ホーム 04【知る】 「日常生活を生きるすべての人がアスリート」桑名で広がる立腰体操

「日常生活を生きるすべての人がアスリート」桑名で広がる立腰体操

 

桑名市で、少し変わった体操教室が開かれています。


桑名市内のカフェや居酒屋、お寺で教室を開き、50〜80代の方々が声を出しながら笑顔で取り組んでいるのは「立腰体操」です。
「立腰体操」の指導者・中村さんは、サッカー選手時代に膝の痛みに悩んでいたときに立腰体操を知ったそうです。それ以来「日常生活を生きるすべての人がアスリート」という考えのもと、体と向き合うきっかけを届けています。

今回は、中村さんに立腰体操の魅力や体との向き合い方、日常生活をもっと軽やかに生きるヒントについてお話を伺いました。

 

中村和哉さん

立腰体操指導者兼スポーツアスリート指導者。桑名市を拠点に活動。社会人サッカーチームで選手としてプレーし膝の痛みに悩んでいたところ、立腰体操と出会う。体の根源的な使い方を学んだことで痛みが改善し、その魅力を広めたいと指導者の道へ。「三重県桑名市を健康寿命日本一の町にする」を目標に掲げ、パーソナル指導・団体指導・イベント指導・企業様向けの指導・マルシェ出店など活動を広げている。

 

 


本来の動きを取り戻す、立腰体操


—まずは「立腰体操」について教えてください。

中村:「立腰体操」とは、本来の動きを取り戻すための体操です。具体的には、背骨や骨盤を中心に全身を連動させて動かすことで、身体機能の回復や可動域の改善を目指します。

例えば、車を想像してみてください。車はアクセルを踏めば進み、ブレーキを踏めば止まるという構造です。もしその構造を無視して、無理な使い方を続ければ部品はすぐに消耗し、事故を起こしてしまうでしょう。体も同じで、本来の骨格や構造に合った動き方があるんです。しかし多くの人はその動きを知らないまま、日常生活の癖や偏った動き方を続けています。その結果、関節や筋肉に負担がかかり、不調につながってしまうのです。立腰体操は、そうした体本来の動き方を思い出し、取り戻していくための体操です。

 

—私たちが勘違いしている体の構造はありますか?

中村:一番分かりやすいのは、腕ですね。木全さん、腕はどこから生えていると思いますか?

 

—肩のあたりでしょうか?

中村:多くの方が「腕は肩から生えている」と思っていますよね。ですが、解剖学的には腕の動きは肩だけでなく、胸鎖関節など胸まわりの関節とも深く関係しています。
胸鎖関節とは、鎖骨と胸骨がつながる胸の上あたりの関節のことです。もし「腕は肩から先」と思い込んで肩だけで動かそうとすると、本来一緒に動くはずの胸まわりの関節がうまく使われず、結果として肩や周囲の筋肉に負担が集中してしまいます。そうした状態が続くと、肩こりなどの不調につながることがあります。一方、胸鎖関節を含めて胸から腕がつながっているという意識で体全体を使って動かすと、肩だけに負担がかからず、全身が連動して動きやすくなるんです。

 

—意識を向けると、体の使い方が変わるんですね。
立腰体操には、2500種類ものバリエーションがあるとのこと。声を出しながら取り組む体操が多いですよね。

中村:立腰体操はどれも「面白おかしく、本能に訴える」のが特徴です。例えば、椅子に座った状態で上半身を前に突き出し、その後背中を丸めてお腹をへこませる動作を繰り返す運動があります。動作に合わせて「スー」などの声を出します。そして、上半身を前に突き出す際は、目の前に大好きな人がいてキスをしに行くイメージで行うんです。

 

—「キスをしに行くイメージ」ですか?(笑)

中村:これが重要なんです!人間の本能的なイメージを使うと、意識せずとも、お尻が地面に着地したまま勝手に顔を前につきだそうとするんです。すると背骨がしなやかに伸びていきます。

 


サッカー選手時代、立腰体操と出会った


—立腰体操に出会ったきっかけを教えてください。

中村:社会人サッカーチームで選手としてプレーしていた頃に立腰体操を知りました。選手時代膝の痛みに悩まされており、整体に通えば良くなるのですが、1〜2週間経つとまた痛みが戻ってくる。その繰り返しでした。そんなとき、立腰体操を知り「これだ!」と直感しました。

 

—実際に試してみて、変化はありましたか?

中村:膝の痛みは、体の根源的な使い方を無視していたことが原因だと分かりました。体操を続けているうちに膝の痛みは消え、プレーも劇的に改善されました。

 


—立腰体操はメンタルも整うそうですが、日常的にどのような効果があるのでしょうか?

中村:大いに関係あります。 立腰体操は、体と心をセットでトレーニングするからです。想像してみてほしいのですが「スキップしながら怒る」って難しいですよね。これは、 体と心は密接に繋がっているからです。

毎日懸命に生きている私たちは、泣きたいのに我慢してしまうなど心のキャパシティが狭くなっています。そんな社会で生きるからこそ、立腰体操で体を動かして感情を外に出し、心のバランスを整えることが大切なんです。

 

 


87歳の女性が取り戻した、歩く喜び

 

—印象に残っているお客様の変化はありますか?

中村:87歳の女性の方です。もともと姿勢がきれいな方だったのですが、足を骨折して入院したことをきっかけに、杖を使う生活になりました。日本の杖は高さが低いものが多く、どうしても前かがみになりがちです。その方も「転んだら危ないから」と杖を手放せずにいたのですが、使い続けるうちに腰が曲がっていきました。
そんなときに立腰体操を始めたんです。体操を通して、長いあいだ固まっていた体を少しずつ緩めていきました。すると、次第に姿勢が整い、最終的に杖なしで歩けるようになったんです。その女性からは「肉体的な回復以上に、生きる活力を取り戻せた」とおっしゃっていただきました。

 

—体と向き合う大切さを改めて感じるエピソードですね。具体的に何を意識すればいいですか?

中村:例えば家族が髪を切った時、気づく人と気づかない人がいますよね。それは相手をどれだけ観察しているかの差です。体も同じで、毎日向き合っていれば「今日はここが重いな」「この動きをしたら楽になったな」という微細な変化に気づけるようになります。

よく「10回×3セットやれば痩せる」など目安を提示するエクササイズもありますが、人によって体調や悩みは違います。大切なのは、回数をこなすことではなく、体に耳を傾けることです。「自分専用の取扱説明書」を作るイメージですね。


—「自分自身が一番の理解者になる」ということですね。

中村:その通りです。30代〜40代の頃から、自分の体に向き合う習慣を持てれば、生涯30代のような軽やかな動きで過ごすことも夢ではありません。


体を面白がるところから始める


—中村さんが提唱する「日常生活アスリート」という言葉、とても素敵ですね。改めて「日常生活アスリート」の意味について、教えていただけますか?

中村:ありがとうございます。スポーツ選手だけがアスリートではありません。私たちは日常生活で無意識に体を動かしています。例えば、重い荷物を持つ、子供を抱き上げる、階段を昇る。日々の生活の中にある全ての動作が「運動」なんです。だから、日常生活を営む全員がアスリートだと思っています。その意識を持つだけで、歩き方や座り方にも意識が向くはずです。

 

—日常の動作をすべて「運動」として捉えるのですね。これから、どう広めていきたいですか?

中村: 今は桑名市を拠点に、カフェや居酒屋、お寺などで教室を開いています。引き続き地域に根ざした活動を大切にし、立腰体操の魅力を伝えていきたいです。ゆくゆくは全国の各市町村が健康寿命を競い合うような仕組みを作り、楽しく立腰体操を広げていきたいです。

 

 

—最後に、この記事を読んでいる読者の方に、まず始めてほしいことはありますか?

中村: まずは、自分の体をもっと「面白がって」ほしいです。「なぜ今日は肩が重いんだろう?」「今日は足取りが軽いなあ」と、自分の体で観察してみてください。

立腰体操は、特別な道具も場所もいりません。デスクワークの合間や家事をしながらでも、始められます。1日何分、何セットという縛りもありません。その自由さが、体と向き合う第一歩になるはずです。

 

 


【立腰体操in桑名】

住所:三重県桑名市内
お問い合わせ先:
instagram
https://www.instagram.com/tategoshi.kuwana

LINE

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で