私には峠越えしてでも行きたい、秘境のカフェがある。松阪市飯高町から国道422号線、湯谷峠へ。
過酷な道のり、これ国道なんですって。
熊…出ないわけがない。「鹿で廃車」も十分あり得るこの道。
携帯が繋がらないと思うと、ただただ心細い。
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徐々に山あいの集落が見えてくるとほっとする。秘境の和菓子カフェ、かなみどうに到着!(大台町側から向かえば、それほど過酷な道のりではありません。)
春は桜餅、夏は生麩まんじゅうにかき氷、秋は栗きんとん、冬はおしるこや苺大福などなど…季節に応じて様々な和菓子が並ぶ。今日は、お茶好きの私がどうしても食べたかった「抹茶しるこ」を注文。
練り切りに使われる白こし餡に、注文を受けてから宇治抹茶をたてて合わせるのだという。臼でついた餅はモッチモチ。
保木正志さんと妻の保木絵里子さんは、2021年9月に大台町栗谷に「和菓子カフェかなみどう」をオープン。
名古屋市出身でオーダー家具店を経営していた保木さんは、自然豊かな地域への移住を考えていた頃、高齢の店主が営む和菓子店の事業を引き継ぐ、地域おこし協力隊の募集が目に止まり応募したのだという。
2019年6月より大台町絵馬の老舗和菓子店「法菓堂」で修業をしながら、尾鷲や石川県まで出向き、別の和菓子店でも精力的に和菓子作りを学んできた保木さん。2020年4月には、自身のブランド「奏笑堂(かなみどう)」を立ち上げ、法菓堂店舗や道の駅で、オリジナルのどら焼きなどを販売。認知度を上げてもっと遠方の客にも楽しんでもらいたいと、和菓子カフェをオープンすることに。国道422号線沿いの静かな山里に開いた店は、地元客や、関西方面からのツーリング客が立ち寄り賑わっている。
この地域は人口現象により和菓子の需要も減り、廃業した和菓子店が多いのだと保木さんは言う。和菓子販売だけでは無く、くつろげるカフェスペースではなんと、本格的なバターチキンカレーを食べることができる。ヨーグルトにしっかり漬け込まれた鶏肉は柔らかくてほろほろ!
遅く起きた日に、朝キッシュ(期間限定)しに来たことも。
行き帰りの心細い峠も、春には桜色に。その頃にまた、ふらっと山を越えて来ます。
(和菓子カフェかなみどうさんは2024年5月6日に閉店します。心地よい時間をありがとうございました。)
和菓子カフェかなみどう
住所:多気郡大台町栗谷170−4
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読んで頂き、ありがとうございます。三重県松阪市の山間部、70もの橋が架かる香肌峡在住。地元の写真部としても活動しており、香肌峡を旅するように暮らしています。フォトスポットやクセになるディープなお店をご紹介したいです。