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『無化調』の先にあるもの…柔軟な発想で『らーめん ケンぞ〜』は世界を目指す!

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三重県の南部、いわゆる東紀州地方にも、高速道路が延伸し、アクセスが良くなっている、ということをよく耳にするようになった。

が、その一方で、各市町がスルーされ、国道沿いのお店や町中の商店などが寂れてしまうのでは?ということを心配している住民や商売人も少なく無い。

しかしそんなことにも負けず、努力や工夫を重ね、面白くてユニークで、唯一無二のお店こそ、スルーされてしまいそうな町の中に存在する。

今回はとってもユニークなラーメン屋さんのお話。
三重県の南部、国道42号線沿いの、紀北町と尾鷲市の間に『鷲下峠』(わしげとうげ)という峠がある。

その国道42号線沿い、『鷲下峠』の紀北町側に、『らーめん ケンぞ〜』というラーメン屋さんがある。

国道42号線、『鷲下峠』の紀北町側にある『らーめん ケンぞ〜』

 

『無化調』の意味はまた後ほど…

 

筆者(私)は無類のラーメン好き、というわけではないけど、どちらかというと『つけ麺』に目が無い。

筆者がこの『らーめんケンぞ〜』の名前を知ったのは地元新聞記事でのこと。
それは世界初の『つけラーメン』を開発した、という新聞記事だった。

『つけラーメン?』
『世界初?』

つけ麺好きの私は、さっそく『らーめん ケンぞ〜』に行ってみた。。

 

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パッと明るい店内は、もともとレストランだった場所。

 

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なにやら気になるメニューがたくさん…

 

 

メニューを見てみると…あった! 世界初の『つけラーメン』。
正確には『つけらぁめん』らしい。そして『チャーめし』なるものが付いてくるらしい。(ちなみに『チャーめし』とはチャーシューの細切れ入りご飯のこと)

果たしてメニューにある『3つの味のお楽しみ。』とは何か?

さっそくオーダーしてみる。
(ちなみに『つけらぁめん』は夜のメニューのみです)

これが世界初の『つけらぁめん』!



向かって左がラーメンで、塩ベースのあっさりしたスープ。
そのまま食べてももちろん美味しい。少し薄めの味付けになっている。


スープの中にある麺を出し、そのまま口へ運ぶ……のもいいが、それをまた別のスープに付けてから食べる。

『つけらぁめん』を楽しむ場合は『ケンぞ〜』オリジナルの『トリプルスープ』につけて食べる。『トリプルスープ』は少し濃い味付けになっている。

スープからスープ、そして口へ…それがこの『つけらぁめん』の正体かと思いきや、それだけでは終わらなかった。

さらに、最初の塩ベースのスープを、一緒にメニューに付いてくる『チャーめし』にかけて食べると雑炊のような形でも楽しめる。

『つけらぁめん』は、一つのメニューでいくつもの楽しみ方ができる。
これが『3つの味のお楽しみ。』の意味だった。

店主曰く「いくつもの食べ方が楽しめる『ひつまぶし』の発想で、ラーメンのメニューを作りたかった」とのこと。

ラーメンとしてもつけ麺としても大変美味しく、何より『チャーめし雑炊』のおかげで、お腹いっぱい楽しめる逸品だった。

 

それからというもの、『らーめん ケンぞ〜』の存在が気になり、足繁く通っているがその都度、新しいメニューが出来上がっている。


ある日は『鶏白湯らぁめん』が新しいメニューに加わっていた。
(なんと4日煮込んでスープを作るらしい。スープは全て『無化調』とのこと。『無化調』の話はまた後ほど…)

 

ある日は『カレーめん』『カレーつけ麺』がメニューに加わっていた。
(ちなみに『カレーめん』『カレーつけ麺』はこの日だけの限定メニューでした)

店主曰く「カレーは食材、調理方法などは、東洋と西洋では全然違う。その東洋と西洋の食材、調理法を合わせ、和のテイストも交えて作った」とのこと。そして「宗教と国境を越えて、老若男女誰でも食べられるようにした」とのこと。

確かにメニューにも『世界の食愛、調理方法を合わせた ワールドカレー!』と書かれてる。

カレーのメニューひとつになんだかとてつもなく壮大な世界観と思想が込められていた。

 

『らーめん ケンぞ〜』には他にも気になるメニューがいっぱい。

例えば『幻のかきだしラーメン』。

写真では「12月より!」となっているが今年は1月から、とのこと。

紀北町の白石湖で養殖され、『幻の牡蠣』と称される牡蠣。
その紀北町の特産品である『幻の牡蠣』から出汁をとったラーメンを提供している(冬期限定)。
牡蠣の出汁が入ったスープの味は濃厚美味。
もちろん牡蠣の身も入っている。

その他にも地元産の『あおさ海苔』をふんだんに使った『あおさラーメン』(こちらも期間限定)など、季節の食材、地元食材を使ったメニューが1年を通してメニューにのぼる。

そしてなぜかラーメン屋さんなのに、『ステーキ』もメニューにある。
(夜間限定)

ラーメン屋さんで出されるステーキとはどんなものかと気になって夜に行って注文してみた。

 

お肉はオージビーフの最高級ランク『プライム』を使用。 「『プライム』のお肉は世界一です!」とのこと。

なんでラーメン屋さんなのにステーキがあるの?と聞くと、店主曰く「俺が食べたかったから」とのことだった。

赤身のジューシーなお肉で、ラーメン屋さんで食べるステーキは『お肉食べたー!』という満足感でいっぱいだった。

 

とにかく、行く度に色んなメニューがあったり、色んなトッピングが楽しめたりするので、飽きることがないお店だ。

 

『らーめん ケンぞ〜』の『トリプルスープ』を使った看板商品『ケンぞ〜らーめん』。

 

 

『鶏白湯(とりぱいたん)らーめん』。

 

 

『あおさらーめん』。磯の香りが濃厚。あおさノリがラーメンの味に深みを与えています。

 

こちらは『まぜめん』。筆者おすすめ!

 

こちらは肉増量のトッピングを追加したラーメン。 このボリューム感!

 

『らーめん ケンぞ〜』はラーメンやつけ麺によって4種類の麺を使い分けている。
(麺は全粒粉入り、無添加のものを使用)

 

そして『ラーメンケンぞ〜』の一番の特徴は『化学調味料無使用』、いわゆる『無化調』である。

なぜ『無化調』なのか?
なぜこんなにも発想豊かなメニューなのか?

色々なこだわりが感じられる『らーめんケンぞ〜』の店主、『ケンさん』にまとめて話を伺った。

ケンさんの出身は『らーめんケンぞ〜』のある紀北町のお隣、尾鷲市。
尾鷲市で高校卒業まで過ごし、その後、東京に出た。
東京に行ったのは「音楽をやりたかったから」、とのこと。
音楽は兄の影響だったらしい。
「中学の時に、ハードコアに目覚めて。それからずっと音楽をやってた。本当は美術をやりたくて、美術の勉強がしかったんやけど、色々あって、兄が東京にいたからとりあえず上京して。」

 

東京でバンド活動をやりつつ、さまざまな飲食業界で働き、生計を立てた。
奇抜なヘアスタイルやピアス、タトゥーのスタイルでも唯一受け入れてくれるのが飲食業界だった。

ケンさんが上京した頃、世間はバブル景気だった。東京には色々な食文化やライフスタイルが溢れていた。色々な飲食店が様々なスタイルで開店していた。

ケンさんも、そんな東京の真ん中で、音楽活動をしつつ、飲食業界を渡り歩いた。

一時は芸能事務所にも籍を置き、CMなどにも出演したらしい。

東京で様々な飲食業界を経験し、34歳の時、帰郷。

ずっと飲食業界で働いていた経験を元に2013年、ラーメン屋『らーめん ケンぞ〜』を開業した。

しかしなぜにラーメン屋さん?

 

「昔っからラーメンが好きで、よく食べ歩いてたからね。で、こっち(尾鷲)に帰ってきて、自分が食べたい味のラーメン屋さんが無くて。
それで自分でやった。」

 

ラーメン屋さんを開業して、よく聞かれることがあるらしい。

 

「「どこで修行してきたの?」って(笑)それはよく聞かれるけど、別にどこかのラーメン屋さんで修行したとか、そういうことはない。
全部、独学。でも、ずっと飲食の業界にいて、色んな料理を作ってきたから、その時の経験と知識を活かして。」

 

確かに、どこかのラーメン屋で修行し、その後独立となると、その枠や域を出ない。
「らーめん ケンぞ〜」のメニュー作りがユニークなのは、色々な飲食の業界を渡り歩いてきたからこそできたものなのかもしれない。

 

「独立とか独学って、そんなに難しいことじゃない。ただ、理想の味を追い求める、日々の研究心と探究心があれば(なんとかなる)。
今でも色々チャレンジしてずっと理想の味を追求してるから……まあ、そこはコストの問題もあるけど、味は当初より変化してるし、当初よりもずっと良いものを出せてると思う。」

 

『無化調』が『らーめん ケンぞ〜』の最大の特徴のようだが、『健康志向』を追い求めてのこと?

 

「いや、それもそういうわけじゃなくて。
色んな所(飲食店)で働いてきて、飲食業界の裏側をいっぱい知っちゃって(笑)
化学調味料とか、食品添加物とか、油とか、塩分とか……そういうのを使えば簡単に美味しくなるし、そういうものを使っても(お客さん側は)誰も気付かないから、けっこう使ってるお店が多くて。
俺も、知ってて、使ってた。でもやっぱりそういうの(化学調味料や食品添加物)は身体に悪い。
だからずっと、身体に悪いことを知ってて使ってる、っていう、どっかに罪悪感というか、そういう「心のひっかかり」みたいなのが長いことあって…今は、そのことに対する罪滅ぼしの意味もあるし、それ以上に、手間をかければ無化調でも美味しいものができるという自信のようなもあるから。だから別に『無化調だから健康にいい』というのを売りにしていきたいわけじゃなくて、『無化調でも美味しい』ということでやってる感じ。」

 

『健康志向』を目指してやってきたわけではない。
化学調味料を使わなくても、化学調味料を使ってる料理よりも美味しいものを作る事ができるという自負。

しかし、一方でこんなエピソードも。

ある時、一組の家族が『らーめん ケンぞ〜』を訪れた。

その家族は子どもにアレルギーがあり、家族そろって同じものを食べられないことが多く、外食もままならなかったらしい。

しかし、その家族の子どもは、『らーめん ケンぞ〜』のラーメンを食べてもアレルギー反応は出なかった。
家族は、子どものアレルギーは卵や小麦に原因があると思っていたが、不思議と『らーめん ケンぞ〜』の麺を食べてもアレルギーは出なかった。

同じ『麺』でも、アレルギーが出るものと出ないものがある。

ケンさん曰く、「たぶん化学調味料や食品添加物に反応している」とのことだった。

それ以来その家族は度々『らーめん ケンぞ〜』を訪れるようになった。

家族で外食できる歓び、家族で同じものを食べることができる歓び。
その家族からケンさんは感謝の言葉を伝えられ、自分の仕事に誇りを持った。

 

『らーめん ケンぞ〜』は、いつ来ても何を食べようか迷ってしまう。

ラーメン屋さんは大体メニューが『定番化』している。
定番化しているからこそ、『あそこのお店のあれを食べに行こう』という感じで行く事が多い。

その点『らーめん ケンぞ〜』は、季節のメニューもあるし、店主お勧めの『その日だけの特別メニュー』を勧めてくれたりする。

何を食べようか迷った時は、『らーめん ケンぞ〜』へ。
思いもよらないメニューに出会えることもあるラーメン屋さんなのである。

 


らーめん ケンぞ〜

住所:三重県紀北町海山区相賀1483-1 熊野古道馬越峠登り口そば
営業時間:11:00〜14:30 17:00〜21:30
定休日:毎週火曜日の夜 第3日曜日
電話:0597-31-4064


 

 

たかやん

たかやん。OTONAMIE公式記者。三重県尾鷲市にあるカフェ「Scale」で働く茶坊主。コーヒー、本、映画、人文学、デザイン好き。趣味は園芸とウクレレとカメラ。フリーペーパー製作に関わっていた経験を活かして、尾鷲市のカフェからのんびりレポートいたします。得意ジャンルは人物紹介、お店紹介、イベント、町ネタ。

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