昨年秋、秘境大杉谷に一人の若者が東京から移住してきた。
大杉谷とは、仙人の住む場所だ。imura記者のこの記事で、私も衝撃を受けた一人。
日本三大渓谷の一つに数えられる大杉渓谷。
美しく神秘的ではあるが、交通の便は大変不便。買い物に出掛けるのも一苦労。
こんな山深い場所をわざわざ選んでやって来た東京からの移住者とあって、どんな人なんや?都会から来てやっていけるんか?と瞬く間に町中で噂になった。
まるで、転校生がやってくると聞いて妄想を膨らませてはしゃぐ小学生状態。
噂の渦中にあった彼は、移住早々地域の人に溶け込んだ。
彼の名は、中村康一氏。
そう、イケメンなのだ。「大杉に来た移住者、イケメンらしいよ」と、町の女性たちがキャーキャー言う声も何度か耳にした。
そんな彼に話を聞いてみた。
Q. 東京ではどんな仕事をしていましたか?
「自営業でした。もともと旅行が趣味だったんですが、仕事で地方を回ることもよくあり、地方に行った時は周辺の田舎の観光をしていたんです。ゆくゆくは田舎に住みたいと思っていました。」
Q. 田舎に住みたいと思い始めたのは何歳頃からですか?
「20歳頃からですかね。現実的に田舎暮らしに向け動き出したのは、2年前頃からです。
それまで新宿に住んでいましたが、埼玉県志木市に移住しました。駅前は栄えている志木市ですが、自分が住んでいたところは畑が多いところ。
さらなる田舎への移住するため、まずはワンクッションおいて慣れるために過ごしました。」
Q. 最終的な移住先としてどうして大杉谷を選んだのですか?
「大台町雇用・定住推進協議会主催の起業セミナーに参加したことがきっかけでした。
会場となった『花・・・咲くところ』というレストランを営んでいるお母さんと知り合い、とんとん拍子で移住先の家も決まりました。
セミナー参加が2016年3月。5月にもう一度こちらに来て、8月に家が決まり、9月に移住。あっという間でした。
この地域は、『日本の秘境』というイメージ。山深い緑豊かな自然に感動し、この場所に決めました。」
Q. 関東から距離がありますが、不安はありませんでしたか?
「会社勤めだったら、仕事はどうしようと思ったと思います。私は自営業なので、思ったらすぐ行動することに慣れている。
不安はなく、面白そう!!という期待感しかなかったです。」
Q. 地域に溶け込むために、どんな努力をされましたか?
「地域の人に誘われたらとにかく一緒に行く!
会う回数が多くして馴染むことが大事だと思い、何かあったら外に出て、どこにでも一緒に行かせてもらうようにしています。
地域のみなさんは体力があってスゴイ!自分も頑張ってついて行かなくては。鍛えられそうです(笑)」
Q. 移住してみて、思い描いていた田舎暮らしとのギャップはありますか?
「良い意味でのギャップはたくさんあります。
『椎茸あげるから手伝って!』と声をかけてもらえたりとか。
地元の地域おこし協力隊の方ともたくさん知り合えて、私も地域を盛り上げたいという気持ちが強くなりました。連携してイベントなどをやっていきたいです。」
Q. こちらに移り住んで、仕事はどうされていますか?
「この3月から、大杉谷地区にあるレストラン『花咲くところ』を任されています。
『花咲くところ』は、ご縁の達人、クロフネカンパニー代表の中村文昭氏のお母様、中村賀代さんが、地域の方が集まってゆっくり話せる場所をと作られたレストランです。
ちなみに、私も中村といいますが、親族ではありません。よく聞かれますが(笑)
このお店で料理を任せていただくことになり、新しく趣向を変えて営業をさせていただいています。
3月からの当店の一番の特色は、地元で獲れたジビエ(狩猟肉)をメインに提供することです。
奥伊勢産の質の高いジビエ。奥伊勢で育まれた天然の草や木の実を食べている、畜産物でない肉を楽しんでもらえたらと思っています。
地元の特別な仕入先からのジビエは全く臭みもなく、その美味しさに感動していただけることでしょう。」
Q. ジビエメニューを教えてください。
「奥伊勢産のいのしししゃぶしゃぶ(2,500円~)、鹿のしゃぶしゃぶ(2,300円~)は、自家製のポン酢でお召し上がりいただきます。ご希望の方には天然の塩をお出ししますのでお試しください。
奥伊勢産のいのしししゃぶしゃぶ 2人前
奥伊勢産のいのししぼたん鍋(2,500円~)は、猪のガラで出汁を取り、自家製味噌と共に炊き合わせて作った当店自慢の特製スープでお楽しみいただきます。
しゃぶしゃぶとぼたん鍋は、事前にご予約をいただきますようお願いします。
美味しさをそのまま味わっていただくなら、奥伊勢産の鹿のステーキ(1,800円)もございます。赤身肉はヘルシーで、女性の方には特に美容効果・ダイエット効果もあると聞きましたのでおすすめですね。
そして、近くに宮川ダムがあるんですが、そこのダムカレーとして、鹿のカレー(1,200円)を提供しています。14種類のスパイスをふんだんに使った、インド風のカレーです。
仕入れの状況によって提供させていただけない時も出てくると思いますので、お電話でお問い合わせいただけると幸いです。」
Q. どうしてジビエのお店にしようと思われたのですか?
「東京にいる時ジビエが珍しかったので、ジビエを出しているお店巡りをしていました。地方に行ったときも、ジビエ店があれば行ってみていたんです。色々な場所で試してきて、この地域のジビエはすごく美味しいということが分かりました。
また、お店ではジビエ料理だけではなく、地元の方にも飽きが来ないよう各種定番メニューも用意しています。
地元の方と、遠方からお越しの方双方のお客様に喜んでいただきたいと思っています。」
Q. 他にも、料理に使用する食材は全てにこだわりがあるんですよね。
「調味料も全て無添加のものを使用します。
水も大杉谷で汲んだ天然水を使用します。
出汁作りからこだわっています。
野菜など他の食材も、地元の良いものを選んで使っています。
ホっとできて美味しいなぁと落ち着けるお店作りを目指しています。都会で日々頑張っているお兄さん、お姉さん方にも喜んでいただけることと思います。」
Q. そういえば、去年の夏にこちらで鮎つかみ取りイベントを取材&体験させていただきました!
この記事です。 大人も鮎に振り回される!大自然での「鮎つかみ取り」
今後もイベント開催は継続されていくんでしょうか?
「大杉谷で楽しみたいイベント依頼などがありましたらおっしゃってください。
去年の鮎のつかみ取りや、鮎の伝統漁法「しゃくり」、今年も開催します。お気軽にお問い合わせください。
大人気のSUPのイベントもやっていけたらと思っています。」
Q. お店を拠点に、これからどんなことをここ大杉谷地区でやっていきたいですか?
「遊びや観光などでお越しになる方へのお弁当や、地元の高齢者の方への宅食もやって行きたいです。
土日の夜は、事前予約制で営業させていただく予定です。是非お問い合わせください。
狩猟にも興味があります。
また、日本屈指の多雨気候を生かした極上原木栽培の椎茸栽培にも取り組みます。
この田舎を盛り上げたい。お客様に喜んでいただきたい。 この素敵なところで住みたい人を増やしたい。
素晴らしい山々の景観、日本一の清流宮川の美しさをお楽しみいただき、自然の恵みを受けた美味しいお料理を、当店でごゆっくりとご堪能ください。」
美味しいもの、身体に良いものを追求して、それを食べてもらい心身ともに健康になってもらいたいという中村氏。
例えば出汁作り。鰹節を削るところから徹底して行っていて、全く手間を惜しんでいない。
自然豊かなこの地で、丁寧に調理された自然の恵みをいただく。
自然体で生きる彼と話しながら、秘境大杉谷の空気の中で堪能した最高の料理は、身体にも心にも沁みわたった。
住所:三重県多気郡大台町桧原547-2
電話:0598-78-3088
営業時間:11:00〜16:00
定休日:月曜
キャスターマミ。OTONAMIE記者。松阪市出身。生まれ育った三重が大好きで、三重を盛り上げたくて地元タレントに。テレビ・ラジオ出演、祭りやイベント、ブライダルMCとして活躍中。この記者が登場する記事