※本連載記事はぜひ!中編(12/7公開予定)・後編(12/8夕方公開予定)も合わせてご覧ください。
三重に自分の居場所を見つけよう!という趣旨で行われている「三重暮らし魅力発信サポーターズスクエア事業」という取り組みがあります。これは三重への先輩移住者や行政の移住担当者からなる「三重スクエア」と、三重に関心がある人や、自分のスキルを三重で生かしたいと考える首都圏在住の移住希望者からなる「東京スクエア」が交流し、双方向交流サイトやWeb記事の作成などを通じて関係性を醸成することを目的とする移住促進事業です。
その事業の中で、参加者が地域の人に地域の魅力を教えてもらうオンライン取材を中心とした「ローカル記事アクション」を実施。OTONAMIE から現地ナビゲーター的な役割で参加させていただきました。
オリエンテーション、取材、記事検討会を行い、実際に首都圏からの参加者とお会いすることなくオンラインのみを活用し、移住希望者にどこまで三重の暮らしの魅力を感じてもらうことができるのか・・、正直、アナログ思考のわたしは悩みました・・。今回はZoomを会議ツールとしてではなく、生中継的に取材ができるツールとして活用しました。
悩んだ末にたどり着いた仕組みは、iPadでZoomを参加者と繋ぎっぱなしにしてWi-Fiネットワークを経由してオンラインで取材を行うというもの。それを遠隔地にいる参加者がリアルタイムで見たり質問をしたりするというデジタル技術を使った、なんともアナログ発想なものでした(しかし想像以上に心通う、ハートフルな感じになったのでオススメ!)。
参加者は首都圏に暮らし、将来的に地方移住を考えている4名。狙いは取材を通じて三重での田舎暮らしにより興味を持っていただくと同時に、首都圏在住の参加者らしい外目線で、地域の魅力を発見していただくこと。今回、参加者とは事前のオリエンテーション「みんなで記事を考える会」で取材先を厳選するなど準備を進め、オンライン取材の当日を迎えました。
参加者が書いた記事は、三重県移住・交流ポータルサイト「ええとこやんか三重」に掲載されるので、こちらも合わせてぜひチェックしてみてください。
https://www.ijyu.pref.mie.lg.jp/
後日行った記事検討会では参加者が書いた記事を持ち寄ったり、取材を通して感じた移住希望者視点での三重の暮らしの魅力などを話し会いました。その内容の一部は今回のOTONAMIE連載記事にも反映しています。ここで、少しだけ参加者をご紹介。
多地さん:農業や自然食品に興味のある。
奥田さん:ボランティアで高校生向けキャリア教育をおこなっている(三重県出身)。
近藤さん:過去に仲間と古民家の改修なども行ったことがある(三重県出身)。
高山さん:サイエンスライター(検討会は諸事情により欠席)。
では、魅惑のオンライン取材のスタートです!
–首都圏の参加者と一緒に、オンライン取材で地域の暮らしを体感。農家レストラン「まめや」。
舞台は三重県多気郡多気町の山間にある農村、丹生(にゅう)地区。町村合併前は勢和村に位置し、今は人口は約970人、およそ300世帯が暮らしている(2015年)。そして気になるのは、最近移住者が増えているということ。なぜ移住者が増えているのか、というテーマも交えながら三重や丹生の魅力をお伝えしたい。
快晴の秋空のもと、せいわの里まめやに到着すると鳥の声、野焼きの香り、庭からは「メ〜」とヤギたち。田畑が広がるのどかな場所にあるまめやは、農村料理レストランに直売所が隣接している。人気店とだけあってクルマの出入りが多い。
“小豆が穫れたので、ぜんざいを始めます” というユニークな表現の貼り紙。
その言葉どおり、ここでは地元の農家から食材を仕入れ、全てレストランで調理。
直売所にも食材や惣菜など並び、京都の料亭などで重宝される高級芋「エビ芋」も販売されていた。
別日に生産農家をたずねた折、食べきれない程のエビ芋をいただいた。田舎独特の食材をもらう習慣が残っている。
レストランは11時から14時までバイキング形式。そして何度探しても肉や魚が見当たらない。丹生に生まれ育った代表の北川静子さんに理由を聞くと「ここら辺の農村のタンパク源は大豆だから」と教えていただいた。
店内にはみそ田楽が焼ける香ばしいにおい。
北川さん:子どものころ、桜が咲くとおじいさんがみそ田楽を焼いてくれて。もくもくと上がる煙を見ながら自分の分が焼き上がるのを待ってますやんか。いま思うと贅沢な時間だったと思います。遠くからきてくれるお客さんにも、そういう丹生らしさを感じて欲しいです。
16年前に仲間とまめやを立ち上げた北川さん。当時は田んぼの真ん中に農村料理店を作って人がくるのかと心配もされたが、いまでは20代〜80代まで35名の雇用も創出。北川さんには開店当初から変わらない想いがあるという。
北川さん:同じ惣菜を作っても、地域の70代〜80代の “お師匠さん” が作る味はどこか違うんです。まろやかで心が落ち着くというか。食べた人が “あぁ、生きとってよかった” と、いわはった。そんな農村文化を守りたい想いがあります。
多地さん(参加者):家族に美味しい物を食べさせようという思い。名店のレシピで作っても味は同じにならないように、お料理はレシピだけが大切なのではなく “お師匠さん” という “隠れた名人” の技が大事だと感じました。受け継がないともったいない。地域の文化の継承は、お金で買えない大切なことですね。
さらにまめやでは、子どもも参加できる農村文化の継承を実践している。その仕組みは子どもから、つくし100gを100円で買い取ること。しかし摘んできたままのつくしは買い取らず、はかまの部分を取り除いてあることが条件になっている。子どもは飽き性。はかまを取り除く地味な作業に飽き、家に摘んだつくしを持ち帰る。そうすることで、手の空いている祖父母や親が一緒になってはかま取りをする。家庭のなかで会話が生まれ、農村文化が残るというカラクリだ。
奥田さん(参加者):子どもたちは、まめやに来ていたお客さんからも「すごいね!」と驚かれる反応を見て、さらにやる気になると聞きました。いい仕組みだと思います。
その辺に生えているつくしは、店でキャッシュに変わる。それを知った子どもたちは、つくし以外にも「よもぎもあるやんか!イタドリもあるやん!」と自主的に売りにきたという。
北川さん:子どもたちすごいんですよ(笑)。私はこの村の子どもたちに、故郷の思い出を焼き付けてあげたいんです。村を離れて大人になって辛いことがあっても、こういう思い出を通じて心のなかに “ふんわりとしたあったかいもん” があると、きっと強く生きていけるんちゃうかなと思っています。そして一人くらい、村に戻ってきてくれたら嬉しいです。
近藤さん(参加者):その言葉、ずっと心に響きそうです。以前とある集落の古民家を改装していて見つけたのですが、結納品から農機具、ざるまですべて手作りでした。農村では戦後くらいまで、そんな手作りの暮らしが残っていたみたいです。そのようなモノではないですが、まめやさんが残そうとしている農村の文化に魅力を感じます。
最後に北川さんに、丹生へ移住する魅力について尋ねた。
北川さん:耕作放棄地も多いので農業もできます。収穫した野菜をまめやに売りにきてもらってもいいです。そうやって農業をしながらまめやで働いているスタッフもいますよ。
移住のハードルとして仕事がないと語られることも多いが、農業や田舎での子育てに興味のある人にはとてもよい場所だと思う。
優しい味がする農村料理をいただき、まめやを後に。散歩がてら店の前にある広場に向かうと、丹生が農村として発展した重要な事実を知ることになるのだった…続きは中編で!
重要な事実のヒント!
このボートで用水路のトンネルくぐりが楽しめる・・、らしい。
気になる。
【タイアップ】
2020三重県暮らし魅力発信サポーターズスクエア事業
(主催 三重県/事務局 アド近鉄)
詳しいお問い合わせは、三重暮らし魅力発信サポーターズスクエア事業
(事務局代行 : 株式会社アド近鉄)まで
e-mail mie.kurashi@gmail.com
三重県への移住は、三重県移住・交流ポータルサイト「ええとこやんか三重」をチェック!https://www.ijyu.pref.mie.lg.jp/
【三重での暮らしに興味がある人集まれ! 東京スクエア【オンライン】交流会】
▼詳細・申込みはこちちから
https://www.facebook.com/events/529017011315073
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事