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≪三重軸の彼女≫ 少年ジャンプ+ 連載中の漫画家・みつちよ丸さん

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思いがけず「この人、三重県出身なんだ」と思った事がある人は意外と多い気がする。

例えば人気の女性歌手や、あのオリンピックメダリスト。プロフィールを見て思いがけず視線が止まる事もある。

 

でも「こんな人、三重にいるんだ」という驚きは滅多に無いように思える。

 

30代も間も無く半ばを迎え、今までふらりふらりと県内外を移動してきた筆者。

出会った人の数も徐々に増え、その中で前途の感情が湧き上がる回数も何度か経験してきた。

そしてそれは共通して女性に対して湧き上がる事が多い、ということにも気づく。

彼女らの「バイタリティ」「場所にとらわれない身軽さ」「前向きな気持ち」「愛嬌ある空気」が私の心を惹きつけるのであろう。

 

そんな三重に住んでいる、即ち三重県に軸を持ちつつ年齢や住所、立場を取り払って活動する女性を紹介したい。

 


 

少年ジャンプ+連載中の漫画家・みつちよ丸さん

 

今現在隔週で金曜日に更新中の漫画「生者の行進」を連載している四日市市在住のみつちよ丸さん。

猫をこよなく愛する1歳児と3歳児の母でもある。

筆者も少しお手伝いをさせていただいており、間近で彼女に接する日々はペンを走らせる音の中に時折笑い声が混じるのを聞く時間が流れる。

 

彼女が三重に来た理由は就職のため。同市内の化学系企業の研究者だった経歴を持つ。

しかし元来漫画が好き、子どもの頃から数多の漫画を読みふけっては、いつか描く側に回りたいという小さな火が心の中で燃えていた。

しかし、両親の勧めもあって大学に進学する。理系専攻で研究に明け暮れる中でも「漫画を描きたい」という想いは消えなかった。

そしてそれは就職し、結婚、出産を経てもー

 

* * *

 

漫画を本格的に描き始めたのは2013年に会社を辞めた時。立て続けにご主人のアメリカ勤務が決まり、長男の妊娠も発覚する。アメリカ生活ではどうせ時間があるのだからと、これまで描き溜めていた漫画を「少年ジャンプルーキー」という漫画投稿サイトに投稿してみたのだった。

 

すると、編集部から反応があり担当編集者が付くことに。

その編集者からの「連載グランプリに応募してみませんか?」という提案に出品をしてみたところ、見事その作品「生者の行進」がグランプリを受賞し、連載決定、今に至っている。

 

* * *

 

漫画家・妻・母親を掛け持つ彼女。慌ただしく過ぎる日々の中で「心に留めている5つのこと」を書き出してもらった。

 

ドMで良かったなと思う(精神的に)

「苦しい状況や、追い込まれているのが嫌いでは無いんですよね」と笑うみつちよ丸さん。痛い、苦しい、自らの不完全さは特にマンガを描くようになってから全て「作品に活かせるかも」と前向きに捉えられるようになったという。

「いつか子育ての辛かった部分も作品にできるかもしれませんね」と、どこまでもポジティブな姿勢を見せる。

 

泥臭い努力が性に合う

「コツコツとやる派なんです。要領よくはできなくて」と控えめに話す彼女。意味がある、無いに関わらず目の前の事を少しづつでも取り掛かる姿勢を常に保っている。

「例えば子どもが寝ている30分の間だけでも描いていたら半年に1つは作品ができていたんですよね。忙しい中だし、とそのせいにせず、10分でも5分でも時間があったら地道にやる、って決めています」

 

石橋は鉄骨で補強してから渡る

30歳を越えてからデビューした彼女。「体力的には若くしてデビューした漫画家の方には負けます。でも豊富な経験値のもとで作品を創作していくのは若い人にはできない事。それは説得力に繋がり、ストーリーの深さになり得ます」

また「貯金は大事。軍資金を貯めるための社会人時代でもありました」とも。いつの世においても先立つものはあって間違いなく、それが石橋を頑丈にさせるのは目に見えている。

いずれにせよ、一時期は会社員として勤務し、その時に働いて得られる喜びや辛さを経験した彼女だから語れるもの。実体験からの言葉は、力強く響いてくる。

 

自分と他人の感情を生物学的に分析する

一方で「最近では気持ちが沈んでいる時の方が努力できたり、アイデアが浮かんだりするから楽しめるようになってきたけど、未だに他人と比べるのは克服したい事ですね」とも語る。

誰かと比較してしまう事感情に苛まれつつも「これの気持ちも作品作りの原動力になっているし、生物としても自然なことだ、と落ち着いて分析するようにしています」とする冷静さを見せる。

泣いたり、自分に対してイラついたり。一般的には負の感情と呼ばれるものに対しても一歩引いた視点を持ち、客観視する事を忘れない。それが継続的に創作し続けられる姿となって表れている。

 

「自分は恵まれている」ことを自覚する

「作品作りの中で壁にぶつかっている時は人のせいにしたくなりがちだけど、初心に立ち返って、日本のこの時代に生まれてよかったと思い直すようにしています。もし別の場所や違う時代に生まれていたら、このような仕事はできていないと思いますから」

普段の暮らしの中では忘れがちな事だかその通りだとハッとさせられる。

子どもを授かるにあたって辛い場面も乗り越えた彼女。

「子どもたちがいて、旦那さんがいて。加えて好きな仕事をさせてもらえるだけでもありがたいと感じますね」と穏やか語る姿からは、充実感が窺い知れる。

 


 

作品に対して着実で誠実な創作をし、前向きな姿勢でいること。筆者が知る作り人はそこがベースになっている人ばかりで、そのような部分が惹かれる大きな要因となっている。

みつちよ丸さんももちろんその中の1人であり、今後の同行に注目していきたい人物。

今日も仕事風景の中に居る彼女は、真摯に画面に向かいつつも柔らかく、少しユーモラスな雰囲気を醸し出しているに違いない。

 

 

 

みつちよ丸さんの連載漫画「生者の行進」はこちらのリンクから⬇

【少年ジャンプ+】

https://shonenjumpplus.com

 

hiromi

hiromi。OTONAMIE公式記者。三重の結構な田舎生まれ、三重で一番都会辺り在住。デンマークに滞在していた事があるため北欧情報を与えてやるとややテンションが上がり気味になる美術の先生。得意ジャンルは田舎・グルメ・国際交流・アート・クラフト・デザイン・教育。

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