ホーム 04【知る】 大事なものはいつも自分のそばにある。鈴鹿のお寺で紡がれる若き住職夫妻と檀家さんとの絆。

大事なものはいつも自分のそばにある。鈴鹿のお寺で紡がれる若き住職夫妻と檀家さんとの絆。

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幼いころは家族だけだった小さな世界。

友達、部活の仲間、先生、恋人、職場の人。

年齢と共に世界はどんどん広がっていき、

時代と共に顔も知らない誰かとも一瞬でつながれるように。

 

便利なこの世界で、無限に広がったつながりは

私たちを楽しませてくれることもあるけど、

手放しにいいことばかりだとは言い切れない。

 

常に新しい情報と隣り合わせで、

目に見えない誰かと自分をつい比べてしまう…。

そんな日々に疲れきっていた2017年の年末、

私は中学時代の友人に会いに行くことにした。

 

友人の名は中野由佳さん。

中学3年生の時のクラスメイトでかれこれ20年の付き合いになる。

由佳さんは私のパワースポットのような存在。

彼女と話すと思い悩み、混沌とした気持ちにすっと光がさすようにあたたかな気持ちになるのだ。

そんな彼女に会いたくて、鈴鹿の椿大社のほどちかくにある西岸寺というお寺に向かった。

 

 

夫婦で贈る檀家さんへのお便り「西岸寺通信」

 

西岸寺は室町中期に建立され、約550年の歴史がある真宗高田派の由緒あるお寺。

現在は由佳さんの夫である中野達照(たっしょう)さんが住職をつとめている。

 

10歳で得度(出家して僧侶となる儀式)し、24歳で祖父の跡を継ぎ西岸寺の住職になった達照さん。

「兄が継がなかったから僕が継いだ。小さい頃からなんとなくそうなるような気がしていました。」

お寺というと明かりが少なく暗いイメージだが西願寺のお堂はとても明るくて美しい!

平日は真宗高田派の総本山である専修寺にて勤務し、土日は西岸寺で法事や檀家さんへの応対など忙しい日々をおくる達照さん。

 

そんな夫を支える由佳さんが住職の妻として心がけていることは…。

「お寺の奥さんは『坊守(ぼうもり)さん』とよばれます。お坊さんをお守りするのが私のお役目。住職が毎日元気に過ごせるようにサポートすることです。」

 

住職と坊守として、また夫と妻として、なくてはならないパートナーシップを築いている達照さんと由佳さん。

そんな二人が発行している「西岸寺通信」。

お寺の行事や仏教にまつわるコラムを達照さんが、料理のレシピを紹介する「坊守さんのお菓子屋さん」を由佳さんが担当している。

 

元々は先代から引き継ぎ、達照さんが1人で製作していたが、結婚を機に「坊守さんのお菓子屋さん」のコーナーがスタート。

栄養士の資格をもち、以前はパティシエとして働いていた由佳さんが紹介するレシピはどれもおいしそう!

レシピの質問をうけたり、「いつも楽しみに見てるよー!」とたくさんの方から声を掛けられるそう。

二人が手掛ける西岸寺通信は檀家さんとの良いコミュニケーションツールになっているようだ。

 

 

訪れた時にいただいた花びらもち。由佳さんの作る手間ひまかかったお菓子や料理はどれも絶品!法要の時にもふるまわれる。

 

 

 

達照さんの仏教に関するコラム「お寺はなぜキラキラなのか」読むだけでとても勉強になる!

 

子供を想う気持ちから始まった「花まつり」

西岸寺では毎月お釈迦様の生涯や仏教にまつわる言葉などについて学ぶ勉強会や、報恩講(親鸞聖人の祥月命日の法要)の後、みんなで持ち寄ったおにぎりと由佳さんが作ったお味噌汁を食べる「おにぎり持って報恩講」など様々な行事を行っている。

私は親戚の法事でしかお寺と関わることがないため、法事や葬儀以外にもこんなに様々な行事があることに驚いた。

 

さらに昨年、西岸寺では新たに「花まつり」という行事をはじめた。

仏教での「花まつり」とは、“お釈迦さまのご生誕をお祝いする日”のことです。お釈迦さまの誕生日である毎年4 月8 日の前後には、宗派に関係なく全国の寺院や地域をあげてお祝いしています。甘茶(あまちゃ)のお接待、たくさんのお子さんたちと稚児行列など、さまざまな法要やイベントを行っています。(全日本仏教会

子供たちも仏様に甘茶をかけてお祝をします。お母さんと一緒に手をあわせてペコリ。

 

花まつりでは小さなお子さんに楽しんでもらえるようにと、県内の劇団が行う人形劇を観劇する時間も設けた。

お寺に初めて参った記念になるようにと、お子さんの手形の色紙を作成。そこに住職がお子さんの名前を一人一人書き記した。

 

花まつり当日、達弘さんは子供たちの名前を書くのに大忙し!

 

取り組みを始めたきっかけは、自分たちの子供が生まれたことだったと話す二人。

「自分の子供が生まれて気づいたことがあって。小さい子が昔より、お寺に来る機会が減ってしまったなと。そこで花まつりを子供むけにやってみたらいいんじゃないかなと思ったんです。」

 

この取り組みは大成功。

檀家さんのお子さんやお孫さんだけでなく、二人の知人も集まり、

たくさんの子供たちで大賑わいだったそう。

 

二人の宝物律希くん。お堂の太鼓をたたいて楽しそうに笑う笑顔に癒される。

 

「身近な人をいとおしく思い、大切にし続ける」

 

「こんな素敵なイベント、どうしてもっと宣伝しないの?」と私が尋ねると、

「西岸寺は檀家さんや地域の人たちのおかげで成り立っている。まずは檀家さんのお子さんやお孫さんが楽しんでいただけることが大切だから」と、二人は言う。

まずはお寺を支えてくれる人たちに感謝し、大切にするという考え方が夫婦の間にしっかりと根付いている。

 

二人と話していて、自分は身近な人への感謝が足りていないのではないかと気づいた。

身近にある大切な存在を忘れ、他人の活躍ばかりに目を奪われて、自分の「当たり前」をちっぽけに見てしまっていたのではないだろうか。

まず、身近な存在をいとおしく想い大切にする。

 

二人にもらった大切な気づきを胸に、私はあたたかな気持ちで新年を迎えることができた。

本当にありがとう。

 

除夜の鐘がなる大晦日。お寺への道筋をやさしく竹灯籠が照らす。

 


西岸寺

三重県鈴鹿市山本町1073-1

059-371-0651

 

今年の花まつりの開催は平成30年4月8日(日)に開催を予定しています。

今年は菰野のほがらかカンパニーを招いて絵本の読み聞かせを行う予定です。

 

 

 

ミカミ ユカリ

OTONAMIE×OSAKA記者。三重県津市(山の方)出身のアラサー女子。18歳で三重を飛び出し、名古屋を経て、現在大阪暮らし。昔は当たり前に感じていた三重の美しい自然豊かな景色。今の私にはがかけがえのない癒しです。
得意ジャンル:歴史、グルメ、美容、健康、イベント

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