「あれ?どこに来ちゃったんだろう」
会社の同期たちと会う為に四日市駅に降りた俺は途方に暮れていた。
あと10分で約束の時間だがその姿は無い。
(四日市駅改札前はがらんとしていた)
関東に生まれて、神奈川の大学を卒業し、就職後は名古屋市内に勤務している俺は、三重県に来るのは初めてだ。うちの会社の同期たちは、東海四県にある各支店に散らばって赴任していて、定例会(飲み会)を3か月に1度のペースでやっている。今回は三重支店の同期が幹事で彼の住む四日市市に俺たちを招いたのだった。
そいつからのメッセージが携帯に届いた
幹事「いまどこなの?」
当然
俺「四日市駅にいるけど」
即返信が来て
幹事「居ないじゃん」
負け地?と
俺「おまえらも居ないじゃん」
このラリーはいつまで続くのか・・・
幹事「じゃあ駅前に何が見える?」
(夜の四日市駅の駅舎)
駅の外に出てみた・・・
周りを見回した・・・俺の目の前には
(四日市の駅前は車?人?なにもいない!暗い!)
困ったぞ、返信の仕様が無いくらい特徴が無い
これが本当に四日市なのか?
仕方が無い・・・タクシーで行くか
(タクシー乗り場とは常にタクシーが居るものだと思っていた)
なんてこった!タクシーも居ない!
あとから思えば、電話で呼ぶことも出来たが、頭が混乱してそれどころじゃなかった。
そして冷たい言葉が・・・
幹事「とりあえず歩いてこいよ!すぐだから」
歩くことにした俺は、とりあえず「繁華街のありそうな方向」=「明るい場所」を目指すことにした。
なぜ間違えたのかわからないまま彷徨う
(みんなどこにいるんだ?)
交番があったけど中は真っ暗だった。スマホの地図アプリで現在地を確認したが、周辺が暗い性もあって全く方向がわからず、少し移動をすることにした。
(四日市温泉という名の銭湯)
駅前で最初に見つけた商店は銭湯だった。ようやく生活感を感じる場所を見つけて俺は少し安心した。
(四日市駅近くの商店街)
銭湯の角を曲がると商店街に出た。すでにシャッターは閉まっていたが、明るい場所に出たから進むことにした。
(途中で見かけた看板)
商店街の途中にボール紙で作られた看板を見かけた。地元で有名な芸能人だろうか・・・あまりテレビを観ない俺はパッと思い浮かばなかったが、少しハートフルな気持ちになった。
(商店街にあった案内地図)
駅前で見ておけばよかったんだけど、案内地図をようやく見つけた。そして俺は「近鉄四日市駅」という文字を見つけた。
俺「近鉄四日市駅が集合場所?」
幹事「そう!もう店に入ったけど、あとどれくらい?」
なぜ間違えた原因はわからないが現在地はわかった
俺「わからん・・・そして俺はJRに乗ってきたみたいだ」
幹事「あるよね!俺も最初に間違えた」
あとで聞いたら、実は彼も関東の大学出身で、三重は初めて。
引越の時に早速やってしまい途方に暮れる状態だったらしい。
どこだ「近鉄四日市駅」は
(三滝通りを渡るとまた商店街があった)
商店街の向こうに暗闇が見えて「終わった」と思ったが結構大きな通りに出くわした。その向こうにも商店街が続いていてハラハラドキドキしながら歩いている。
(ここでようやく2つの駅の位置関係を証明する地図を発見)
ゴールはわかったが、先はまだ長いみたいだ。途中で大きな道路を横切って新しい商店街に入った。
(三滝通りを渡った商店街はかなり明るめ)
すでに10分以上あるいている!何がすぐだ!と空腹と明るいけど人通りの少ない商店街の不安が高まってきた。人通りが少ないしシャッターも閉まっているのに、そこまでも続くアーケードが不気味に見えた。
(国道1号線を渡る)
また大きな道路を渡る。看板には国道1号線と書いてあった。ここをまっすぐ行けば名古屋も通るし・・・最後は日本橋に・・・たぶん不安な心持じゃなかったらもっと感動したかもしれない。
(国道1号線を渡ると諏訪神社)
国道1号線を渡ると、神社になっていた。諏訪神社と書いてある。諏訪神社・・・諏訪大社・・・御柱・・・そんな祭りがあるのだろうか?
(表参道スワマエは繁華街の入り口か?)
諏訪神社の前には、ようやく繁華街らしき雰囲気が!これよくある駅前商店街的なやつだ。
(しかし相変わらず人通りは少ない)
これが東海道か・・・そして表参道というネーミング。東京だったら原宿と青山の通りだけど、ほとんど人とすれ違っていないのが相変わらず不安だ。
スマホの地図アプリでもう一度確認したら、あと5分で目的地のようだ。目的地の雰囲気が無いけど。
(SANSHI?さんし?)
昼間の雰囲気がまったく想像できないが、これが最近問題のシャッター商店街なのだろうか。ていうかずっとシャッター商店街だ。
(実家の近くにもこんなおもちゃ屋あったな)
途中で雰囲気のいいおもちゃ屋を見つける。やっているのかやっていないのか。そんなことを考えていたら、ゴールは突然見えてきた。
(近鉄四日市駅を見つけた感動は、その日の酒や料理よりもおいしかった)
俺「やったー!!ゴールだー!!」
幹事「おつかれ!よくこれたな!」
幹事と何人かの同期が店の前で出迎えてくれた。
徒歩で約30分長い道のりだった。
聞けば、ほぼ直進でもこれたらしいが、そんな道がどこにあったかわからなかった。
俺「ところで、おまえすぐ来れるって言ったけど」
幹事「そうだねぇ・・・最近はこっちじゃ車だし」
俺「まさか車の感覚で言ってないよな」
幹事「ごめん・・・そうかもしれない」
知らない街で道に迷った経験・・・仕事に生かせられるか?事前準備を怠った俺が悪いのか、幹事の配慮不備なのか、そんな話題を中心に酒席は進んだ。
俺「近いうちに昼間にこの街の案内しろよ」
幹事「え~!昼間に遊ぶなら伊勢とかにしようぜ!」
でも地元の人は困らないのだろうか?・・・そういえば四日市出身の先輩がいたっけ!
あの人はそういうことに詳しそうだし今回の原因について判断してくれるかな。
週明けに聞いてみよう!
俺「先輩って四日市のご出身でしたよね?」
先輩と俺の会話はこちらから
(この話は一部フィクションです)
JR四日市駅
住所:三重県四日市市本町3-85
本町通り商店街
住所:三重県四日市市本町7-5
諏訪新道
住所:三重県四日市市諏訪町11-6
表参道スワマエ
住所:三重県四日市市諏訪町21-4
四日市出身。小さい頃から地図を見るのが大好き。物流会社に就職後、愛知・上海・東京・静岡他へ引越9回を経て現在は四日市在住でほぼ毎日愛知へ通う。特技は中国語と道案内。得意ジャンル:鉄道、旅行、中国語、航空機、ラーメン