町
hp http://kihoku-kanko.com/see/594/

ら〜めんケンぞ〜
三重県紀北町海山区相賀1483-1 熊野古道馬越峠登り口そば
過去記事 http://kihoku-kanko.com/see/594/
tel 0597-31-4064

 

取材同行


y_imura


つちだ

 

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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