おいしいイチゴを作っている若者がいるという噂を聞き、三重県松阪市大足(おわせ)町にやって来ました。のどかな田園風景に建てられたハウスでイチゴ農家を営んでいるのが、写真の彼、金谷元貴さんです。トレードマークの髭姿を見て、もしかして…?と思ったあなた、Instagramで「髭苺」を発見したことがあるのでは。彼こそが、おいしいイチゴを作る髭苺氏本人です!
今回は、イチゴ栽培に本気で取り組む金谷さんのストーリーと、2025年2月のバレンタイン、3月のホワイトデーに合わせて開催が決定した、金谷さんが作るイチゴが主役となる食のイベントについて紹介します。
取材・撮影・文 キャスターマミ(西口茉実)
イチゴ農家を始めたきっかけ
金谷さんは、三重県松阪市大足町に生まれ、高校卒業までを過ごしました。実家を離れ、愛知県で就職し結婚。子どもを授かったタイミングで、松阪へUターンし子育てしようと夫婦で決意します。どんな仕事をしようか考えたとき、金谷さんの祖父がイチゴ農家を営んでいたことを思い出しました。
「じいさん、ばあさんが高齢になり辞めていたけれど、水質など、イチゴが作れることは過去の実績から分かっていました」
愛知県では工業系の仕事をしていて、農業に携わったことはなかったという金谷さん。2021年の夏から秋にかけて初めて苗作りをして、12月から収穫を始めました。新規就農から、今期で4作目になります。
“よつぼし”への挑戦
イチゴの売り先は、JAと地元スーパーマーケットの地産地消コーナー。品種は、章姫をメインにスタートしました。
「最初は量を採ることが必要だったので章姫に力を入れましたが、1年目から試験的に少しのスペースで作っていたのが“よつぼし”」
章姫で、1本の苗から3パック=約750g採れるそうです。それも少ない!と感じましたが、よつぼしになると、その半分しか採れないのだそう。
「味を食べ比べてみてください」
← 左:よつぼし / 右:章姫 →
細長い方が章姫。酸味はなく甘味がしっかり。こちらも感動のおいしさですが…
丸っこい方のよつぼしを試食させていただくと、まず驚くのが食感。果肉がかためでしっかりしています。適度な酸味と強い甘味。味が濃厚!
「よつぼしは作っている農家が少ないので、あまり出回っていません。松阪市内では50~60軒くらいあるイチゴ農家の中でも、僕が知っているだけで4軒しか生産していない。この辺りはイチゴの産地なので値段設定を高くしては売れないけれど、付加価値はつけていきたい」
金谷さんは現在、章姫をハウス2棟、よつぼしを1棟で栽培しています。全面積で9a=約1反。苗は全5500本。ハウス隣の直売所へ買いに来るお客様のお目当ては、ほとんどがよつぼし目当て。来期はハウスの数を増やしてよつぼしをさらに作っていきたいといいます。

髭苺のおいしさの秘訣
1度食べたら他のイチゴが食べられないと、口コミでファンを増やしはじめた髭苺。おいしさの秘訣について掘り下げていきましょう。
ーー年々おいしくなっている!という声も聞きましたが、ずばり髭苺はなぜおいしいのですか?
「農業始めたきっかけも、子どもに安心安全なものを食べさせたいということだったので、まず農薬の使用量が他の農家さんに比べたら少ない。実になってからは農薬をかけていません」
ーー農薬を使わずに育てるのは難しいのでは?
「はい、農薬をかけないと難しいです。虫や病気を細心の注意を払わないといけません。虫が虫を食べるなど、新しい技術を入れています」
ーー虫が虫を食べる!?業界も日々進化しているのですね。イチゴ作りで苦労していることは?
「味を安定させること。天候次第で味が決まってくるので、どうコントロールするか」
ーーハウスでも天候は関係あるのですね?
「ハウスに入る日差しがなければ、味が落ちていきます。曇りばっかりだったり、ハウス内の温度が低すぎたりすると、蜂も受粉活動をしなくなる。光合成もできなければ味が乗ってこない。いかにイチゴにとって良い環境を作ってあげるかが大切です」
毎年試行錯誤を重ねているという金谷さん。年々味が良くなってきているという噂は本当でした。去年のよつぼしは、糖度計で12~13度でしたが、今年は16度にアップしたそう!
金谷さん、松阪に戻ってきてくれて、イチゴ農家を復活させてくれてありがとう!!イチゴ好きを代表して、お礼を言わせてください。
食のプロデューサーによる髭苺“よつぼし”イベント
さて、そんな髭苺の最高傑作“よつぼし”に着目したのが、三重県松阪市に本社を置くシティホールディングス株式会社代表取締役社長で、イノベーションプロデューサーとして活動する中川健児さんです。金谷さんが本気で作るイチゴの魅力を最大限に引き出して、多くの人に感動を与えたいと、中川社長は、生産者を応援する食のイベント「未来への挑戦プロジェクト」を立ち上げました。
舞台は、松阪の中心にある紹介制レストラン「twlv(トゥエルブ)」。
真っ黒な外観に、看板はありません。何の建物?と不思議に思っていたという方もみえるかもしれません。かつて中川社長が経営していた居酒屋を改築し、2022年、「黒」をコンセプトに食のエンターテインメントを提供するワンランク上のレストランとして生まれ変わりました。各地で活躍する有名シェフや伊勢志摩の海女さんなど、グルメ通のお客様の舌を唸らせてきた「twlv」。ドレスコードはブラックコーデと決まっています。かっこいい!
これまでは紹介制でしたが、多くの方に未来への挑戦プロジェクトに携わってもらいたい、まずはお客様としてご来店いただきたいと、「ヨツボシイチゴ 額縁スイーツ―YOTSUBOSHI ICHIGO ON STAGE」「STRAWBERRY DINNER 2025」は、誰でも参加できるイベントとして開催されます!
主役は金谷さんと、彼が作った“よつぼし”。中川社長がコラボさせる9名のシェフ&パティシエによる、美しく飾り立てられたアートのようなメニュー、想像さえできないイチゴ料理の数々を心行くまで堪能してみては。
2/11【ヨツボシイチゴ 額縁スイーツ】YOTSUBOSHI ICHIGO ON STAGE
県内の5人のお菓子職人が集結し、“よつぼし”を使って額縁の中の芸術を完成させます!いちご狩り、かき氷とのアフタヌーンティー。
開催日 2025年2月11日(火曜祝日)
開場 1部 10:30 / 2部 13:30
開演 1部 11:00 / 2部 14:00
参加費 税込12,000円(ワンドリンク付)
【額縁スイーツ】
・チーズテリーヌ KURATA(多気町)
・フランス料理 サンセリテ(松阪市)
・パティスリー ラ フェ シュクレ(松阪市)
・パン工房 covopain(津市)
・和菓子 大徳屋長久(鈴鹿市)
【いちご狩り】
・小さな農園 髭苺
【かき氷】
・中川氷菓店
2/14,2/15【第一弾】STRAWBERRY DINNER 2025
松阪市飯南町のイタリアンレストラン「natura(ナトゥーラ)」鎌田シェフによるバレンタインデー“よつぼし”イタリアンディナー。
開催日 2025年2月14日(金曜日)/2月15日(土曜日)の2夜
開場 18:30
開演 19:00
参加費 税込20,000円(ドリンク別)
料理 natura 鎌田恵弥シェフ
ゲスト 小さな農園 髭苺 金谷元貴さん
3/11【第ニ弾】STRAWBERRY DINNER 2025
松阪市下村町のフレンチレストラン「サンセリテ」萬濃シェフによるホワイトデー“よつぼし”フレンチディナー。
開催日 3月11日(火曜日)
開場 18:30
開演 19:00
参加費 税込22,000円(ドリンク別)
料理 サンセリテ 萬濃直哉シェフ
ゲスト 小さな農園 髭苺 金谷元貴さん
3/14【第三弾】STRAWBERRY DINNER 2025
松阪中町のイタリアン割烹「タベルナケンタ」平生兄弟によるホワイトデー“よつぼし”イタリアンディナー。
開催日 3月14日(金曜日)
開場 18:30
開演 19:00
参加費 税込15,000円(ドリンク別)
料理 タベルナケンタ 平生健太シェフ、平生良太ソムリエ
ゲスト 小さな農園 髭苺 金谷元貴さん
イベント共通情報
会場 twlv
住所 〒515-0019 三重県松阪市中央町39
Google Map等の場合
“バリアンテツヤ”で検索(現在のtwlv)
または、”カヴァルカンティ”で検索し、その裏がtwlv
車でのアクセス
名古屋から東名阪道で約1時間30分
大阪から高速道路新名神で約2時間20分
伊勢自動車道「松阪IC」から約7km
伊勢神宮より約30分
駐車場
隣のイタリアンレストラン「カヴァルカンティ」の駐車場を利用
電車でのアクセス
名古屋駅から松阪駅まで、近鉄特急で1時間10分
大阪難波駅から松阪駅まで、近鉄特急で1時間30分
賢島駅から松阪駅まで、近鉄特急で1時間
徒歩でのアクセス
松阪駅北口(近鉄側、フレックスホテル側)より徒歩7分
予約・お問い合わせ
シティホールディングス株式会社(担当:中西)
電話番号 0598-30-6620(平日9:00〜17:00)
メールアドレス nakanishi@mcity.co.jp
髭苺の夢
髭苺が買えるのは、三重県松阪市にあるマックスバリュの川井町店、中央店、郷津店の3店舗の地産地消コーナーとハウス隣の直売のみです。ちなみに、お菓子屋さんやレストランなどには一切卸していません。今回のイベントで、初めてプロの手に掛かるのです。
「今回の企画は、イベントで中川社長に僕のイチゴを食べてもらう機会があって、『おいしいから広めたい』と声を掛けてもらったことで始まりました。僕のイチゴを前面に出してもらえるのが嬉しい。有名なシェフ、パティシエたちの手でどんなイチゴメニューができるのかワクワクしています!」
最後に、今後の夢を伺いました。
「農業って僕から見ても、仕事として食べていけないイメージでしたが、楽しくできる立派な仕事です。人に感謝してもらえたり、おいしいって言ってもらえたり。農業はやりがいのある仕事だと、子どもたちに伝えていき、地域を守っていきたい。若者の新規就農を後押しできるよう、地域貢献していければ」
金谷さんの“よつぼし”への挑戦を、イベントを通してぜひ応援してください。
Instagram https://www.instagram.com/hige.ichigo
住所 〒515-0822 三重県松阪市大足町99

キャスターマミ。OTONAMIE記者。松阪市出身。生まれ育った三重が大好きで、三重を盛り上げたくて地元タレントに。テレビ・ラジオ出演、祭りやイベント、ブライダルMCとして活躍中。この記者が登場する記事