コロナ禍によって変りつつある暮らしや働き方。
外出自粛が続いた状況下、オンライン活用を加速させると同時に、まちを支える基盤として、地域を細かくマスで捉えた場(拠点)の必要性を感じることが多々ありました。
先立って民間でオンライン情報発信を行っていたOTONAMIEに、最近行政や企業からオンラインを活かした情報発信・イベントについてのご相談がちょっぴり増えています。
その中で感じるのは、今までリアルな場で行っていたことを単にオンライン化するのではなく、目的に対して本質を捉え、オンラインとオフラインの強みを仕分けをした上で、両方の良さを活かした組み合わせで相乗効果を生むことが重要だと感じています。
小さな小さな動きですが、今回はOTONAMIE編集室も兼ねる拠点「ニカイ」に焦点をあてて、纏めてみました。
因みにニカイは、オープンしてもうすぐ1年が経つ部室のような場です。
1.エンターテイメント
非常事態宣言前。
じわじわと海外にコロナ禍のニュースが拡がりはじめた頃。
出荷減少で漁業者も打撃を受けていると知ったOTONAMIEは、オンラインで養殖漁師さんに捌き方を伝授頂く「オンライン鯛さばき会」を実験的に行いました。
普段1人では中々買わない丸ごとのお魚。
まさに目から鱗で、場に集まり魚と向き合う時間をつくることで、余すことなく頂ける魚のポテンシャルや、漁村の食文化に触れ、食べることが立体的になったを話す参加者。
プルメディアではなくプッシュメディアからの販売の可能性を感じました。
(あと映画やTVと同じで、オンラインで独り完結ではなく、オンラインで繰り広げられるエンターテイメントをリアルな場で誰かと一緒に体験しながら観るのに勝るものはない)
2.おすそわけ
取材を通して横に長~い三重県の北から南を行き来する中、生産者との繋がりも広がります。
その関係で、時々漁師さんからサプライズな魚介類がどかんと届くことがあります。
もちろん嬉しい気持ち120%。
なのですが、その想定以上のボリュームに戸惑いを隠せないのも本音。
4月に入って世間では外出自粛ムードが高まりました。
スーパーに並ぶ生鮮食品も減っていた頃に、鳥羽の浦村や南伊勢からニカイにサプライズが届きました。
大家族3世帯分くらいはある量だったため、都度オンライン(SNS)で呼びかけを行い、ご希望の方にはボール持参で来てもらうことで、新鮮な旬の恵みをお裾分けすることができました。
しかもそれを知った近所のお寿司屋さんが調理に来てくれたり、近所の居酒屋さんが鍋の具材を差し入れしてくれたりもしました。
美味しくいただいた様子は、SNSや生産者さんにもシェア。
心もお腹も満足なおうち時間となりました。
3.ついでの買い物
スーパーでの買い溜め行列が問題になっていた頃。
ニカイユーザーが呼びかけてくれたのが、自分の買い物のついでの買い物でした。
買ったものはニカイに纏めてお届け。
人が多い場所への出入りはなるべく避けたいなかで、大変ありがたいお声掛けでした。
テイクアウトメニューや沢山作ったからという手料理を、ニカイを介して受け渡しを行う流れも。
これはリアルウーバーイーツなのか、逆ドライブスルーなのか。
4.一緒に買お
各社の在宅勤務が加速し、おうち時間の充実性が求められてきた頃。
ネット通販を活用する生産者や業者さんも増えてきましたが、ネックになったのが送料でした。
大手通販の送料0に慣れちゃうと、どうしても抵抗を感じてしまう。
キャンペーン的に送料負担を行う行政の動きもありますが、期間が過ぎればまたハードルになる物流問題。仕方ないことです。
ということで「一緒に買お」という拠点機能の活用が始まりました。
呼びかけはオンラインで行い、お引き取りはニカイ。要は共同購入です。
真新しさはないですが、ひとりひとりの送料負担が軽くなる共同購入は、物流を安価にするひとつの策として、1周回っていいなと感じています。
今、登場を心待ちにしているのは寅さんみたいな行商です。
5.わらしべ長者
おうち時間が増え、断捨離が流行りだした頃。
この機会に断捨離を進めたい。でもまだ使えるのに捨てるのは勿体ない。うむむー。
そんな声をオンラインでいただくことがちょこちょことありました。
そこで断捨離した物の一部をニカイで引き取り、必要とする人に譲れるようオンラインで呼びかけました。
誰かが使ってくれると思うと、思い切りが付くようで、机や椅子、お皿や毛布など、断捨離用品がわんさか出てきました。
そのお礼にと”何か”を持ってきてくれる流れもありました。
そしてその”何か”もまた必要なところへ嫁に行く。
物々交換というよりもわらしべ長者が近いかもしれません。
物と物の交換だけではく、スキルと物、情報とスキルの交換等もよく見掛けます。
因みに最近私福田は、前事務所を引き払う際に、近々事務所を立ち上げをするという方に机と椅子をお譲りして、その交換として干物を頂きました。
これから…
これらは小さな動きかもしれませんが、生活の徒歩圏内に場(拠点)があることによって、それぞれの地域が抱えるプチエクスキューズに気付く人がいて、小さな行動を起こす人が現れ、1㎜だけ解決に近付いたり、解決しなくても一緒に考えてくれる存在に気付いて心が救われたりすることがあるのではないかなと感じています。
私事ですが、テレワークという働き方を6年以上してきた経験上、距離を越えられるオンライン活用は便利で効率的ですが、リアルな場で行われてきたことをとりあえずオンライン化するのでは満たされないことも多々ありました。
なぜするのか、なんのためにするのか。
物事のエッセンシャルを捉え、オンラインとオフラインを仕分け、融合のバランスを考えていく事が、これから一層に求められるのではないかなと思っています。
最後に、OTOMAMIEで始まっているオンラインショップ OTOネットカタカタもどうぞご覧ください。
https://otonamie.thebase.in/
ニカイ
三重県桑名市常磐町51コインランドリービーエル2階
0594-28-8049(代表)
nikai225122@gmail.com
https://b-l.jp/2F/
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事