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三重大生が語る‼ 三重大学 どうなるオンライン授業!?

こんにちは。
今回は、自分が通う三重大学が、2020年度前期の授業をすべてオンラインで実施するという決定をうけて、生徒の目線でオンライン授業にどうのように望むか、検討していきたいと思います!この記事で述べているのは、すべて僕の持論であって、大学の意見ではありません。

●オンライン授業って?

〇三重大学の対応は?
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、三重大学は、在校生に登校させなくても済むように、オンライン授業を導入し自宅での履修を要請しました。

本来であれば入学シーズンで、入学式や新入生歓迎会などで賑わうこの時期ですが、大学側は、それをすべて中止し、政府が提示している「密閉・密集・密接」の3密を回避しようと取り組んでいます。大学立ち入り禁止とまではなっていませんが、4月8日現在では、人が集まりそうな講堂や図書館が閉鎖されています。

2020年度の前期授業は、本来であれば、4月10日(金)に開始する予定でしたが、それも一週間 延長し4月17日(金)となっています。
この決断は、国立大学の中でも先陣を切ったもので、かなり早い決断でした。この決定のあと、多くの国立大学は、オンライン授業に踏み切っています。なぜ、三重大学がそこまで早い決断が出来たのでしょうか。

〇三重大学が、国立大学としてオンライン化を決定したのは?
ここからは、完全に僕の予測なのですが、3月下旬から4月上旬にかけて、関西の大学生の感染が次々と確認されました。これまで、高齢者は乳幼児に感染リスクが高いとされていましたが、一転。西日本から徐々に若者への感染が広がっていきました。その点から、若者が集まる大学という場所の感染リスクの高さは計り知れません

そして三重大学は、三重大学医学部付属病院も隣接しており、県の医療を支えている大病院となっています。もし三重大学内で感染者が確認されたとすると、大学病院への影響も計り知れません。

それに加えて、三重大学は、県内出身者が4割、愛知県が3割、関西が1割と、他府県から半分以上の学生が進学しています(三重大学HPより)。ちょうど春休み期間だったこともあり、多くの大学生は地元に帰省しており、新学期になると大学に戻ってくることが予想されました。そのリスクを回避するために、「そのまま実家で授業を受けられるように!」と考慮した結果、オンライン授業と決定したのではないかと思っています。

〇オンライン授業って?
三重大学のオンライン授業決定の背景をうけて、これからどんな授業展開になっていくのでしょうか?正直、授業が始まっていない現段階では、どのようなことになるか予想がつきません。

僕が理解している範囲だと、ビデオ会議などで用いられる「ZOOM」というアプリを使って、教員と学生をつないで授業を行うようです。
この効果や課題などを検討した記事は、また別の記事で書いてみようと思います。

●オンライン授業のメリットは?

〇オンラインじゃないのは日本だけ?

今回のオンライン授業は、学生にどのように受け入れられるのでしょうか?実際に、通信制大学や、動画を活用した民間塾など、教育コンテンツとして取り入れられているので、ある程度受け入れられるのは、早い気がします。

実はすでに数年前から、アメリカや欧州の大学では普及しているMOOCs(Massive open online course)という学習環境が日本に輸入されつつあります。東京大学、京都大学はすでに導入しています。MOOCsは、2008年ごろにスタンフォード大学が中心となって設立されたシステムで、いまでは3,000万人となった全世界の受講者が、トップクラスの教授の授業を、「無料」で受講しています。インターネット環境を持っていれば、誰でもコース内容を無料で閲覧出来、受講生同士のコミュニティの場としても活用されています。いまではMOOCs活用者が3,000万人を超えています。この仕組みを活用したパキスタンの11歳の女の子が、スタンフォード大学の物理学をトップ成績で修了したという事例もあるそうです。

この話を聞くと、国内大学がオンライン授業となりましたが、遅れを感じずにはいられません。しかし、今のところ、今回の大学のオンライン授業は、MOOCsのような誰でも受けられるというわけにはいかず、とりあえず履修生だけに留まりそうです。今回を機に、ぜひ三重大学もMOOCsに参加して頂きたいですね。三重大学の医学や生物資源、さらには人文学部の忍者学は世界に誇れる教育コンテンツになるように感じます。

〇メリットは?デメリットは?
さて、メリットですが、はやり自宅で受けられるのは大きいです。通学に時間がかかる学生も多いですし、その時間を別に有効活用できます。MOOCsについても少し書きましたが、このオンライン授業導入は、感染症拡散防止策という少しネガティブな施策として打ち出されましたが、そうではなくオンライン授業をより推進して、オンラインで済むところは済ませて時間短縮、実際の授業ではFace to Faceの対面型授業で、意見交換やディベートを積極的に取り入れていくという仕組みづくりを作るきっかけになるのではないでしょうか。

実際に、MOOCsに参加する大学は、教員と生徒のコミュニケーションや実習活動、キャンパスでの研究に価値を置いているために、知識を提供する講義に関しては無料で公開できるというスタンスを取っているようです。

デメリットとしては、著作権や回線混雑をあげます。大学では多くの参考資料を用いますが、その閲覧をビデオ会議などで用いることが出来ないことが定められている著作権法があります。その著作権法は、現在では緩和する方向で動いているようです。次に回線の混雑が予想されます。少人数ではあればよいですが、何百人が受講する授業はどうなるのでしょうか?また、オンライン導入に伴って、個人情報保護やセキュリティに対しても不安が残ります。

そして一番はソーシャルディスタンスの限界です。物理的距離感だけでなく、心の距離が出来てしまいます。今回のように一か月以上完全なオンライン授業となってしまうと、親しくできる友人が作りづらい今春入学の新入生には、特に可哀そうです。

●生徒、教員は初めての試みに不安?

各国で、オンライン授業が注目されており、それに関する研究も多く存在します。その先行研究を見てみると、オンライン授業で最も大切なのは、授業内容のクオリティではなく、教員と受講生のコミュニケーションであることが明らかになっています。もちろん授業内容のクオリティも大切ですが、受講生の興味関心を引くことはできず、時間が長い授業になればなるほど、脱落者が増えていくようです。そこで有効なのは、「宿題を増やすこと」だといいます。宿題を出すことで、教員と受講生のコミュニケーションを活発化させる効果があるといいます。受講生のみなさんは嫌かもしれませんが、宿題をきちんとこなすことで、オンライン授業が自身にとっても有効なものとなります。

今回は初めての試みなので、大学も、教員も、生徒も不安だと思います。大学は制度設計に苦心されたでしょうし、教員もオンライン授業をいかに有意義なものにするか悩まれていると思います。生徒の皆さんの中には、サークルもないし、授業もつまらないしと、不満しかない方もいるかもしれません。しかし、初めての試みに参加できる僕ら生徒はラッキーだと思うし、僕ら次第で今度の大学教育が変えることができます。そう思うだけでワクワクしませんか?僕らも、授業を受ける目線で、改善案を出していきましょう。大学も教員も初めてなので、すんなり意見は通るはずだし、歓迎・重宝されると思います。

●大学とは何か?

社会はIT革命と言われるほどIT化が加速しています。一方で僕は日本の大学は、この波に乗れていないと感じていました。このオンライン授業導入は素晴らしい機会です。この騒動が収まるころには、オンライン授業+対面授業のハイブリッド型の大学教育を期待します。(実際にBlended learningとして普及している海外の大学も存在します。)。

今回の機会は、大学・教員・生徒の3者に「大学とはなにか?」と問いかけているように思えます。3者全員が最善の行動をとって、乗り越えましょう。

〇参考文献
伊藤健二、2002、「e-Learningとは何か」情報処理
植田康孝、2013、「大学教育2.0 オンライン講義が大学を変えるアダム・スミスを基にして 「大学および大学教育の価値」を再考する」
斎藤正武、2016、「大学におけるオンライン講義の質の維持向上に関する研究」商学論纂
平田謙次、2008、「eラーニングにおける品質と学習者情報」情報処理Vol.49 No9
藤本徹・荒優・山内祐平、2018、「大規模公開オンライン講座(Mooc)におけるラーニング・アナリティクス研究の動向」日本教育工学会論文誌
船守美穂、2013、「21世紀の新たな教育形態MOOCs」大学・短期大学・専修学校のためのリクルートカレッジマネジメント

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