伊勢志摩には伝説を作るサーファー達の話がある!@志摩市

伊勢志摩には伝説を作るサーファー達の話がある!@志摩市

18641
シェア
LINEで送る

ISE LOCAL LOCATION 

「 2015.09.28 am11:00 」

台風21号が日本列島の西、与那国地方に猛烈な暴風を伴って通過している頃、本州の志摩半島にある南向きのサーフポイントには21号のうねりがヒットしていた。

_IMU2091
サーフィンと写真の関係性は他のスポーツより高く感じる、同じ波は2度とこないしその日に集まるサーファーメンバーも同じ、こうした写真も特別な一枚になっていく

サーファーは天気図に台風が現れるとソワソワドキドキする人種なのですが、最近波乗りの回数が減りつつあった私にも気になる胸の高鳴りがもどりつつあった。

この日の午前、一本の電話が入った。ワハさんからだ!彼は若い頃プロサーファーとして世界大会に出て戦った経歴を持つサーフィン界のパイオニア、今はサーフィンショップを経営し60歳になった。

_IMU2082
「ワハ」白髪のサーファー

久しぶりの電話は自分の心をまるで見ていたかのようにいきなり喋り出した。『井村くん波いいよ!』その声はカメラマンとしての自分のモチベーションを久しぶりに高くあげてくれるものだった。彼の言うポイントは『ジャン』そこは浜島町にあるビーチの名前で、最近は砂の溜まりが良くなく波が崩れにくいと聞いてる。今回の台風のうねりは普段と違う場所でその日だけの波が崩れているらしい、そして午後の潮時の満ちこみをねらい待ち合わせをする事にしたのだ。

_IMU2110
「ヒルタ」 波さえあれば必ず海にはいっているローカルサーファー

ポイントに着くとまずローカルサーファーのヒルタが目に入った。彼はプロ経験はないが、波さえあれば必ず海に入っている「日常が波に乗る事が当たり前」の生活をしている電気屋さんだ。波待ちする彼のアウトサイドには台風のうねりが幾つも入ってきている。サイズはまだまだと言えるかもしれないが、ファーストブレイクが掴みにくい波になっている。どうやら午後からオンショアの風が吹き出した影響のようだ。

_IMY0756
時折チューブとなるセクションを狙う

ヒルタが1セットを終え丘にあがった。ワハとヒルタが次どこで入るか海をみながら相談していると一台の車が後ろに止まった。それは波がいいとの話で駆けつけた福田義明プロだ。JPSAそして関西が誇る日本のトップサーファーでワハさんの弟子でもあった彼と、

_IMY0720
「福田義明」彼のサーフィンセンスはいまも見る人を魅きつける

なんとこれから師弟サーフセッションが始まることになったのだ。

 

 

「 pm15:00 満ち込みを狙う 」

ポイントは誰も乗ろうとはしない左サイドの岩の上から崩れるグーフィー波。簡単に文字にはするがとても危険な波だ。テイクオフするボトムは岩となっていて手や足が当たる状態。もし失敗するなら想像するだけで身震いがする。

波に乗ったとしてもライン上には二つの岩をよけて乗っていかねばならない。決して真似はしてはいけない、素人にはとても危険なポイントだ。

_IMY0546
どうみても岩の上にテイクオフしている、海から上がった彼の足がどうなったか想像してみてください

時折くるセットも癖がある。それは毎日サーフィンをしているこの三人のメンバーが、これほど苦労するのかと思えるほどだ。そしてテイクオフポイントは狭く二度掘れする箇所も出てくる。またその下に大きな岩がみえているのだ。

_IMY0596
しっかり波を選ぶ事で障害となる岩をさける事ができる、そして大切に波をメイクしていく

どうして波に乗るのだろうと考えさせられる時がある。理由はサーファーによりいろいろあるかもしれないが、一度乗ればその答えを知ることができる。それは人の感性に迫ってくる感覚。自然を相手にするサーフィンとは教科書に乗っているものではなく、テレビで見ているものでもない。そんな世界が波の上にあるのだ。

 

「自分の前に困難があったとしても」

_IMY0578
波にあわせるタイミングとは研がれた感性ともいえる

この日のこのポイントでのサーフィンは、下手をすると怪我では済まない事態も予想できる。そんな彼らが波に挑む姿を写真でみていると、まるで言葉ではないメッセージが伝わってくるようだ。

私の周りには波に乗ることを人生に例える先輩サーファーがいるが、その例えを借りるなら「人生の波に苦しい事が現れたらあきらめるのか?」と問いかけられているように聞こえる。もし困難が前に現れたら進もうとするだろうか、その波に乗ろうとするだろうか。

_IMY0492
岩が隠れたセクションで波は急激に掘れ、岩をかわしながら繋げていく

この日レジェンド達は、それを否定した見事なサーフィンをしている。なんどもなんどもテイクオフをして、大岩のすぐ横で崩れる波をつかまえ、怪我をするような岩が底から現れても、それをかわしながら前に進んで行く。

彼らの前に波が姿をみせるとき、精一杯のパドリングをする。後ろを振り向かず乗りこなすために全力をだす。そうしたひとつひとつの波への姿勢が、若いサーファーたちの尊敬を集めているといっていい。

いい波に見えるが「ジャンの左」はエキスパートのサーファーにしか許されないサーフポイントだ
いい波に見えるが「ジャンの左」はエキスパートのサーファーにしか許されないサーフポイントだ

だれにでも諦めてしまう波が目の前に現れるかもしれない。でもそれを乗りこなす方法を知っているオトナが必ずいる。そんなサーファー達を是非さがして頂きたい。

 

2015年9月28日、忘れられない日となった今回。そして決して簡単に入れるポイントではない場所でのサーフセッション。決して命を軽くみてこうした場所でサーフィンをしているのではなく、こうした波を乗るため日々鍛えている彼らがこうして存在していること、そしてこのような伊勢のサーファー達の波に取組む姿が、これからも伝説となっていく。

 

 


『 ISE LOCAL LOCATION 』: 10年前サーファー達との写真日記をホームページで展開していた頃はBlogやSNSといったものはありませんでした、今日ではその日の波の状況もどんな事が起こっているとかも知っての通りすぐ情報が拡散されていく現代そんな時代に正直疲れている人も少なくないでしょう。ネガで撮影していた時のようにカメラを海に持ち出し、波乗りをして思う事は今でも簡単に言葉にできない事ばかりです、でも海で出会う人たち、そして波と風そのマッチングから生まれる人の感性が人をひきつけやまないように思えます。

写真と活字による[ ISELOCALLOCATION ]伊勢でサーフィンをするサーファー達から見る世界観が記事となっています。

 

y_imura
yoshitugu imura。OTONAMIE公式記者。サーファーからフォトグラファーに、海に持っていったギターでミュージシャン活動もする(波音&Ustreet )ドブロギター奏者。伊勢市在住。
この記者が登場する映像