昨年からWebマガジンOTONAMIEをスタートさせようと構想を練っているとき、三重県で活躍するスペシャリストを紹介していく企画へ思い至りました。その時ちょうどワインショップウチヤマさんとお仕事をさせていただいており、オーナーのワインアドバイザー長田康二さんを是非ご紹介させて頂きたいと思っていました。しかし今年(2015年)2月14日に突然お亡くなりになりました。一緒にさせて頂いていた仕事は完成目前だったので、とても信じられなくてなかなか記事にすることができませんでした。少し時間が経ち、やはり本Webマガジンでご紹介させていただきたいと思い、記事にさせていただきました。
プロフィール
- 1989年 ワインアドバイザー取得
- 1990年 ドイツ、フランス、スペインでワイン研修
- 1993年 シニアワインアドバイザー取得
- 1995年 第1回全国ワインアドバイザー選手権大会優勝
- 1996年 南フランス、プロヴァンス~ラングドック・ルーションワイン街道一人旅
- 三重日仏協会運営委員経歴
- 株式会社ウチヤマ代表
ワインアドバイザー日本チャンピオンであることについて、仕事で取材させていただいているときに色々お話しさせていただきました。しかし長田さんは「あまり、そう言ったことを看板にして仕事をしたくない」とおっしゃっていました。長田さんの残した言葉「ワインは実に美味しいものだ。その香り、味わいに魅了され続けた人類。ワインの難しい知識など知らなくてもワインは楽しめる。ワインには歴史、文化がいっぱい詰まっている。そしてワインにはすばらしい人との出会いが必ずあるものだ。」にもあるように、本当にワインが好きで、ワインの背景にある出会いや文化のことも色々お話ししていただきました。
店内には高級ワインもあるのですが、1,000円台のワインもたくさんありました。ワインの本場を熟知した長田さんだからこそ、低価格のワインでも美味しいワインを提供できるんだと、深く感銘したのを覚えています。
長田さんは、フランスへワインの旅に何度か行っていました。(写真はクリスチャン・マセ前駐日フランス大使)
「ワインは文化・歴史です。」とおっしゃっていた長田さん。店内にはそれを物語るようにローマ史の本もありました。
三重県を代表する銘店の方々、またワインの世界的名門生産者の方々とも交流が深く、信頼関係を築いておられました。
(写真、左:ミュゼ・ボン・ヴィヴァン出口シェフ、中:メゾン・ルイ・ジャドのオリヴィエ・マスモンデ氏、右:長田氏)
定期的にワイン会を開催しており、何度か撮影と取材にお邪魔したことがあります。参加された方と長田さんの距離がとても近く、ワインを通じて深い信頼関係ができているのを感じました。
なお、長田さんが発起人となった一部のワイン会は現在も定期的に開催されております。
個人的な想い出話になりますが、私のお客様で起業から30周年を迎えられるオーナーさんへのプレゼントとして、長田さんに「30年前のワインが欲しいです。」とお願いしたところ、「ワインはそんな観点で選ぶんじゃない。ワインはそういう物ではない。」と教えていただいたのを思い出します。本当にワインを心から愛していた長田さんらしい、また職人気質であり職人が醸し出すやさしさに充ちた長田さんらしいエピソードだと思って、書かせていただきました。津のワイン文化を創った長田さん。ご冥福をお祈りいたします。
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事