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場づくり、移住、そしてまちづくりへ展開!南伊勢町むすび目Co-workingの動きが未来!

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“仕事の合間に「ちょっとコーヒー買ってくる」みたいな感覚で「ちょっとミカン狩ってくる」”

西川百栄さん

そう話すのは南伊勢町にあるコワーキングスペース・むすび目Co-working(以下:むすび目)を運営するひとり、西川百栄さん。南伊勢町の移住定住コーディネーターを担当している。

南伊勢町はリアス海岸が続き三重県で一番の水揚量を誇る。海に迫る山ではみかんなどの柑橘類が育ち、地域ブランドの五ヶ所みかんや内瀬みかんの産地。むすび目はそんな内瀬地区にあり、室内からは風光明媚な海を望む。

「みかん持ってきたでな」と訪れたのは内瀬みかんの農家、山出さん。

左から漁師の菊田さん、移住定住コーディネーターの西川さん、地域おこし協力隊の加藤さん、移住定住コーディネーターの西岡さん、農家の山出さん。

西岡さん:山出さんは玄関ではなく、いつもここから入ってくるんですよ。みかんはあるけど魚は持ってこないね。

漁師の菊田さんに視線が注がれる。

菊田さん:・・、今度持ってきますね。

日本全国、さまざまなコワーキングスペースがあるが、こんな会話をしながらパソコンに向かい仕事をしているところは、たのしい場だと思う。

ちなみにむすび目では隣接するみかん畑にて、みかん狩りのシーズンのみ(11~12月頃)30分500円でプチみかん狩りのコワーキングオプションプランもあるのだとか。
さて、今回はみかん・・、ではなく地域の場づくりと移住のお話。過疎化が進む南伊勢町で起きている最新事情をお届けします。

 

 

マニュアルがない自然と生きる暮らし方。

今日ここで仕事をしている人は、移住定住コーディネーター、漁師、地域おこし協力隊。農家の山出さんを除けば全員ここ数年前に南伊勢へ移住した人たち。唯一のUターン移住者は西川さんに聞くと、むすび目でも移住相談(Zoomも含む)を行っており、移住の相談が増えていて、最近は移住相談に変化がでているという。

西川さん:コロナ禍になる前は移住の情報について、ガッツリと行政などのサイトで調べた人から問い合わせがありました。しかし今はコロナの影響で、急に移住を考え始めた人からの相談が増えています。

南伊勢町の贄浦(にえうら)で生まれ育ち、都市部から帰ってきた西川さんに、南伊勢町での暮らしの特徴を聞いた。

西川さん:京都で企業勤めをしていたとき、漁師をしていた父から「3時のおやつ休憩のときに電話して」とメールが来ました。都会の仕事では3時のおやつ休憩はないのに。

西川さんが生まれ育った地域では、いわゆるサラリーマンはおらず企業もない漁村部。父は大敷という定置網の漁師をしていたが、他にも真珠養殖や自分の船で魚を水揚げする小漁師の仕事など、いろんな仕事を掛け持つことが地域では当たり前の暮らし方だという。名古屋から移住して贄浦で漁師をしている菊田さんに都会との暮らしの違いを聞いた。

漁師の菊田さん

菊田さん:最近、漁が終わってからペンキ屋の手伝いもしていました。漁は空が暗い4時か5時に漁場へ向かい、朝日が昇るのと同時に大敷網を揚げます。7時か8時くらいには港で水揚げをしてその日の仕事は終了。前職では昼寝とか考えられなかったのに。暮らしの自由度が高く、自然のなかで生きているなと感じています。

そんな暮らしは漁師だけでなく移住定住コーディネーターの西川さんも同じ。

写真:道行竈の酒造り~南伊勢地域連携日本酒プロジェクト~のFacebookより

田んぼの草刈りや稲刈りも行っていて、道行竈という限界集落の耕作放棄地を使い、米を育てて酒をつくるプロジェクトの中心人物として活動もしている。最近そんな道行竈に、名古屋から移住して地域おこし協力隊として赴任した加藤さんにも話を聞いた。

加藤さん

加藤さん:はじめは暮らしの違いに戸惑いました。以前の仕事は定休日が毎週あるのが当たり前。でもこっちで仕事やいろいろとお手伝いしていたら、休日の取り方がわからなくなりました。来月からは休日をスケジュールに入れなきゃと考えています。

自分の仕事だけで完結させずに、手伝いながら、また手伝ってもらいながら成り立つ地域の暮らし。ゆったりとした時間が流れ、自然を感じながらの生活。孤立やひとつの仕事に縛られる生活とは違い、人との接点が多い暮らしに、話を聞いて憧れた。

 

 

地域の場で湧き出すアイデア。

南伊勢町では人口減少とともに空き家が増え、5年で倍の1,700戸を超えた(調べがついている分だけなので実際はもっと多いと想定される)。

むすび目も空き家を活用している。地域にこのような場ができたことで、どんなことが起きているのだろう。

西川さん:移住相談が増えるのはもちろん、こっちから会いにいきたかった、おもしろい活動をしている人などいろんな人が町内外からきてくれます。

山出さん:むすび目ができるまで、このあたりはおじいさんやおばあさんばかりでした。みんな若いし新しい話に溢れ、刺激になります。

全国的に増えている地域の場づくり。拠点ができ、そこに人が集うことで交流が生まれる。人が集まるところには情報も集まり、情報は発想の種となる。素晴らしい発想があっても実証できるフィールドがなければ何も事は起こせないのだが、南伊勢町にはフィールドとなる空き家がたくさんある。言ってしまえば町全体がフィールドのようなもの。

西岡さん

西岡さん:最近、金・土曜日の限定で、焼き芋屋をはじめたんです。

コワーキングスペースの次は、まさかの田舎で焼き芋屋の開業。その目的は、焼き芋を売りまくることではなさそうだ。

西岡さん:いま目の前に海が広がる五ヶ所地区の空き家で、うみべのいえというプロジェクトを立ち上げました。書斎、キッチン、リビングなど本来は家の中にあった機能を、シャッター街になってしまった町の商店に移管させたら町はどうなるのか、検証しようとしています。まずはチッキンカーで焼き芋屋をすることで、地域の人と繋がりたいです。

家の機能を町にスケールさせるという発想とは、例えば家の書斎は本屋や図書館になるし、キッチンは飲食店になるのかも知れない。リビングはカフェやコミュニティスペースだろうか。町をみんなのひとつの家と見立てるとは考えただけでもワクワクするアイデアだ。

続いて2021年4月から運用が始まる移住体験住宅を見せてもらうために、五ヶ所地区へ移動。その前に移住体験住宅から歩いてすぐのところに、うみべのいえと焼き芋を販売するキッチンカーがあるというので見せてもらった。

 

 

そこに在るものを、たのしく活かす世代。

到着すると口コミで知ったという、地元の人が焼き芋を買いにきていた。

西岡さん:うみべのいえはまだ使い方を考え中です。ロケーションがいいので飲食店もいいなと思っています。五ヶ所地区には昔賑わった商店街がありますが、いまは閑散として開いている店はほとんどありません。空き店舗の情報など、焼き芋屋をしながら地元の人に聞けたらいいなと思います。

使われていない空き店舗は、地元の人の想い出が詰まっている。そんな想いのあるところが賑わい、町が活気づいていくことは地元の人にとっても、たのしみなのではないだろうか。

うみべのいえから歩いて1分、移住体験住宅へ。

ここからも美しい五ヶ所湾が一望できる。

移住体験住宅は、スタイリッシュながらも趣のあるガラス戸などを残しながらリノベーションされた平屋の一軒家。リノベーション前は庭に草や木が生い茂り、近寄りがたい雰囲気だったという。リノベーションはさかさま不動産などを展開する株式会社On-coにリノベーションのワークショップを依頼し、町内外の有志で行った。

西川さん:漆喰を塗るのも、今は簡単なキットが売っています。On-coさんにそういったノウハウなども教えてもらいながら、できるところはみんなで手作りしました。移住体験や移住希望者と地元の人の交流イベントもしたいです。あと若者が集えるところが少ないので、例えば地域おこし協力隊の交流の場としても活用できたらいいなと思います。

 

 

数字じゃ見えない、過疎地の可能性。

今回の取材を終えて、南伊勢町には独特な移住者の受け入れ体制があることを知った。しかもそれを外部に委託するのではなく極力内部で行い、足りない知識はアウトソースから学ぶ。そうすることで自分たちでコワーキング、移住、そしてまちづくりにまで展開しようとしている。最後に道行竈の日本酒づくりプロジェクトでの印象的なエピソードを教えてくれた。

写真:道行竈の酒造り~南伊勢地域連携日本酒プロジェクト~のFacebookより

西川さん:東京大学の学生さん数名が、フィールドスタディとして20日間の住み込みで、道行竈にきてくれたんです。今は大学側が地域への受け入れを求めている時代で、道行竈では東大生の前に地元皇學館大学の学生と一緒に酒造りのための稲刈りなど、日帰りでイベントをしていました。道行竈は人口37人、高齢化率は約90%です。皇學館大の学生にどう声をかけたらいいか、戸惑うお年寄りもいました。だから東大生が長期滞在するときに、地元の人と馴染めるか不安があったんです。

道行竈の集落にはスーパーやコンビニはなく、地元の人は食品などを定期的に訪れる移動販売車で購入している。学生たちも集落の人と同じ行動をとり、買い物は移動販売車。そして集落の清掃もはじめた。

オンラインで東京大学とフィールドスタディは今年も続いている。写真:道行竈の酒造り~南伊勢地域連携日本酒プロジェクト~のFacebookより

西川さん:そしたら、集落の人から学生に声をかけるようになって!それがとても嬉しかったんです。学生が帰ったあとも「あの子らなっとしとる?(どうしてる?)」と聞いてくれます。いまでは学生たちは、道行竈みんなの孫みたいな存在です。暮らしをともにするって大事だなと思いました。限界集落は人数や高齢化率で語られることが多いですが、数字で見えない可能性があると実感しました。

そして未来への想いを話してくれた。

写真:道行竈の酒造り~南伊勢地域連携日本酒プロジェクト~のFacebookより

西川さん:昨年東京大学の学生さんは、全国の受け入れ地域のなかで道行竈を選んだ理由として 「人口が少ない、限界集落という場所をみたかった」と言ってくれました。人口減少が進む日本において、ここは最先端の未来だと思うんです。南伊勢町のフィールドは無限。地域を理解した上で多くの方が移住してきてもらえたらと願っています。

突然の疫病が流行り、誰にとっても少なからず未来に不安を感じる時代になった。それは、これからの未来をつくる若者にとっては、計り知れないものだと思う。そんな時代に未来を生きる選択肢のひとつとして、ここで自分たちで未来を作るのもたのしそうだ。やりたいことやアイデアさえあれば、フィールドは無限なのだから。

 

 


 

むすび目 Co-working
三重県度会郡南伊勢町内瀬1536-1
tel 0599-77-4227
hp https://kii3.com/musubime/
fb https://www.facebook.com/musubime.cowork/
in https://www.instagram.com/musubimeco/

 


 

南伊勢町では地域おこし協力隊を募集しています。
また移住・定住のご相談や体験も可能です。
お気軽にお問い合わせください。

南伊勢町役場 まちづくり推進課 若者定住係
三重県度会郡南伊勢町五ヶ所浦3057
tel 0599-66-1366
mail machi@town.minamiise.lg.jp
hp https://www.town.minamiise.lg.jp

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