ホーム 02【遊びに行く】 男女のシンボルが合体する三重の奇祭『ごんぼ祭り』はこれからも残すべきお祭りだ。

男女のシンボルが合体する三重の奇祭『ごんぼ祭り』はこれからも残すべきお祭りだ。

2月11日は建国記念日。
この日、三重県では”日本を代表する奇祭”が行われた。その名は「ごんぼ祭り(牛蒡祭り)」。

以前も「OTONAMIE」では、「ごんぼ祭り」を取材させてもらった。こちらの記事も併せて読んでもらいたい。

・映画を超えるリアリティー! 三重県の奇祭『ごんぼ祭り』@津市

日本には多くの「奇祭」が存在する。特に今回取材を行なった「ごんぼ祭り」は一見ユニークかつ「ネタ?」と思われそうだが、約500年ちかく続く歴史ある御神事である。

こんなにも長く続き人々に大切にされている理由を、実際に参加をしたことで実感したので、みなさまにお伝えしていきたい。

 

舞台は三重県津市の美杉町に鎮座する「仲山神社」

「ごんぼ祭り」が行われるのは、津市の中心市街地から約1時間ほど車を走らせると辿り着く美杉町。

三重県の県庁所在地である津市の市街地はオフィスや様々なお店が立ち並ぶ都会だが、同じ市内でもここまで雰囲気が変わるのかと思うほどの自然豊かな地域。

この美杉町に鎮座するのが今回のお祭りが行われる「仲山神社」だ。普段はとても静かで気持ちよくお参りができるこちらの神社も、2月11日は地域のかただけでなく全国各地から信仰をしているかたや、奇祭マニアといわれる人たちも訪れる。

 

三重の奇祭「ごんぼ祭り」がスタート

僕が会場に着いたのはお祭りが開始される朝の10時。すでに境内では「本殿祭」が開催され大勢の人が本殿前に集まっていた。

この本殿祭が終わると「ごんぼ祭り」のメインとなる「蟇目神事」が行われる。

「蟇目神事」は地域の氏子さんの厄を祓う「弓神事」から開始された。「弓神事」では二人のお弓役が的をめがけて弓を射る。

一の矢は天の厄をめがけ天に、二の矢は地の厄をめがけ地面に、三の矢は的をめがけ、そして最後の四の矢は厄を払った氏子さんの安全を祈り弓を射た。

大勢の参加者が見守るなか、的にめがけて射るお弓役の勇ましい姿を目に焼き付け、続いて「マナイタ行事」が行われた。

この「マナイタ行事」では出世の象徴としてボラをおろしていく。おろすときには直接ボラには触れずに包丁をいれていくようだ。

この「マナイタ行事」が終わると、いよいよこの奇祭の一番の盛り上がりどころである男根と女根の神輿の行列を見ることができる。

 

神社を練り回し最後は合体する男根と女根の神輿かつぎ

まず最初に「これはネタではない」と言っておきたい。

そもそもなぜ男性のシンボルと女性のシンボルを象徴しているのかというところが気になるところだろう。

こちらの「仲山神社」でお祀りする神様「金山彦命(かなやまひこのみこと)」の「男根崇拝」につながっている。

元々は鉱山や鍛冶、金属の神様といわれているため「商売繁盛」「金運アップ」などのパワースポットで有名な神社に祀られていることが多いのだが、「金山彦命」の別称「金生大明神」の「金生」が「金精」とも書かれることから「性の神」とも呼ばれる。

また鍛冶で使われる「鞴」のピストン運動が「男女の性交」をイメージさせることから「男根崇拝」に繋がっているという説もある。

杉の名産地でもある美杉の、杉の木で作られた男根の神輿はとても立派で、子孫繁栄や子宝祈願のご利益をもらえそう。

こちらが女根の神輿。五穀豊穣などの象徴にもなる「わら」でできている。こちらは二年に一度作り直すそうだ。

こちらの男根型の御神木は、神輿とは別に神事中に触れることのできるもので「子孫繁栄」のご利益をいただけるという。

いよいよ、神社の境内へ向けて神輿の行列が進み始める。
「ワッショイ」という掛け声で「男根型の御神木」を先頭に、「男根神輿」「女根神輿」と続く。

この神輿を担ぐのは神社の氏子さん。

境内に着くとクライマックスに向けて「男根神輿」と「女根神輿」が境内をぐるぐる回り始める。それを見る参加者の歓声も徐々に大きくなっていき、境内は熱気で溢れていた。

いよいよ合体のために「男根神輿」と「女根神輿」が傾きはじめる。
ここでアクシデント・・・・。

最高の瞬間に会場の盛り上がりに負け、合体の瞬間を撮影できず!!

この合体の瞬間は来年の「ごんぼ祭り」で実際に生で見てもらいたい。

ことが終わり、最後には本殿に祭られるこの二体の神輿に向かい礼が行われ、お祭りは終了した。

 

会場では強壮食物の「ごぼう」をいただくことができる

「ごんぼ祭り」では、神社のふもとにある「ごんぼ会館」で、ごぼうの味噌あえ「祭ごんぼ」をいただくことができる。

「祭ごんぼ」は山椒味と唐辛子味の二種類あり、どちらもこの日のために地元のかたが10日間かけて作るそうだ。とても立派なごぼうで香りもよく美味である。

玄米と小豆のお粥も一緒に振る舞われるが、こちらもとても温かく優しい味で、至福を感じる。

「祭ごんぼ」はお祭りの会場でも販売されており、僕が会場に到着したときにはすでに山椒味は売り切れだった。唐辛子味もとても美味しかったのでお土産に購入。

 

老若男女の最高の歓声と笑顔で溢れる「ごんぼ祭り」

今回、はじめて「ごんぼ祭り」に参加したが、一番驚いたのは参加者の年齢層の幅広さだ。
高齢のご夫婦から、小さな子供まで様々なかたがお祭りを見守っていた。そしてこの”奇祭”のクライマックスには歓声と笑顔で会場が最高に盛り上がっているのを目の当たりにし、きっと来年もこの「ごんぼ祭り」はさらなる盛り上がりを見せるのだろうと感じる一日だった。

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