7月初旬、とある企画でカメラマンさん、モデルさん、私はライターとして玉城町を巡る取材をしていた。
梅雨に入ったとか入らなかったとか、そんな頃。
とにかく当日はものすごい湿度と温度で、身体にまとわりつく湿気に体力が奪われる思いでいた。
曇天の下、午後からは雨が降るということで昼前に田丸城跡を取材した。
急な坂道が続く城跡を10歩も歩けば全身から汗が流れる暑さ。
皆さんからは「暑いね」の声も消え、ただただ歩いて写真を撮り、それを確かめる。
こんなときでもモデルさんは、カメラが向けば笑顔になれるのだからすごいと思う。
天守閣跡に到着すると刈られたばかりの一面の草から、湿気を含んだ青々とした香りが、むっと漂う。
取材が終わり、ランチタイム。
こんなときベテランのカメラマンさんは地域の美味しい店を知っているのでありがたい。
カメラマン:近くに美味しいうどん屋があるから行かへん?おもしろいんよ。
車で3分ほど走ったところにある、とやらさん。
幾度か店の前まで行ったことはあったが、いずれも定休日だった。
今回知ったのだが、火、水、木のみの営業のようだ。
席に着いて濃い目の冷茶をいただき、メニューを見ながらカメラマンはいう。
カメラマン:これこれ!このカレーうどん(笑)。
モデル:わーすごい!私もカレーうどんにします!
さっきまであれだけ疲弊していたのに、よく身体がカレーうどんを受け付けられるものだなと思いながら、私はざるうどんに牛肉トッピングを注文した。
先に到着したのはざるうどん。
麺はしっかりと腰がありながら、もちもちした食感もある。
つけだれは出汁が効いていて程よい甘味もあり、トッピングした牛肉もとても合う。
麺の量が多く感じたが、つけだれが美味しく、つるつると食べ進めることができた。
夏はやっぱり清涼感を求めたくなる。
そうこうしているうちにカレーうどんも到着。
真上から見るとわからないが・・
溢れてる!
まるで日本酒のグラスから枡にこぼれるほど酒をつぐように。
そしてかなりとろみがありそうで「これでもか!」といわんばかりに冷房の効いた部屋に湯気を出している。
みんなでワイワイと写真を撮りカメラマンが食べる。
カメラマン:めちゃめちゃ熱い!でも旨いわ!
食べる姿を眺めているだけでも、熱さと旨さが伝わってくる。
前に座っているモデルさんは、熱さに苦戦している様子。
モデル:あつっ!海老天のなかまで熱い。わたし猫舌なんですよ。
ならばなぜカレーうどんを注文したのかと思ったが、そんなやぼなツッコミは、このカレーうどんの存在感にかき消されると思い口に出さなかった。
しかし気になる。
近くにいた店員さんに聞いてみた。
私:なんでだしが溢れているんですか?
店員さん:なんで?ですかね。うちのメニューはどれも量が多いです。カレーうどんの量を増やしたら、こうなったという感じですかね。あはは!
あつあつの溢れる系カレーうどんを食べるお二人。
さっきまで、田丸城跡で夏の湿度にやられていた私たち。
明るく笑う店員さん。
なんだか不思議なたのしさに包まれた、夏の昼下がりでした。
うどん・ご飯 とらや
度会郡玉城町下田辺城山873-7
tel 0596-58-5963
Instagram
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事