ホーム 03【お店へ行く】 小さな港町の酒屋の挑戦。テイスティングできるKANPAI ISE SHIMA。

小さな港町の酒屋の挑戦。テイスティングできるKANPAI ISE SHIMA。

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私:これはワイン!? ではないですよね。

そう質問すると、店主の竹内さんはワインみたいな地酒の魅力を語ってくれた。
味もまるでワインのようにフルーティーだという。

竹内さん:このお酒は3年くらい前に、システムエンジニアから転身した杜氏さんが作ったんですよ。全国的な知名度はまだ低いですが福持酒造さんは三重県新酒品評会でいろんな賞を受賞していて、今後、光るものを感じます。

私:これはまた、かっこいいラベルですね。

竹内さん:半蔵で有名な大田酒造7代目の若大将がつくった新作です。「&」の書は、そこにある書の書家さん(千華万香さん)の作です。

この店に置いてあるお酒は、すべて三重のお酒。

竹内さん:三重の地酒のアンテナショップみたいなイメージです。

英虞湾が一望できる、志摩市の横山展望台がある場所から車で約5分。
今回は伊勢志摩サミットが開催された賢島の玄関口にある酒屋、KANPAI ISE SHIMAにやってきた。

このお店のユニークなところは、三重の地酒に精通した竹内さんにお話を伺いながら、店内でテイスティングができるところだ。

竹内さん:都会などから伊勢志摩にきた観光客の人に「このお酒は伊勢志摩サミットで有名になって、都会だと手に入りずらいですよ」みたいな売り方、したくないじゃないですか。お酒というモノではなく、作り手や商品の背景にあるストーリーを売っている感じです。他の酒屋さんと圧倒的に違うのは、お客さんの滞在時間が長いことです。お話をして、そして実際に飲んでもらうのが一番納得できる売り方と買い方だと思います。

店内には地酒にあう、三重のつまみも販売している。
テイスティングしながら、つまむこともできる。

日本酒だけでなく三重のクラフトビールや梅酒、サイダーなども販売している。
酒飲み父さんだけでなく、子連れや日本酒が苦手な女性でも愉しめそうだ。

マニアにはたまらない前掛けまでも販売。
KANPAI ISE SHIMAは、伊勢海老などで有名な志摩市の港町和具にあるべんのや酒店の姉妹店。
しかし跡継ぎである竹内さんは、なぜこのお店をオープンしたのだろうか。

 

港町の小さな酒屋、その落ち目から。

べんのやの息子として育った竹内さんは地元から離れて暮らし、県内の都市部で流通業に従事していた。しかし2代続いた家業。3代目としていつかは継がなければ・・。
そんな想いで家業に入ったとき、帳簿を見て不安が襲った。

竹内さん:初めて見た帳簿の売上が、前年比の約70%しかなかったんです。これは・・って。食べていけるのか心配になりました。

港街和具にあるべんのや(本店)。

焼酎ブームがやってきたとき、追い風が吹くかのように思われた。

竹内さん:全国からいろいろな有名焼酎を集めて売ったんです。ワインもやりました。でも小さな港町で1本3,000円もする焼酎は、いらなかったんです。いいちこと黒霧島があればそれで十分。港町では日本酒がよく売れます。当時は月桂冠がメインでした。

日本酒に目を付けて調べ始めると、県内にこんなに沢山の酒蔵があるのかと驚いたという。

竹内さん:当時、県内に48件も酒蔵があったんです。全国の酒蔵を巡るのは無理やけど、県内の酒蔵ならすべて訪問できると思って。で、実際に行って見たらもう驚きで。作(ZAKU)なんて当時の僕には、インパクトありすぎでした。日本酒の概念が変わったというか。

その後、様々な県内の酒蔵と交流を深めていき信頼関係ができた。
そんなとき、とある商品開発のメンバーとして携わることになった。

その商品のラベルには名前がない。
その名も「No name 名もなき酒」。
酒蔵を訪れて、門外不出(非売品)の酒があることを知った。
その理由は、作業工程上の問題や数量的な問題など様々だが、旨い酒には違いなかった。
そこで、あえて酒蔵名で押し出すのではなく、それぞれのお酒本来の美味しさを堪能してもらえるように、様々な酒蔵と一緒に開発し、ブランド化したのがNo nameだ。

そして、べんのやに三重の地酒のラインナップを増やすとともに、インターネットでも三重の地酒販売を充実させていった。

竹内さん:今ではインターネットでの売上が大きな割合です。また直接ネット注文ではないですが、料理人や飲食店から「ネットを見た」と問い合わせが入ることも多いです。

時代の波に乗った販路を掴むこと。
そこには前職の流通業で培ったノウハウが活かされているのかも知れない。

 

誰かが騒がないと。

三重の地酒が全国的に知名度を上げたのは、やはり伊勢志摩サミットで使用されたことが大きいと竹内さんはいう。

竹内さん:洞爺湖サミットで使われた静岡県焼津市の礒自慢は、一気にブレイクしました。伊勢志摩サミットが決まったとき、これはチャンスだと思いました。

そこで県内の酒蔵に声をかけ、賢島の市民団体「賢島塾」とともに地酒のコンテストを行い、約40名の審査員が県内35蔵ある内の15銘柄をブラインドテストを行い、G7にちなみ7本の地酒を選んだ。そしてサミット限定酒として統一ラベルを作るなどブランド化をしてメディアへPRを行った。

竹内さん:県内のメディアを始め、全国版のメディアも取り上げてくれました。微力でもいいと思うんです。地元で誰かが騒がないと、メディアの目に留まらないと思っています。

反響は大きく、サミットで使われる日本酒が決定する前から「三重の酒が採用されるのか」といった問い合わせが竹内さんに殺到したという。

 

そこにお酒があったから

取材中も頻繁に着信が入っていた竹内さん。
家業としてはもちろんだが、それ以上にこれだけ地酒に打ち込める熱量はどこからやってくるのだろうか。

竹内さん:酒屋の息子で、そこにお酒があったから。そして、やるからには地元に貢献したいです。私は地元のシャッター街のシャッターが、すべて開いていた時代を知っています。

地域の再生を語るとき、港街の小さな酒屋に育った一人の男の話はあまり出てこない。
しかし、着実に挑戦を続けている人がいる。

もしあなたが大切な誰かと「かんぱい」の酒を交わすとき、その酒にまつわるストーリーを語れたならば、すでにあなたも地域の魅力を語る伝道者の一人になっているのかも知れない。

 


 

KANPAI ISE SHIMA
三重県志摩市阿児町鵜方1224-3
tel 0599-44-0707
hp https://jizake-mie.jp/hpgen/HPB/categories/19334.html
fb https://www.facebook.com/kanpai.iseshima/

 


 

\追記!/
三重の日本酒が90〜100種類!?揃う、伊勢志摩SAKEサミットが今年も開催予定です。
日程:2019年5月26日(日)
Facebook:https://www.facebook.com/iseshima.sake.summit/

過去の伊勢志摩SAKEサミットの様子(OTONAMIE過去記事)

日本酒に浸りたい。伊勢志摩SAKEサミット2018
記者:ぽたけさん
https://otonamie.jp/?p=50549

楽しんで来ちゃった!伊勢志摩SAKEサミット
記者:ぽたけさん
https://otonamie.jp/?p=34931

祝 伊勢志摩サミット1周年 伊勢志摩SAKEサミットに参加してきた
記者:yuichirou.hamaji
https://otonamie.jp/?p=34839

三重の日本酒が商店街を元気にする!
記者:ショージさん
https://otonamie.jp/?p=34773

 

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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