ホーム 01【食べに行く】 gyoson. 漁村の食堂で、味の記憶を知る@志摩市和具

gyoson. 漁村の食堂で、味の記憶を知る@志摩市和具

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【 like a dog 】

先日も犬のようによく働き、昼食はコンビニでオニギリを買った。
大きめの魚の具入り、“贅沢” なオニギリだ。
会社に戻り、コンビニでもらった1回分のオシボリで手を拭く。
いただきます。
オニギリをペットボトルのお茶で流し込む。

私は、そんなコンビニエンスな世の中に暮らす住人の一人だ。
便利なことは、とてもいいこと。
便利は価値だ。便利は差別化だ。差別化して儲けるんだ。競合に勝つんだ。
そんなセオリーがまかり通る、やや忙しい時代に生きている。
そして、差別化された贅沢なオニギリを食べ終えた。
オニギリの包装材やペットボトルをゴミ箱に捨て、1回分の食事は1分強で終了。

あれ・・、
先々日の昼食は “なに” を食べたんだったかな・・。

 

【 無意識の意識 】

しかし、そんなコンビニエンスな暮らしをしていると、五感が淀んでいく気がする。
よし。出かけよう。
カメラを片手にクルマに乗った。
津から1時間半のドライブ。

やってきたのは、三重県志摩市和具の漁村。

すぐ近くに海がある暮らし。

古民家や、せまい路地。
コンクリート張った壁面。

さらに志摩から南伊勢の漁村部にかけての、この独特な配色の小屋。
この配色について、以前南伊勢の友人である漁師さんに聞いたことがある。
むかし遠洋漁業で海外に行った漁師さんが、カラフルな海外の沿岸部に感化され、海外の塗料を買ってきて塗ったとのことだった。(詳しくはこちら

漁村の独特な空間。
その空間自体が、無意識の意識を表現している現代アートのようだと感じる。
そしてその空間にいると、自分の中にある無意識の意識が反応しているようでならない。

 

【 あなご、あなご、あなご 】

漁村のレトロ感のある食堂へ入った。

メニューをみると、

あなご、あなご、あなご・・。

なんでも、店のご主人が捕ってきたものらしい。

ちなみにご主人、たこが捕れればたこ焼きもつくるとのこと。
地のものを食べるという贅沢。

大きなあなごにアオサを振りかけて

いただきます。
あっさり目のタレ、弾力のあるあなご。
アオサの風味もよく、とても美味しい。
名古屋や遠方からも、ここのあなごを求めて通う人もいるという。

食事をしながら、店の女将さんや常連さん(2名)とお話。
みなさん結構ご高齢なのだが、背筋もピンとしていてビックリするくらいお元気。

常連さん:家で話すと近所に聞こえるて、怒られるわ(笑)。

声も大きくとてもお元気。
常連さんのお一人は、お葬式の帰りだった。
98歳のお知り合いが亡くなられたという。

私:ご長寿だったんですね。
常連さん:ここらは長寿の人が多いでな。

 

【 ただ、守りたい味 】

長寿の秘訣を聞いてみた。

常連さん:食事がものすごく大事。ここらでは、私ら70代や80代前半は若手やわ(笑)。

お応えいただいた常連さんは、志摩いそぶえ会(以下いそぶえ会)の会長を務める石原さん。
いそぶえ会は志摩の郷土料理を守り伝え、地元の活性化につなぐ活動をしている。
約15年前から活動を開始して、今は17名のメンバー。
昨年キロ単価が伊勢海老より高くなり、今でこそ人気となったアオサ。
こんなエピソードも。

石原さん:発足当初は「そんなアオサみたいなもんで」と、誰も振り向いてくれませんでした。

しかし今ではNHKをはじめ、様々なメディアにも取り上げられている。

私:好きな魚ってありますか?
石原さん:とれたてのもの、旬のものが美味しいですね。

なるほど。
ご長寿の秘訣は、新鮮な魚介類の郷土料理にあるのかも知れない。
旬の食べ物は、滋養が高いと聞いたことがある。

いそぶえ会は、味の記憶を繋ごうと、冊子やホームページでも郷土料理のレシピを公開している。

石原さん:味の記憶は、まず食べさせておくことです。

味の記憶とは不思議なもので、とてもしっかり記憶している場合が多い。
その味を食べたときの感情や、風景、一緒にいた人さえも思い出すこともある。
海外旅行にいくと、たまごかけごはんが食べたくなるのも不思議だ。
距離が離れるほど、味の記憶は鋭敏になるのかも知れない。

話は変わるが、志摩いそぶえ会はボランティアで活動している。
結構な労力も費やしていると聞いた。
なぜ、そこまでして郷土の味にこだわるのか?

石原さん:ただ、守りたいんです。

地のものを食べる。
その地に伝わる、先人の知恵が詰まった郷土料理。
それには、大切な人の健康を想う気持ちや愛郷の念など、大切な意味がある気がした。

郷土の料理をいただき、何杯もお茶を淹れていただきながら地元の方とお話をした。
そんなひとときは “贅沢” な時間だった。

石原さん:今は成人病になる人が多いでしょ。食べるものやと思うんです。

おっと・・。
最近ファストフードが多かった、私の食事情。
大きめの魚の具入り “贅沢” なオニギリもそうだ。
贅沢ってなんだろう?
便利なコト?
それとも時間の過ごし方?
その答えは、自分自身の “味の記憶” に聞いてみることにして・・、
少しくらい便利じゃなくても、ちゃんと食べようと思った。

 


 

和具浦荘
三重県志摩市志摩町和具2237-1
tel 0599-85-0003

志摩いそぶえ会
hp http://www.izumi-soft.co.jp/~scoal/isobue_koushiki

 

 

yusuke.murayama

村山祐介。OTONAMIE代表。OTONA MASTER。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事

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