今日も容赦なく降り注ぐ夏の日差し。
熱風のなか仕事に向かわなくては。
その前に水出ししておいた伊勢茶を一口。
億劫な気持ちもやわらぐ、さわやかなひととき♪
いろんな伊勢茶
三重県では各地で広大な茶畑に出会う機会が多い。
霜取りの風車と自然がおりなす景観は、三重県の魅力の一つ。
全国でも荒茶の生産量が3位である三重県のお茶の総称は「伊勢茶」で、三重県内のスーパーや道の駅、お土産物店でも「伊勢茶」の文字をよく見かける。伊勢茶といっても育て方や加工方法によって種類があります。
- 玉露(ぎょくろ)
- 碾茶(てんちゃ)
- かぶせ茶
- 深蒸し煎茶(ふかむし煎茶)
- 煎茶(せんちゃ)
- ほうじ茶
抽出の時間や温度、1煎目、2煎目、3煎目・・・と味や風味の違いを楽しめるのもお茶の醍醐味。珈琲のブレンドのように自分の好みを見つけるのも楽しい。とはいっても、暑い日差しが降り注ぐ夏に冷たいお茶を飲むといえば麦茶が定番で、緑茶の印象は薄い気がする。私は緑茶といえば食後にほっと一息つき、湯呑から漂う湯気のイメージでした。
意外と簡単に作れる方法が「水出し抽出」による緑茶。暑い夏にぴったりな、冷たい伊勢茶をさっそく作ってみました。
意外と簡単! 伊勢茶の茶葉 水出し抽出方法
準備したのは、伊勢茶のかぶせ茶。黒い布に覆われた茶畑で育ちます。黒い布をかぶせて育てるお茶としては玉露や碾茶、そして三重県が全国生産量1位の「かぶせ茶」。
黒い布を新芽にかぶせて光を遮断して育てることで、旨味成分であるテアニンが茶葉に残り、苦味成分であるカテキンが抑制されます。結果、煎茶に比べるとまろやかな味わいとなるのが特徴。
またお茶は低い温度で抽出するとトロッとした旨味を楽しめ、高い温度で抽出するとキュッと締まった苦味を楽します。つまり、伊勢茶のかぶせ茶を低い温度の水出しで抽出すれば、旨味成分を存分に楽しめます。お茶の苦みが苦手な方は、ぜひ「水出し抽出」を。
準備物
- ご自宅にある茶葉
- 急須
- 小さじスプーン
- お水(軟水)
- 計量カップ
- 時間を測る道具
茶葉の量は一般的な湯呑(女性の握りこぶしくらいのサイズ)に対して3g程度。
※1煎目、2煎目、3煎目・・・と抽出して楽しめるので、3gの茶葉で湯呑3杯・・・と理解してください。
私は淹れる容器に対して目分量で計算。淹れ方はそれぞれお好みで。
アイスクリームを食べるような「小さめのスプーン」でモリッとすくった茶葉が約3g程度です。
茶葉3gに対して水の量は60ml程度、9g(3g×湯呑3杯)を急須に入ました。急須に入れる理由は、茶葉を濾すのに便利なため。今回は最後にガラスボトルに入れて保管します。
水出し抽出時間の目安
- 1煎目:約10分
- 2煎目:約5分
- 3煎目:約5分
抽出時間は最初の1煎目は水を入れて10分程度が目安。2煎目以降は水を入れて5分程度。
「OK.Google 10分後にアラームをかけて」
「○時○○分にアラームをセットしました」
AIスピーカーに話しかければ時間を正確に測ってくれる。余談ですが家事全般において、手がふさがっていることが多いため、AIスピーカーはとても良いパートナー。話が少し脱線している間に10分が経過し、AIスピーカーからアラーム音。
「OK.Google ストップ」で、アラーム停止。
急須のフタを押さえながらガラスボトルに水出し伊勢かぶせ茶を注いでいくと、柔らかく優しいお茶の香り。あとは2煎目、3煎目と抽出時間を5分に変更して作業を繰り返します。
コップに氷を入れて注いだら水出し伊勢茶 かぶせ茶 完成!
苦味や渋味はなくすっきりまろやか。作り置きして冷蔵庫で冷やしたり、持ち運び用のタンブラーに入れるのもオススメ。
水出し伊勢茶アレンジ編
夏の水出し伊勢茶の楽しみ方は、そのままだけではもったいない!アレンジレシピもご紹介。
お品書き
- 水出し伊勢茶ライム
- 水出し伊勢茶コーヒー
参考:@isecha_official 伊勢茶推進協議会Instagram公式アカウント(茶柱タツのアイコンが目印)
1.水出し伊勢茶×ライム
水出し伊勢茶をさらにさっぱりといただく工夫として、柑橘類と組み合わせて。
私はライムでチャレンジ。お茶の味わいにはない酸味が加わることで、より味がクリアになり爽やかさが増します。水出し伊勢茶にお好みのフルーツやハーブを加えれば、仕上がりは十人十色。
熊野市特産 新姫果汁も相性がよさそう。
2.水出し伊勢茶×コーヒー
「伊勢茶も飲みたいけど、普段はコーヒー派」そんなあなたに提案できる欲張りネタ。伊勢茶もコーヒーも同時に楽しめる「伊勢茶コーヒー」です。
伊勢茶とコーヒーを1:1で割ります。味わいは飲みやすいアメリカンコーヒーで、まだまだ組み合わせや淹れ方によっては伸びしろがありそう。コーヒー好きには、伊勢茶コーヒーの最高の組み合わせや淹れ方を探求するのも楽しそう。
飲んだ後の茶葉どうしてますか? 〆にいただく茶葉のおひたし
ここで茶葉を三角コーナーに捨ててしまってはモッタイナイ!茶葉には抽出されなかった栄養成分が詰まっています。茶葉も美味しくいただく。私も食べてみて驚いた「伊勢茶葉のおひたし」を最後にご紹介。
伊勢茶葉のおひたし
用意するもの
- かつおぶし
- お醤油
作り方はいたって簡単。
- 茶葉の水を切り、
- かつおぶしをかけて、
- お醤油を垂らして和える
これだけ。
私は最初は苦くて食べられないのではという先入観がありましたが、パクパクと箸が進みます。旨味の観点で考えると、テアニンは植物性グルタミン酸の仲間であり、かつおぶしには茶葉にはない動物性の旨味成分イノシン酸が含まれています。
グルタミン酸とイノシン酸をかけ合わせれば旨味成分がより強調され、さらに発酵調味料である醤油もかければ、旨味爆発の味わいになることは自明の理なのです。試したことはない人はぜひ!
実は贅沢?地産地消を楽しむこと
私は三重県で過ごす中で、車窓越しに眺める茶畑の風景がとても好きです。これまでも、これからも茶畑がそこにあってほしい。ただ現代の日本に生活する私たちの食生活は多種多様。「パン」に需要が増えれば「お米」の消費は減るだろうし「コーヒーや紅茶、水、ペットボトル飲料」の需要が増えれば「お茶」の消費は減る。そんな状況を考えると地元産のお茶を飲める今の状況を、少しでも将来に残したいと思いました。
今回、手軽に出来る水出し伊勢茶を味わう時間は、贅沢さを感じるひとときでした。忙しい毎日、急須で淹れたお茶で一服しませんか?
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。