初めまして、たいぽんです。
この度OTONAMIEの記者として記事を書かせていただくことになりました。みなさまどうぞよろしくお願いします。
生まれ育った大紀町をはじめ、三重県南部を中心に素敵な人や企業を取材して少しでも多くの人に届く記事を書いてまいります。
ドローンを扱う仕事をしているので、ドローンを使った空撮動画も使ってご紹介していきます。
大紀町錦って?
さて記念すべき第1回目の取材、故郷の大紀町錦にやってきました。
大紀町錦は、昔はブリ漁で栄えた自然豊かな漁師町です。
塩浜展望台からの眺めは素晴らしく、ドローン空撮の練習でちょくちょくお邪魔してます。
ひとしきり素敵な写真を撮影した後、一路目的地であるカホン 工房「KOSHIKARI」さんへ向かいます。
工房にいらっしゃった越仮さんにご挨拶をし、事務所へ。
今回お話を伺う徳森さんは、以前お邪魔した時にドローン体験してもらったり、軽トラキャンピングカー制作のお話を少し伺ったことがきっかけで正式に取材させていただくことになりました。
まだ大学を出たばかりとお伺いしていましたが、その風貌は何だかとても落ち着いている仙人のような、、、(失礼)
フリーアーティスト「徳森和寛」さん
たいぽん(以下 た) たいぽんです。徳森さん、今日はよろしくお願いします。
徳森さん(以下 徳) よろしくお願いします。
た:月並みですがいくつか質問を交えてお話を伺わせていただきます。大学を卒業してから現在の活動をされているのは、どう言った理由からでしょうか?
徳:大学では共生環境学科を専攻して、環境問題に関心がありました。その原点は「人間がなぜ生きているか?」と言う根本的な問いで、それを突き詰めていくうちに林業や農業に興味が出てきました。あと、手が器用だったので木工をやってみたいと考えてました。ずっと音楽(ドラム)もやっていて、カホンは大学から始めて、大学3年の時にインターンシップ先を探してた時に越仮さんがカホンを作っていると言う情報を聞きました。「これは面白そう!」と直感し、大学3年の時に「インターンシップでお世話になっていいですか?」とDMを送り、10月くらいに1週間インターンシップでお世話になりました。
た:カホンをやってなかったら知り合ってなかったかもしれませんか?
徳:そうですね。高校入る前からドラムをやっていて、兄がギターをやっていたのもきっかけですね。いろんなご縁が重なって。
た:周りの人に「木工」「カホン」の道に行くんだと言った時にどんな反応でしたか?
徳:元々木工専門で行こうとは思っていませんでした。根本的には「半農×半X」と言う生き方をしたいなと考えていて、その生き方に焦点を当てています。なぜ生きるのかと言う問いに対して自給的な暮らし、環境に負荷を与えない暮らしをしたいなと思っていたので、友人に言う時は「ちょっと山篭る」「ちょっと仙人になる」と言うノリで話していました。友人からは「は?何言ってるの?」とは間違いなく言われましたね(笑)でも、普通じゃないことを楽しむ人間なので、そんな反応を言われるのが好きでした。
越仮さん(以下 越) 最初に何になりたいの?って聞いた時に「仙人になりたい」って聞いて俺も「は!?」って思った(笑)
ヒノキ製の軽トラキャンピングカー
た:以前軽トラキャンピングカー(以下軽キャン)のことをお聞きして凄いな!って感じましたが、軽キャンを開発した理由と、最終的に誰に届けていきたいと思いましたか?
徳:軽キャンに興味を持ったきっかけはあるYouTuberです。大学4年生の時にYouTubeを見てたらボンゴバンを改造して日本一周するYouTuber2人を見つけて、こんなに自由に生きていいんだと思って。モバイルハウス=動く家ってすごく魅力的だなぁって、それがきっかけでした。自給的な暮らしの中で「衣」「食」「住」を自給すると考えた時に、「住」は軽キャンを自作することかなという考えになったんですよ。僕はこれを今後の短期間の自分の家にしようと考えています。
た:商品じゃなくて自分の家だったんですね!?
徳:そうです、僕ビジネスっ気が全くなくて(笑) 今後、和歌山県那智勝浦町の色川地区に移住して地域の方と関わりながら生活したいと思っているんですけど、移住する時に軽キャンを持っていたら「住」の部分はクリアできるじゃないですか?
だから軽キャンを使って田舎に行く人が増えればいいなって思うんですよ。
越:こないだ炭焼きをやってる人から炭焼き小屋の横にこれがあれば寝泊りできる、欲しい!って言われたから、移住目的以外にもいろんなニーズがありそうやなと思う。すごく興味を持ってた。
徳:これを一人で作るのは難しいと思うので、製材所の方などに協力していただけると嬉しいと思って。
た:徳森さんは木工家じゃなくてアーティストですね。
徳:自分の生き方を追求しています。
た:逆に徳森さんがキャンピングシェルを製品化するために奔走しなくても、俺が製品化する!って人が出てきたらそれはそれでいいですよね?
徳:この記事を通して見てくださった方で連絡いただければ嬉しいです。
越:そんなスタンスで徳さんのPRしてもらう方が嬉しいよな。あんまり木工がとかカテゴリを決めて欲しくないな。いく先々で地域の人を巻き込んでいろんなものを作ったり、そんなことがどんどんあちこちで広がっていったり。
徳:あんまり僕は肩書きが必要じゃないなと思います。何でもない僕個人、僕という一人の人間として自由に生きるというか。
木工だけでなく「生き方」のお話へ
た:とても素敵だと思います。誰しも夢見てなかなか踏み切れない生き方だと思います。
徳:逆に何でしないんだろ?って僕は思います。そんなに難しいことじゃないんだからみんなやればいいのにって思う。
た:僕も20年前の大学の卒論が最近で言うところのノマドワーカーみたいな内容だったんで徳森さんの活動にすごく共感するんですが、当時はお金のこととか将来の安定とか弱気なところが出ちゃって結局大手の企業に入社したんですよ。それが僕が人生つまづいたきっかけですね。
徳:一般的にはつまづいてないんじゃないですか?
た:でも自分が本当はそっち(ノマドワーカー)の方がワクワクした生き方じゃないかって思ってたのが、安定、お金を求めてしまって、仕事していて苦しかったら全然意味がないです。
徳:僕もそこはすごく疑問に思っていて、就職活動の時も周りの同期が年間休日とか福利厚生とか給料とかで物事を語ってるじゃないですか?それを馬鹿じゃないの?って思って。それで本当にいいの?っていうのを周りのみんなが着々と就職先を決めていく中で言ったりしてたんですけど、周りの反応は「何言ってんの?」みたいな感じで(笑)
た:僕はどっちの気持ちもわかります(笑)
越:まあ、徳さんもその考えに行き着くまでにはいろんな苦悩や葛藤があったと思うよ。
徳:twitterで先輩が「会社辛い」「世の中どうせこんなもんだ」なんて言ってるのがすごく胸が痛いんですよね。何でこんな楽しい世界があるのに、まだそっちにいるの?みたいな。
越:でも徳さんみたいにいろんなスキルを短期間で(しかも独学で)身につけることができる人はなかなかおらんからさ、結局みんな自信がないわけよ。自分で生きていけるっていう自信が。それを身につけようと思ったら相当時間かかる。普通はな。それを早い段階で身につけられたっていうのは大きいわな。
あちこち行ってうちに来て、なかなかそういう環境に自分から飛び込まな、普通の社会生活では経験できんもんな。早く飛び込んだのは良かったよ。
徳:動いて人と会わないと何も始まらないなって。大学3年から1年くらいかけて生き方とか勉強して歩むスピードが加速していった感じですね。
見えないチカラ ご縁の連鎖
た:ずっと木工の道を進んでいくのですか?という質問をしたかったんですが、その質問は意味ないですね。半農半Xの中に木工はあるかもしれないけど、変わっていくかもしれませんね。
徳:大学卒業してからすぐに色川に行く予定だったんですよ。でも3月くらいに越仮さんかヘルプに来てって連絡が入って。
僕はその時フリーで軽キャンもすぐ作るつもりではなかったんですけど、色川に行かなくなったら時間もできるし作ろうかなと。いろんなご縁があって今があって、これからどうなるかは正直予測不能ですね。
越:キャンピングシェルの材料の尾鷲ヒノキもそれまでは良い材料は豊富には入ってこなかったんよ。徳さんが来てから、急に仕入れ先(製材屋)が現れて。
俺もおかげで7月からおはらい町に商品を置かせてもらえるようになっていろいろいいタイミングやったな。多気町丹生の金川珈琲さんともつながったし。築130年の古民家を改装した店で、丹生のふるさと屋の隣やな。
た:徳森さんはすごく引き寄せる力の強い人ですね。地域おこし協力隊とか、フリーランスの人を呼ぼうとか、いろいろと仕組みはありますけど、今までのお話を聞くと逆にまどろっこしく感じますね。
越:もともと地域おこし協力隊の制度には乗っかろうとしてたんやよな?
徳:色川地区の地域おこし協力隊を考えていたんですが、仕事内容を聞くと地域の人にインタビューしてこんな文化があるとかこんな伝統があるとか調べて、それを発信するという内容でした。
それはいいんだけど、お金をもらう仕事としてやらなくても別にいいよなって。そこに住んでその人たちと関わっていくうちに自然とわかることじゃんって思うし、わざわざその制度に乗っかってお金もらってやる必要もないかなって思って。
お金とは?
た:お金も制度も仕組みとして確かに必要な部分もありますが、何でもお金が先に立つのも違う気がするしそれこそお金とは?という大きな話につながりますね。
徳:はい。僕はお金のない世界で生きていきたいって思ってます。お金って時間を加速させるためだけのアイテム。例えば何か生活に必要な物を買うときも頑張って時間かければ最低限は自分で作れます。医療とか自分だけではどうしようもないところは無理でも生きるっていう根本的なところは自給できる。昔の人はそうやって生きてきたわけだし今でもそれは実現できると思います。
人類史のこれまでの大部分はお金なんてない世界で生きているわけじゃないですか?古来からずっと人間の営みとしてやってきたことを大事にしたら、それを考えた時にはお金はいらないかなって。
た:生きる根本的な部分の「衣」「食」「住」のところが無料?
徳:そうです。きっとできると思います。
た:僕も世の中の仕組みとして、商取引の「ビジネス」なのか無料の「ギブネス」かどちらが良いのかって考えることが最近多いです。でも、例えばiPhoneとか個人では作れないテクノロジーが結集した製品を流通させるのは、お金が介在しないギブネスだけでは今はまだ難しいと思います。
原料(鉱石)の採掘からマイクロチップ製造、製品設計、品質テスト、量産、販売などたくさんの人が関わる製品やサービスは無料というわけにはいかないのかなと。
徳:僕はこれからは半農半Xの生活の中で、半農で自分の生活は完結させ半X=木工で現代のシステム・製品・サービスを受けるためにある程度の現金収入を得て生活していく。古いやり方と新しいやり方を合致させるこれからのやり方・生き方を先取りして実践していきたいと思います。
た:でもそれは、決して徳森さんの生き方と対極(?)にあるテクノロジーを追求している人や企業を否定するわけではないと。
徳:はい。太陽光発電は素晴らしいですが、例えば田舎の山を丸裸にしてそこにお金儲けの目的でメガソーラーを立てるのはおかしい。環境破壊につながるのはお金が目的になってるからで、もっといいシステムはないのかなって思います。
た:お金が絡むと、太陽光発電の目的がエネルギーがでなくお金になってしまうとおかしくなる。
徳:手段の目的化ですよね。お金が目的になってしまっている。
転換期の今、大切なことを考える必要がある
た:今回はまさかここまで深い話になるとは思っていませんでしたが、お話できてよかったです。
徳:そこが僕の根幹というか活動の出発点というか。
越:単純に「ビジネス」という括りでは語れんよな。
た:コロナ騒動で僕らの年代やもっと上の年代も今まで「ビジネス」中心で生きてきたけど、何のために働いているんだろうとこれからの生き方を迷っていて、迷いながらも今の生き方を切り替えれない人が大多数いると思うんです。徳森さんは20代、今の時点でそれに気づいて行動しているのは凄いなと素直に思いました。
越:俺も徳さんにはすごく影響を受けた。商売しているとどうしてもお金に意識がいくし、お金がないと商売は続けていけない。
だけど、本当に大事なことは何かということは考えていかないといけない。
た:お金は本当はただの道具ですよね。でもあまりに万能すぎて、物の交換手段以外にの価値の尺度や人の社会的地位まで表してしまう「万能の道具」になってしまっている。だから全てお金に紐づいてしまう。
徳:今のビジネスはもう限界に来ています。なんでもお金にしてやろうって。介護や保育はそもそもお金にする必要ないじゃないですか?
僕はサピエンス全史って本にも影響を受けているんですけど、人間の幸福度っていうのは人類が誕生してから今までほとんど変わらないんです。原始人がマンモスを狩って食料にした時の喜びと現代人がスマホでお気に入りの商品を見つけてポチッた時の喜びってほとんど変わらないんですよ。そう考えると、環境を破壊してまでする文明の発展は意味あるのかな?って思います。
た:多分夜中までこのテーマで語り合えると思うんですけど、ごめんなさい。多分インタビューが終わらないんで軽トラキャンピングカーのお話を伺ってもいいですか?(笑)
一同 爆笑
OTONAMIEの記者として
た:OTONAMIEのボランティア記者を始めて、取材したことがきっかけで何か会社の仕事やドローン空撮とかに繋がるかもみたいな下心は正直あります。でも下心だけ、ビジネスだけだったらそもそもやってないと思います。自分が関わった素敵な人を記事にして発信して、誰かの目に止まってその人が新しい接点ができたり広がりを見せれば僕はそれで嬉しいんです。
他の記者の方も自分だけのためじゃなく相手や地域のために繋がる、おそらくそんな動機で取材している方が多いんじゃないかなって思います。
徳:自分の中から込み上げる気持ちからの活動はパワーがありますよね?
中:はい。そんな理由で知り合った方はやっぱり素敵な人が多いし、単純に面白い!っていう気持ちなんですよね。
徳:確かに同じ価値観の人と出会った時の喜びって、すごいですよね。
軽トラキャンピングカー 解説動画
インタビューが長くなってしまいましたが、場所を外に移してようやく軽トラキャンピングカーを徳森さんに解説していただいたので、動画をご覧ください!
最後にドローンで軽トラキャンピングカーと手を振る徳森さんを撮影させていただきました。
「やりたいことをやる。」という自分に素直でシンプルな生き方を追求している徳森さん。その活動をご自身のYouTubeチャンネルでも発信していて、今後の活動に注目です!
■徳森さんのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC_Co0C2Zgnr5ckNtfsaL9vQ
軽トラキャンピングカーの製作過程の映像もアップされていますので、こちらもご覧ください。
■撮影協力
KOSHIKARI公式サイト https://koshikari-cajon.com
代表の越仮裕規さん、奥様の亜紀さん、ご協力ありがとうございました!
大紀町錦出身、松阪市嬉野在住。現在は三重郡川越町でドローンのお仕事をやってます。
トレラン、カヤック、ドローン空撮、ガジェット、格闘技、中国哲学(陰陽五行)と妻(新婚3年目)が好き。無為自然とテクノロジー、地域の素敵を空からお届けしたい! 得意ジャンル:ドローン空撮、地域資源、地域観光、自然アクティビティ、格闘技、イベント