「あなたの好きな和菓子職人を1人あげてください。」
そう言われて、名前を挙げられる方がどれだけいるでしょう?
もしかすると、パティシエやショコラティエなら名前が浮かぶ人の方が多いかもしれません。そして、大好きなケーキ屋さんを思い浮かべるよりも、美味しい和菓子屋さんの名を挙げる方が難しい人が多いのではないでしょうか?
「このままでは和菓子界が廃れていってしまう。」
そんな危機感を持って、次々と和菓子の世界に嵐を巻き起こしている和菓子職人をご紹介します。今回は👇のようなスキームとなっております。
この記事を読む→この和菓子が食べたくなる→大徳屋長久さんへ行く→食べる→大好きな和菓子職人の名前が言えるようになる
その職人の名前は、竹口久嗣。300年の歴史を持つ老舗和菓子屋 小原木本舗 大徳屋長久の16代目。
竹口さんとお話していてずっと感じていたのは「違和感」でした。
今って和菓子職人と話しているのだったっけ?と疑問に思うほど話が多岐にわたっていて、とにかくめちゃくちゃ面白い方なのです。
新型コロナの影響で客足が途絶えていた頃、新しく売り出したのは、「さわってつくってたべる絵本」です。親子で絵本の登場人物になって、練りきりを作ってたべることの出来る体験絵本で、ステイホーム期間中には特に多くのメディアで紹介され、注文が殺到しました。
代替わりしてから10年。当初はここには書けないほど大変な会社の内情でした。良くも悪くも、和菓子の世界しか知らない両親が経営していた大徳屋長久は、倒産の危機にまで及んでいたといいます。
修行から大黒屋長久に戻ってきた竹口さんが、たまたま和菓子屋に生まれたからという、この長い歴史に胡坐をかくような経営をしなかったのは、この厳しい状況があったからこそと言えるでしょう。そして否応なく戦いの道に進んだのです。
竹口さんが挑戦してきたことが、すべて成功したわけではありません。例えば、新しい和菓子を毎月発表したけれど失敗。海外に和菓子を輸出したけれど頓挫。昔からの商品を新しくしようとして失敗。
でも竹口さんは、それを失敗とは捉えていないのです。
成功へと一歩近づいただけのこと。過去はどうでも良く、目的地は次々と現れ、到着しても満足しない竹口さんの目は、常に前へ前へ向いているのです。
もちろん当初は、竹口さんのやり方に会社の内外からの反発もありました。社員が辞めていったり、同業者から嫌味を言われた時期もあったといいます。
しかし、地元の和菓子屋さん、としてだけでなく、「竹口久嗣」という「個」として認知してもらうことで、「伝統」×革新=進化 を戦略的に加速させている姿は、和菓子職人でありながら、経営者としての視座が高く、今では三重県だけでなく、全国から認知されています。
「体が足りない」、とこぼしながらも、面白いことを思いつくと、すぐに取り掛かり、多くのプロジェクトは同時進行。
最近では、大阪にフルーツ大福専門店「果実ノ華」の監修オープンをさせたり、オンライン和菓子教室の開催、YouTubeチャンネル「和菓子人 竹口久嗣 遊菓」では経営者としての顔も見せています。このように挑戦し続けているからこそ、新型コロナ禍においても、業績は上がり続けているのです。
「ふわふわ大福」
これを一口入れると、「なんじゃこりゃー!」とみんなが驚くので、その顔が見たくて、私はお土産に配っています。それはそれは柔らかく、溶けてしまうような、飲めてしまえるような、思わず目を見開いてしまうような食感なのです。
「It Wakashi いとをかし」 というサブブランドでは、この飲める大福が通販で購入出来るので、遠方の方にはこれを送っています。
これを書いていましたら、また無性に食べたくなってしまいました...罪な大福。
多くの新しい商品やサブブランドを開発していく一方で、竹口さんが手を一切加えなかったというのが、鈴鹿銘菓「小原木」。
竹口さんが製造過程で出た不良品などを口にする機会に、「今でもウマイと思える」小原木は製法や配合を一切変えておらず、完成されすぎていて変えるところがないんだそうです。
私も先日、大阪の友人に小原木を渡したところ、めちゃくちゃ喜ばれて鼻が高くなりました。
贈り物は何でもいいわけではなく、相手が喜んでもらえるもの、自分が自信を持ってお勧めできるものを贈らないと意味がないと思います。
竹口さんに伺って感動したのが、お客さんがお店で買った後、大切な人に渡すまでをイメージして、商品や箱詰めに至るまでも妥協をしていないのだそうです。お渡しした和菓子でお客さんの顔を潰すことになってはいけない、という想いなのです。
そういう点でも、本当に信頼できる贈答品として、一切妥協していない和菓子に出会えたのは幸運だったと思います。
私が幼いころ、祖父母の住んでいた熊本に帰省した際、母や祖母がおはぎをたくさん作ってくれました。台所で作りたてのおはぎをつまみ食いした私と弟。
「4月にはお花見団子、5月になれば、柏餅、夏が来たら水まんじゅう、季節ごとの和菓子をみんなで食べる。そんな景色が見られなくなっているのかもしれない」と言う竹口さんと話していると、その昔の情景が思い起こされてきました。
それなのに、和菓子に固執していないところも驚かされます。竹口さんが提供したいものは、「自分が美味しいと思う菓子」なのだと。
だからこそ他と違うものを作り、値段を下げるよりも、より価値を上げることで、お客さまに感動を与えられるお菓子にしようと様々な挑戦を続けているのです。
竹口久嗣 Instagram:https://www.instagram.com/hisatsugu_take/
大徳屋長久 Instagram:https://instagram.com/chokyu1716?utm_medium=copy_link
大徳屋長久 HP:http://oharagi.com/
大徳屋長久 本店
〒510-0243 三重県鈴鹿市白子1丁目 6-26
TEL:059-386-0048 FAX:059-386-6983
営業時間:8:00~17:00 (定休日:水曜日)
・広瀬店 TEL:059-367-7015
・イオンモール鈴鹿店 TEL:059-375-0713
・イオンモール津南店 TEL:059-253-8712
・F☆マート稲生サーキット通り店 TEL:059-368-2668
「ひと」が好き。出会った「ひと」の様々な魅力を伝えていきたいと思います。
フットワーク軽く、「美味しいよ」と聞くとどこでも飛んで行っちゃうし、楽しいこと大好きです。鈴鹿で育った私の趣味は食べること、飲むこと、キャンプ、フェス、スノーボード、読書、noteなど。良いもの、良質な情報を多くの人にシェアしたい!と日々活動しています。 得意ジャンル:★カレーパンタジスタ★セミナー講師★ブックソムリエ