よくある日常の風景。
いつの間にか玄関に、採れたての野菜が置いてある。
時には洗濯物が取り込んであることも。「雨降ってきたで洗濯もん入れといたよー」「味ご飯いっぱい作ったんさ、食べる?」玄関から近所のおばさんの声が聞こえてくる。まだ温かい味ご飯(炊き込みご飯のこと)を受けとると、心がじんわり温かくなった。
覚えていますか?このまちのこと
人情味溢れるまち三重県松阪市飯南町・飯高町は、市の西部に位置し、1,000m 級の山々が連なる自然豊かな山里だ。
小正月に櫛田川沿いの国道166号線を走れば、一年の無病息災を願って、しめ縄など正月飾りを焼く伝統行事「どんど火」を数カ所で見る事ができる。
茶畑と山のある暮らし
ここでの暮らしは、茶畑との距離がとても近い。霜から新芽を守るファンが回る音。明け方、ブーンとその音が聞こえて目覚める時、今年も新茶のシーズンがやってくるのだなあと感じる。
初夏のこのまちは、どことなく忙しなくて活気がある。茶摘み機のエンジン音、普段のんびりと走っている軽トラックが、茶葉を乗せて慌ただしく走っていく。フル稼働する茶工場からは、蒸した茶葉のいい香り。
そして、急須で淹れて飲む新茶は、初夏の茶畑の香りがぎゅうっと詰まった、青々とした爽やかな味がする。
国道166号線から見える、局ヶ岳
子供の頃、お弁当を持って登った山。局ヶ岳のことを誰が「だけさん」と呼び始めたのだろう。愛情のあるものには愛称をつけたくなる人間の真理。地元民の愛を感じる、我らのホームマウンテン、局ヶ岳。
小さい頃から変わらない、お店や人
小学校のすぐそばにある福山商店。お菓子を買いに、立ち寄る子供達の姿。「昔、小学生やった子が今度は親になって、運動会の帰りに寄ってくれることもあるよ」そう言って笑う店主の京子さんの容姿は、私が小学生の頃からあまり変わっていない。
お店の佇まいもそのまま。変わったのは、アイスクリームの入ったショーケースくらいだ。
「冷凍庫壊れたんさ。もう家にあるやつでええかなと思て(笑)」
運動会や子供会の後は、小坂食堂へ
昔ながらの大衆感。白い横長のガスコンロの上で、煙をあげるホルモン。一気に食欲が沸いてくる。運動会や子供会後の定番は小坂食堂だった。「来年こそは、一位をとっていいとこ見せたいな」そんな思いを胸に秘めながら、みんなでワイワイ食べる焼肉は、何よりのご馳走だった。
給食はトミヤパン
給食はトミヤパンの、丸くてくるんと巻いた形をした「変形パン」、一番人気はやっぱり揚げパンだった。コロッケパンと瓶ジュースを買いにお店に行くと、白衣を着たおじいちゃんが焼きたてのパンを差し出してくれた。
下校中に山や谷へ、ちょっと寄り道
山では花の蜜を吸い、山いちごを摘んだ。櫛田川で水切り、谷ではイモリやサワガニを捕まえたりした。
「おかえりー!」近所の人の声、「ただいまー」と私。「そうや、これ持ってきな」と、差し出された野菜を抱えて下校することも。野菜はまだ、湿った土の匂いがした。
水辺のカーニバルと、飯南音頭
リバーサイド茶倉で行われていた夏祭り「水辺のカーニバル」。自分なりにお洒落をして、友達と自転車で行った。「いかだコンテスト」では、大人が本気で楽しむ姿を見るのが好きだった。
夏祭りの定番といえば「飯南音頭」、飯高町なら「飯高祭文」。子供からお年寄りまで参加する盆踊りなので、音楽が流れたら今でも踊れる自信がある。私たちの体にすっかり染み付いている、この地域のソウルダンスだ。
ただ懐かしいだけじゃない。吹いてます、新しい風
まちの和菓子屋さん
甲子軒三代目の星野美沙希さん。
飯南飯高地域の若手茶農家TEAS’TEA BOYSのお茶とコラボした、お茶あんとほうじ茶あんのどら焼きなど、地元の素材を使ったお菓子作りにチャレンジしている甲子軒の三代目、星野美沙希さん。
「地元の素材を使ってこの地域のPRがしたい。若い人たちが外に出て行ってしまうのが寂しくて。今後はイートインスペースを作って、人が集まれる場所を作りたいんです」
大正13年、甲子の年に美沙希さんの曽祖父が創業した甲子軒。小さな頃から祖父の菓子作りを見て育った美沙希さんは、三重調理専門学校で製菓を一通り学び、市内の洋菓子店で3年間パティシエとして働いていた
「お店はいつ継ぐの?と常連さんやご近所さん、周囲の人たちのプッシュがあり、甲子軒は愛されているんだなと感じ、継ぐことを決めました」
そんな美沙希さんのお気に入りの風景は、お店からほど近い「しぎさん」と呼ばれ親しまれている「中峰山福信院」の桜だという。
積極的に地域活動を行っている、飯南高校の生徒
飯南高校では、1学年は約3年間過ごす飯南・飯高地域のことを知るフィールドワークを行っている。2学年で企業見学会、インターンシップに参加し、3学年では、自らの興味・関心から研究テーマを自由に設定し、1年を通してそのテーマを調査・研究・作品制作・発表をする「いいなんゼミ」が行われるのだという。
山本さん:フィールドワークで印象に残っているのは水屋神社です。水屋神社は樹齢千年の大楠、国歌に詠われている「さざれ石」など、パワースポットの宝庫でした。3年生になったら、飯南飯高地域のことを外部の人に知ってもらう為のイベントを企画してみたいと思っています。
山本さんは、現在飯南町在住で県外へ進学する予定だが、ゆくゆくは県内で就職したいと考えている。山本さんの好きなこの地域の風景は、周りに建物がない、大きなスクリーンのような景色と、山と山の間から朝日が見えるところが気に入っているという。
北川さん:廃校した校舎が展示物と共に残されている有間野小学校をフィールドワークで見つけていいなと思いました。校舎が残され活用されている所ってなかなか無いと思うんです。学校や地域を盛り上げる應援團Circleでは、飯高町森地区のおばあちゃんにこんにゃく作りを教えてもらいました。商品化して販売してみたいと思っています。
飯高町在住の北川さんが好きな風景は、家の前から見える静かで落ち着いた家並みと山々。山に雪が積もる冬の景色も好きなのだとか。進学でこの地を離れる予定だが、また帰って来たいという北川さん。
飯南高校のシンボルである並木道を、暑い日も寒い日も通い続けた日々の記憶は、これからの2人を影で支えてくれる、思い出のひとつとなるだろう。
珍布峠の入り口に、サテライトオフィス
明るい縁側のある、古民家を再生したサテライトオフィス。この地域の子供が通う珠算教室が開かれていたり、ワークショップや料理教室など、様々なイベントに利用されている。
レンタルオフィスが3室、会議などに使用できるコワーキングスペースや、キッチンスペースがある。エアコン完備、Wi-Fiや光ファイバー回線も整っており、リモートワークにも最適だ。
ただいま。そう言いたくなる、このまち
車窓から見える光が、徐々に少なくなっていく。いよいよ明かりは街灯だけになって、暗闇に吸い込まれそうになる時、都会では見えない小さな星さえも見えていることに、あなたは気づくだろう。
動物の飛び出しにはご注意を。鹿で車を廃車にした人が、知り合いにひとりはいるはず。山裾を縫うように車を走らせ、懐かしい我が家へ。
「ただいま〜私のまち」
記事:orange(飯南町在住)
求人タイアップ:株式会社三ツ知製作所
はじめまして、株式会社三ツ知製作所です。弊社のある飯南・飯高地域は、少子化や若者の都市部への流出により、過疎化が進んでいる地域です。弊社が創業より大切にしてきた地元の方の採用が、将来的に厳しくなっていくと考えています。地域内の雇用は地元を元気にする基礎です。人口減少が進む時代のなか、今までの採用活動をいちから見直し、地元である飯南町・飯高町の魅力を発信することで少しでも興味を持っていただければと考え、今回の記事は持続的に地元の魅力の発信を行う一環としてスタートしました。
弊社は1971年の創業から「冷間鍛造(れいかんたんぞう)」をコア技術とし、シート部品・エンジン部品・ブレーキ部品といった自動車関連部品の製造を行ってきました。
「冷間鍛造」とは、素材となる鉄に熱を加えることなく、常温のまま圧力を加え加工する技術です。加工時に出る廃棄物がとても少なく、エコで地球にやさしいSDGsの時代にふさわしい技術です。
三ツ知製作所の製品の多くは世界に向けて輸出しています。緑豊かなこの町から、世界に通用するモノづくりをできることが私たちの誇りです。
0.01㎜単位の精度が求められるモノづくりは、世界に誇る日本の職人技。それは先人や現役社員の弛まぬ挑戦が築き上げてきた賜物です。大人数の大企業とは違い、全員が顔を合わせて声をかけあえる少数精鋭の職場環境です。
三ツ知グループは国内10ヶ所に拠点を持ち、更には中国、アメリカ、タイにグループ会社を設立しています。国内や海外出張もあり、自然環境に恵まれた田舎で暮らしながらグローバルな視点で仕事ができるのも魅力のひとつだと感じています。
最後までお読みいただきありがとうございます。私たちの大好きな飯南町・飯高町にぜひ遊びにきてください。
株式会社三ツ知製作所
三重県松阪市飯南町大字向粥見159番地の3
三ツ知ホームページ https://www.mitsuchi.co.jp/
TEL 0598-32-2200
▲飯南高校の生徒と作った映像
読んで頂き、ありがとうございます。三重県松阪市の山間部、70もの橋が架かる香肌峡在住。地元の写真部としても活動しており、香肌峡を旅するように暮らしています。フォトスポットやクセになるディープなお店をご紹介したいです。