未だかつてない動きをしている築地本願寺
創建400年となる
浄土真宗本願寺派 築地本願寺(東京都中央区)
トップにMBAビジネスマンが就任してから、
銀座にサロンが出来たり、
若手住職さんが街でグチを聞いて回ったり、
ブッダで大喜利したり等々、
何やら未だかつてない動きをしている…
と耳にしてから、妙に気になっていた。
昨秋には、
新たな取り組みが始まり、
もう居ても立ってもいられなくて、
思い切って行ってみたら、
やっぱり面白すぎる展開になっていた!!
その取り組みというのが「寺とプロジェクト」。
かつて暮らしの拠り所であったお寺の役割を、
今の時代に合ったカタチにあわせて再構築。
門信徒だけではなく、
より多くの人に親しまれる”開かれたお寺”を目指し、
寺とあなた、寺とわたし、
寺とはどういう場所なのかを考えていこうという取り組み。
朝から幸せになれるカフェ
まず興奮したのが、
新設されたインフォメーションセンター内にあるカフェ「築地本願寺カフェ Tsumugi」
築地ってどこもせわしく、
落ち着けるカフェは中々ないのだけれども、
こちらはゆったりと寛げる雰囲気。
お寺は朝に来る人が多いため、
朝ごはんメニューも超充実。
阿弥陀如来の
四十八願の根本の願「第18願(本願)」にちなんだ
18品目の朝ごはんなんてもう、”ちょっと頂戴”の極み。
地元食材が豊富に使われており、
ありがとうな気持ちに満たされます。
ご飯に合う小鉢ばかりなのは、ご心配なく。
お粥、おかわり自由です。
これなんだっけ?という疑問、ご心配なく。
小鉢の下にちゃんと料理名があります。
そもそもなんでOTONAMIEなのに築地なわけ?
という質問、待ってました。
カフェで提供されているお茶が、
三重県産と福岡産のブレンドかぶせ茶なのです。
由緒ある本堂を眺めながらの朝食…いいわ~。
客層は幅広く、観光客はもちろんのこと、
地元と思われる方々も多かった。
中には商談しているビジネスマンも。
カフェの運営はプロントコーポレーションで、
紬セットや芋ようかんの和三盆ブリュレなども人気メニュー。
また、
『親鸞聖人好みの小豆とほうじ茶ハーブティ』など、
ここでしか味わえないオリジナルメニューも色々。
夜はしっとり大人なバータイムとなり、
ライトアップした本堂を眺めながら、
フルーツ坊主なカクテルを頂けちゃうらしいよ。
イケてるグッズも要チェック!
うわっ、意外にもイケてる物いっぱいじゃん!
と思ったのが、
同じくインフォメーションセンター内にあるオフィシャルショップ。
コレなんて貫禄すごくない?
オリジナルクリアファイル!!
オリジナルの和三盆やお香も人気らしい。
他にも、
築地本願寺がもつ、
伝統とトレンドの融合をコンセプトに、
仏事関連商品をはじめ、
築地本願寺を身近に体感できるグッズを、
揃えているとのこと。
わかるなー、
参拝や観光行くと、
お土産や記念になる物を欲しくなるものね。
セレクト商品もイケてるものが多くて、
一つ一つ食いついてしまった。
THERA(テラ)のマニキュアが、
並んでいたのには笑った。
もっと仏教知りたければブックセンターへ
なんだか仏教もっと知りたくなってきた…
という人は、
オフィシャルショップの上にある、
ブックセンターへGO。
仏教関連の本を中心に、
初級から上級編の順に並んでいて
なかにはローカル情報誌も陳列。
かつてお寺は
地域の中心でハブとなっていた場所だものね。
中級編あたりで発見したのは、
絵本「とびだせビャクドー!ジッセンジャー」
作者は「ろくでなしBLUES」や「ROOKIES」など、
少年心を熱く描く、
人気漫画家 森田まさのり氏。
実は森田氏は
浄土真宗本願寺派の寺の長男なのだそう。
この絵本には、
「必ずそこかに助けてくれる人がいる、常に誰かに見守ってもらえているよ」
というメッセージが込められているとのこと。
東京ニーズに合わせた合同墓
今回、築地本願寺へ行くにあたり
母から託されたことがあった。
それは「合同墓」の詳細を聞いてくること。
東京に住む両親は、
死後、子供に手間をかけたくないからと
墓を持たない方向で考えている。
実際、人口の都市集中化や核家族化などを背景に、
習慣や生活スタイルは変化し、
墓に対する考え方も多様化しているという。
まさにそんなニーズに応え、
開設されたのが「築地本願寺合同墓」
原則、申し込みは生前。
骨は個人ごとに収蔵され、
合同区画であれば30万円~
年間管理費は不要。
「仏説阿弥陀経」には、
倶会一処(くえいっしょ)という言葉があり、
阿弥陀様のお浄土にて、
また共に会わせて頂くという意味で、
この合同墓は命の依り所、
そして阿弥陀様と出会う場となるのだそう。
ポイントは生前申し込みというところ。
「ここが自分が眠る場所か」
と思うことにより、
おのずと足を運ぶし、興味も深まる。
こうして帰属意識を持たない方とも、
接点を増やし縁を繋ぐことで
その人の「寺と〇〇」が始まるのだ。
因みに永眠じゃなくって、
普通に寝られる宿泊施設もあるよ。
異例の人事!話題となった築地本願寺トップ
異例の人事!!と
世間をざわつかせた築地本願寺のトップ、
安永雄彦宗務長(法名:雄玄)にも、
お話を伺うことができた。
いくつもの顔を持っている宗務長。
経営コンサルタント会社の社長で、
社会人対象のグロービス経営大学院教授、
浄土真宗本願寺派の僧侶であり、
築地本願寺の宗務長というすごい方である。
経歴を遡ると、
銀行員、ヘッドハンティング会社を経て、
経営コンサルタント会社の代表に就任。
社長業を行いながらも、
惹かれるものを感じて、
通信制大学にて僧侶の資格を取得。
その後、縁あったお寺で、
いつの間にか副住職を任された。
「変わったやつがいる」という噂がたち、
様々な会合に呼ばれるようにもなり、
またまたいつしか、
本願寺派や築地本願寺の社外取締役的な委員を
任されるようになったという。
なったらなったで、
意見提言を行っているうち、
2015年夏に築地本願寺宗務長に就任。
代表役員として、
組織のトップに立って主導する立場に。
「だから別に意図してないんですよ」
そう笑って仰る安永宗務長。
元々、信心があったわけでもない。
ただ幼少期にはおばあさまと一緒に、
よくお寺に行っていて、
寺が身近な場所ではあったという。
―—築地本願寺と会社のトップ、違いはありますか??
安永氏:株式会社も宗教法人もコーポレート。経営という面では基本は同じ。理念があって目的は伝道布教という出口が違うだけですね。
経営の話に始まり、
人との縁の大切さ、
寺とプロジェクトの本質や、
現代のニーズに合わせた構想等について、
たっぷりとお話してくださった上、
三重県にて私が携わっているお寺のこども食堂や情報発信等についても関心を持って聞いて下さった。
安永氏:まず知ってもらうのはとても大事なことですから、情報発信は必須ですね。因みに銀行員時代で名古屋勤務の頃に「安永餅と同じ字の安永です」と名乗ることもあったんですよ。
―—おお!!安永餅といえば三重県の銘菓ですものね!
安永氏:そうでしょう。あと先祖は尾張黒田藩出身で、刀鍛冶だったという記録もあるのです。刀鍛冶といえば、三重県桑名の刀匠村正が有名ですよね。
―—おおお!もしかしたら三重県にもご縁があるのかもですね。三重県とのフックが増えました!ありがとうございます!
明るく気さくに話をして下さる宗務長。
広報担当の僧侶とのやりとりからも、
風通しの良さがとても伝わってきた。
最近の築地本願寺が、
斬新でスピード感がある根源がわかった気がした。
改めてすごい革命的な人事だ。
荘厳な本堂で心を静めよう
ここまでガシガシと心掴まれるものばかりで、
ついテンション上がっていたが、
最後に心静めようと本堂へ。
築地本願寺の本堂は、
関東大震災に伴う火災で焼失後、
建築史の権威である伊東忠太博士の設計で、
1934年に再建された。
インドの古代仏教建築を模した外観が特徴。
正面階段には獅子像が鎮座し、
本堂内にも、
牛や鳥、猿などの動物像が至る所にいて、
なんだかエキゾチックジャパンだ。
また築地本願寺は、
X JAPANのギタリスト、
hideの葬儀が行われた場所であるため、
今もファンが訪れる追悼ブースが設けられていた。
柱や壁の装飾など、
キョロキョロしながら、
ステンドグラスが施された扉を開けると….
そこには眩いほど荘厳な本堂がピカー!!
厳かな雰囲気のなかで
椅子に腰をおろすと、
お香のかおりに包まれて、
心が静まり、安らいでいく。
同じくジッと座って、
ご本尊を見つめている人が結構いた。
大きなパイプオルガンも有名で、
3メートルから1センチまで
大小2000本のパイプで構成されている。
深く柔らかな音色が、
天井の高い本堂に響き渡り、
癒やしのひとときを与えてくれるのだ。
パイプオルガンとコラボレーションするランチタイムコンサートは、
毎月最終金曜日の12:20~12:50に行われるので、
是非聴いて頂きたい。
そうそう、余談かもしれないが、
行き交う僧侶達が、
若く爽やかな方が多く、
親切な対応をしてくださったのも印象的だった。
この日1日、築地本願寺をまわって感じたのは、
すごいことになってきたな!ってこと。
だって、築地本願寺ほどのドデカイ組織が、
ここまで変わろうと仕掛けてきてるのだから、
そのパワーたるや想像以上。
ふと立ち寄りたくなる時間と空間、
気軽に交流できる仕組みが随所にあり、
今までご縁がなかった人でも、
とにかく一度行ってみてほしい!!
私自身、三重県で、
おてらこども食堂など、
お寺の取組みに関わっているのもあり、
今の時代に合った地域におけるお寺の存在についても、
改めて考える機会となった。
人々に寄り添う、
開かれた寺を目指す”寺とプロジェクト”
後日、母から、
築地本願寺へランチタイムコンサートに行ってきたよ
との連絡を受けた。
「寺と○○」は、
私の中でも確実に始まっているようだ。
築地本願寺
住所:東京都中央区築地3-15-1
電話:03-3541-1131
寺とプロジェクトの詳細はこちら
善西寺
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事