『june』 ー6月という名の雑貨店

『june』 ー6月という名の雑貨店

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三重県紀宝町ー。

この町の先にある『熊野川』を渡った向こう側はもう和歌山県。
紀宝町は三重県の最南端の温暖な町。
ウミガメが産卵に来る町としても知られている。

そんな紀宝町の、波の音が聞こえる小高い山の上に、『june』という名の雑貨店がある。

 

 

 

グリーンが溢れるお店の外観。
外観だけで「あ、いいお店だ」ってわかる。

 

 



お店の入口付近。もう期待が高まってウキウキしてしまう…
期待を胸に素敵な扉を開ける…

以下、『june』のお店の様子を写真でご紹介。

 


カップやソーサーなどの食器類。アロマ用品などもあります。
カップやソーサーなどの食器類。アロマ用品などもあります。

 

照明器具。最近はLEDを使った白熱級の電球もあります。
照明器具。最近はLEDを使ったアンティーク風の電球もあります。

 

アイアン小物。フックや取っ手などのパーツも取り扱っています。アンティーク風のDIYを楽しみたい方はぜひ。
アイアンのフックや取っ手などのパーツも取り扱っています。アンティーク風のDIYを楽しみたい方はぜひ。

 

 

やわらかい陽が差し込む店内は、自然とリラックスできる雰囲気。
やわらかい陽が差し込む店内は、自然とリラックスできる雰囲気。

 

空気中のの水分で生きるというエアプランツ。育て方やケアの仕方なども丁寧に教えてくれます。
空気中の水分で生きるというエアプランツ。育て方やケアの仕方なども丁寧に教えてくれます

 

ナチュラルなガーデニング用品も。
ナチュラルなガーデニング用品も。

 

室内でも手入れが多肉植物や植物のイミテーションも品揃え多数。うまく組み合わせると楽しくなりそう。
室内でも手入れが簡単な多肉植物や植物のイミテーションも品揃え多数。うまく組み合わせると楽しくなりそう。

 

 

多肉植物やエアプランツなどのグリーンの他にも、雑貨店ならではのガーデニング用品、アンティークの家具、外国製のラベル、照明器具、食器、小物などが所狭しと並べられている。

 

 

 

 

 

 

 

蚤の市のようなディスプレイの中からお気に入りを探すのは、宝探しのようで楽しい。
蚤の市のようなディスプレイの中からお気に入りを探すのは、宝探しのようで楽しい。

 

最近の雑貨店のジャンルで言うと、「シャビー」とか「ブロカント」とか、「ブルックリンスタイル」といったものにカテゴリーされるのかもしれないけど、なんだかそうやって無理にジャンルの枠に当てはめたくないような気持ちになってくる。

 

 

 

 

 

商品を売っている、というよりライフスタイルの提案、といったディスプレイで、ひとつひとつの商品の置き方や飾り方の中に、「普段の生活の中に、こんな風に取り入れてくださいね」「こんな使い方ができますよ」というメッセージが込められているよう。

商品の奥にも違う商品が隠れていたり、手に届きにくい所に置いてあるものも実は商品だったり…

オーナーさん、これはどういうこと?

 
「実は私がその商品を好き過ぎて、あまり売りたくないな、って(笑)だからわざと目立たないように並べたり隠したりしてるの(笑)」

 

なんだか商売っ気があるんだかないんだか、よくわからない雰囲気のオーナーさん。

 

「でもいくら私がお気に入りの商品を、目立たないようにディスプレイしても、見つかる人にはすぐに見つかっちゃうの。でもそれを見つけてくれた人はきっと(雑貨を)連れて帰っても大事にしてくれるだろうな〜、って(思う)」

 

大きめのインテリア雑貨や、イスや照明器具などは、

 

「一度商品を家に連れて帰ってみて、もしサイズや雰囲気が想像していたものと違っていたら、すぐに返品してもらったらいいですよ。」

 

と。

確かに、雑貨やインテリアの商品は、お店に置かれているのものと家に置いてみるのとでは雰囲気が違って見える。
店で見てみて、「これいい!」と思ったものでも、実際に家でディスプレイしてみると「なんか違う…」と思ってしまうことはよくあること…。

インテリア雑貨は、それ単体での善し悪しではなく、ライフスタイルに溶け込んでこそのもの。実際にディスプレイしてみるまでわからない。

『june』のオーナーさんは、そういうことろまで気を遣ってくれる、『雑貨愛』に溢れた人。

 

そんな『june』のオーナー、ほりじゅんこさん(以下じゅんさん)にお話を伺った。

 

オーナーのじゅんさん。はんなりとした熊野弁を話す、ゆったりしたお人柄。
オーナーのじゅんさん。はんなりとした熊野弁を話す、ゆったりしたお人柄。

 

まず気になったのは、建物のこと。

見た所新築の物件ではなく、改装物件のよう。

 

「この建物は、もともと亡くなった義祖父が経営していたカラオケ喫茶だったの。もう何年も使われていなかったこの建物を改装して雑貨屋さんにしたの。」

 

カラオケ喫茶を雑貨屋に改装するにあたり、建築業者からは「建物を壊して、新しく建てたほうが安くつく」と言われたそうだが…

 

「義祖父にはとってもよくしてもらって。その義祖父の建物を壊しちゃったら、思い出が全部無くなっちゃう気がして、壊すのが嫌でね?それに新しく建てるとなるとどこからどんな風に手をつけていいかわかなんないし、改装のほうが自分にとっては面白いと思って」

 

店の奥にテーブルとイスが置いてあるけど、もしかしてこのスペースはカフェが出来るスペース?

 

「飲食の営業許可を取ってないのでカフェの営業はやってないの。でもゆっくりとお話をしていくお客さんもいるから、そういうゆっくりと座れるスペースがあればいいな、と思って」

 

雑貨屋さんの奥にソファとテーブルが。カフェのように飲食するスペースではないけれど、お友達やお客さんとゆっくりお話できるスペースを作りたかったのだそう。
雑貨屋さんの奥にソファとテーブルが。カフェのように飲食するスペースではないけれど、お友達やお客さんとゆっくりお話できるスペースを作りたかったのだそう。

 

雑貨店をオープンしたのは2014年のこと。それまでじゅんさんは和歌山県新宮市にある服屋さんで長年働いていたらしい。
もともとアパレル業界で長く務めている人だった。

 

「いつか自分でやろう、と思って。そのうち自分でお店を持って雑貨屋さんをやろうと思ってたの。」

 

いつかやろう。そのうちやろう。
計画を立てて、ゆっくり、じっくりと。
いつかやってくるその時のことを考え、頭の中ではどんなお店にしようか、というイメージは膨らんでいた。

 

「服屋さんで仕事をしてる時も、いずれ自分は独立してお店を始めることはオーナーに伝えてあったし、周りのみんなからもじゅんちゃんはいずれ独立して雑貨屋さんをやるんだ、って思われていたみたいで…」

 

いつかは自分でお店をやるー。
そう思いながら、服屋で働き、数年が過ぎた…。

そんなある日、じゅんさんは友達に誘われて近所に新しくオープンしたというパン屋さんへ行った時のこと。

 

「先輩!?って声をかけられて。その新しく出来たパン屋さんというのが、私の学生時代の後輩がはじめたお店だったの。」

 

数年ぶりに会った学生時代の後輩が、立派な社会人になって独立していた。

 

「パン屋で働くその後輩の姿がなんだかキラキラとしているように見えて。やりたいことをやって、頑張っているいる姿を見て、素敵だなあと思ったの」

 

家に帰ったその後も、そのパン屋で働く後輩の姿がずっと頭を離れなかった。

その数日後のことだった。

じゅんさんは長年働いていた服屋さんに辞表を出した。

 

「いつか、そのうち、って思ってたけど。私もやらなきゃ、ってその時に思って…」

 

長い間先延ばしにしていた独立の計画は、急展開をみせた。

思いかけず、突然、その『いつか』はやってきた。
辞表を出してからの行動は早かった。
頭の中のイメージを具体化していく作業はとても楽しかった。

 

「なんでもっと早くやらなかったんだろう、って。」

 

案ずるより産むが易し。
やってみると、意外にもあっさり物事は進むもの。

あとは『その時』を決断するタイミングとほんの少しの勇気。

じゅんさんにとって、パン屋での出逢いが『その時』であり、後輩の姿が勇気を与えた瞬間だった。

 

 

 

準備期間を経て、2014年、雑貨店『june』が開店。

 

独立する前、そして独立した後で、なにか不安や悩みはなかったのだろうか?

 

「一歩を踏み出す前は、自分の好きなことを仕事にして、もしダメだったら、自分の好きなものが嫌いになってしまうんじゃないか、って。『好き』という理由だけで決めていいのかどうか、それが不安だった」

 

 

『好きなこと』が『仕事になるのかどうか』という迷いと不安。
しかし、その一方でこんな話も…

 

「夜中にね、お店のあの部分のディスプレイをこんなふうにしてみたらどうだろう、って思いつくことがあってね?そんな時は、もう次の日の朝が待ち遠しくて仕方なくなっちゃう。」

 

 

仕事のことで思いついたアイデアがあると、いてもたってもいられなくなる性格らしい。


「だから自分でやるからにはやっぱり『好き』という気持ちがないと絶対にできないな、って思う」

 

『好き』な気持ちだけで仕事は成立しない。

その一方で仕事に対して『好き』という気持ちがないと、、、特にライフスタイルを提案するような雑貨店においては、、、お店が続いていかない。

 

『june』でよく見かける光景がある。

お客さんとじゅんさんが楽しく話をしている光景。
雑貨のこと、趣味のこと、暮らしのこと、家族のこと…

みんな、自分の思う『好き』を思う存分話したいのだと思う。
『好き』なことで一歩を踏み出したじゅんさんに、自分の『好き』を聞いてもらいたいのだろうなあ、と思う。

 

自分の『好き』を聞いてもらえる場所は意外に少ない。
そんな自分の『好き』を思う存分話せる素敵な雑貨店がある町は、とても幸せな町だなあと思った。

 

 


『june』

住所:三重県紀宝町鵜殿2198
電話:0735-32-3327
開店時間:11:00〜17:00
定休日:日曜日、祝日
www.facebook.com/brocante.june


 

 

 

 

たかやん
たかやん。OTONAMIE公式記者。三重県尾鷲市にあるカフェ「Scale」で働く茶坊主。コーヒー、本、映画、人文学、デザイン好き。趣味は園芸とウクレレとカメラ。フリーペーパー製作に関わっていた経験を活かして、尾鷲市のカフェからのんびりレポートいたします。得意ジャンルは人物紹介、お店紹介、イベント、町ネタ。