無趣味の私だが、毎週ひとつだけたのしみにしていることがある。
日曜日の昼下がりに家でいただくお酒と、そのあて。ふだんは観ないゴルフや相撲の中継を観ながら。またはテレビを切ってこどもたちの声を聞きながら。ここちよい秋風が舞うこの時季は、食欲の秋でもある。今回、ゆずれない日曜昼下がりの酒のあてを求めてむかったのは魚屋さん。
ドライブがてらのどかな田園風景を眺めながらやってきたのは、津市一志町にある魚庄。ちなみに一志町は山側にあり海はない。
曾祖父が魚の行商ではじめた魚庄は、4代目の須賀谷信寿さんがご両親と家族経営をしている魚屋。仕出し、惣菜、弁当なども販売している。刺身の盛り合わせは、前浜の伊勢湾で獲れた魚があるときはそれを中心にバランス良く入れてくれる(当日は悪天候による不漁で地物はなかった)。
須賀谷さん:お子さんがいる場合はサーモン多めにしますか?とか、カツオを少なめにしますか?などお客さんに合わせるように心掛けています。
店で注文をしてから刺身に切ってくれるので、身の断面がきれいで鮮度が落ちない。仕入れは毎日、朝の4時から松阪にある三重県中央卸売市場で行っている。
須賀谷さん:トンボシビを刺身で食べる文化があるのは、紀州や三重など生で水揚げされる地域の特色なんですよ。
鮮度の高い紀州のトンボシビや伊勢湾の地物など、三重県中央卸売市場には豊富に揃う。魚のプロである須賀谷さんが好きな魚はなんだろう。
須賀谷さん:難しい質問ですね(笑)。やっぱり伊勢湾のキスやアジが好きですかね。
須賀谷さんは大阪で料理人をしていた。Uターン後に魚庄を手伝うようになり今に至る。年に数回、地元の公民館で食育に関するイベントも行う、三重県水産課認定の魚食リーダーでもある。須賀谷さんが思う、仕事のやりがいとは。
須賀谷さん:家庭で魚を食べる回数が増えたとか、刺身嫌いの子どもが食べるようになったと聞くと、やっぱり嬉しいです。
魚庄ではInstagramで本日の魚などの情報を発信している。それを見て若い共働きの夫婦も仕事帰りに立ち寄るという。仕事が終わって帰宅して、すぐに食卓に刺身が出せる。鮮度のよい刺身は臭みもなく、子どもも食べられるし親は食事の準備に手間がかからない。
須賀谷さん:ホタテおまけしときますね!
こういう昔ながらのお店とのやりとりも、なんだか嬉しく思う。家に帰っておたのしみの時間。銀色のレトロなフードトレイもいい感じ。
ワサビといっしょに、店で聞いたお話を添えていただく刺身は、いつもより美味しく感じた。
魚庄
津市一志町高野1318-7
tel 059-293-0077
hp http://uosho-sakanaya.info/
in https://www.instagram.com/uosho_nobusg/
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村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事