昔はいたよね、ご近所さん。
『おはよう!今日も元気にね!』
『おかえり!寒いから風邪ひかないようにね』
会うとそんな取り留めのない会話を交わす、
近所のおじちゃんおばちゃん。
私が生まれ育ったマンションは、
ワンフロア10世帯程で、
ご近所がとても仲が良かった。
当時はどの家も鍵をかけておらず、
幼少期は、端から順に「あーそーぼ!」と声を掛け、
お邪魔するというのが日課。
廊下で遊んでいる時には、
近所のおじちゃんがビニールプールを用意してくれ、
近所のおばちゃんがスイカを持ってきてくれ、
料理を持ち寄り家族ぐるみの宴会になることも日常茶飯事。
嬉しいことがあった時、
報告したい人がたくさんいたし、
親に叱られた時には、
逃げ場もたくさんあった。
ワンフロアのコミュニティだったけれど、
何かあったらお互い様という気持ちで、
協力し合えるご近所付き合いは、
とても温かな”地域社会”だったと今思う。
いた、近所のおじちゃん!!
顔の見える近所付き合いが減ってきている現代。
確かに面倒なこともあるのかもしれないけれど、
それってやっぱり少々寂しい。
そう思っていた時に出会ったのが、
上山さんだった。
以前、OTONAMIEで紹介した
趣味でジオラマを作っているおじさんである。
参考:気になる扉をノックしてみたら、モケジョじゃなくてもわくわくしちゃうおじさんがいたよ。
上山さんは、
勤務していたメーカーを定年退職後、
娘さんからもらったミニチュアキッドをきっかけに、
ジオラマ製作を始めた。
何作品も作っていくうちに、
周りからの要望もあり、
町内の看板や表札もボランティアで作るようになった。
ついには町内に伝わる祭車のミニチュアを、
図面から作っちゃったという凄腕。
出来る限り接着剤を使わず、
木を削って組み立てるため、完成までは約3カ月!!
作品がすごいのはもちろんなのだけど、
私が上山さんに惹かれるのは、
まさに昔よくいた”近所のおじちゃん”であること。
気さくで思いやりに溢れ、
冗談をとばしては周りを和ませる…そのお人柄である。
ジオラマをつくっている部屋は、
街道沿いに面してガラス張りになっており、
扉越しに覗く人がいたら、
初対面の人も快く迎え入れ、
分け隔てなく楽しい会話をしてくれる。
夏は網戸になっていて、
前を通るこどもたちが、
「おっちゃん、だたいまー!」と声をかけ、
「おう!おかえりー」と上山さんが返す。
またある日には、郵便配達に来た方へ、
「ご苦労さんね!ほら、ドロップでも食べて」と労わる姿も。
人が好きで、
人との関わりを大切にする上山さん。
あー、そうそう、
地域にいてほしいのはこういうおじちゃん!!
どこにもいそうだけれど、
今や希有な存在化している”こういうおじちゃん”なのだ。
そんな近所のおじちゃんにTV出演のオファー
先日、上山さんにTV出演のオファーが入った。
その番組とは、
西田敏行と菊池桃子がナレーターを務める、
テレビ朝日系の「人生の楽園」である。
人生の楽園とは、
主人公そして地域の人とのありのままから、
様々なセカンドライフを紹介し、
新しい生き方、いい人生の歩き方を発見する、
ドキュメンタリー番組だ。
2000年に始まり、
当初は一桁だった視聴率が、
今では安定の二桁の人気番組。
実は出演のオファーがあった際、
上山さんはあまり乗り気ではなかった。
ジオラマ製作はただの趣味で、
披露するために作っているわけではない。
被写体になるのも苦手だし、
個を取り上げられて目立ちたい気持ちも皆無。
それでも出演を決めたのは、
人生の楽園のコンセプトに共感したから。
上山さん:『会社員時代は、仕事漬けで趣味といってもパチンコくらいでね。それが退職後、娘がくれたジオラマキットをきっかけに趣味ができて、その趣味を通じて、色んな人が見に来てくれて、話を出来る場になって、この前は昔の職場の関係者から実家の表札を頼まれて、その表札を付けて喜んでいる家族写真が沢山送られてきて、もう涙出る程嬉しくてね。作った物がどうとかではなく、普通の人でもこういうきっかけで感謝してもらえたり、人と繋がりを持てたり、人生ってちょっとしたことで楽しくなるんだーって事を一人でも思ってくれればいいなーと思ったのよ』
また上山さんが出演を決めたもう一つの理由は、
桑名市や地域の風景、
大切に伝え残している石取祭についても、
しっかりと紹介してもらえるという話だったからだ。
撮影時には、
町内の方が見学に来て、
『放送日決まったら、東京にいる息子にも連絡するわ』
と嬉しそうに話す光景をみて、
私はとても温かい気持ちになった。
上山さんが出演する人生の楽園は、
2018年3月31日(土)18:00~
テレビ朝日系で放送されます。
人生の楽園について詳細はこちら。
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事