ホーム 04【知る】 連載エッセイ【ハロー三重県】第二回「県民性とか血液型とか」

連載エッセイ【ハロー三重県】第二回「県民性とか血液型とか」

シェア

三重県で暮らし始めて、私は正真正銘のA型になった。

私の血液型はA型だ。
ところが生まれてこのかた「A型でしょう」と言われたことがなかった。
三重県に来るまでは。
血液型占いの信憑性は一旦置いておくとして、他愛のない会話の隙間に性格から血液型を当てようとする遊びはどこでだって繰り広げられる。

「A型以外」だった

私はかつて一度も「A型だよね」と言われたことがなかったのだ。
生粋のA型っ子なのに。
親にさえその血液型を疑われて、十代の頃に「病院へ行ってもう一度調べてみよう」と言われたことがある。
私にはいわゆる「A型らしさ」がなかったらしい。
大雑把で、細かいことを気にしない、我が道を行く、天真爛漫。
母のフィルターを通して見える私はこんな姿をしているようだった。
成長とともに敏感になったり、気難しくなったり、性格の変化は色々あったつもりだけれど、進学して大阪に行っても、就職して京都に行っても、人から言われる血液型はいつだってO型やB型だった。
どうかすると「A型以外のどれか」という乱暴な判定をされることすらあった。

「絶対にA型!」

そんなものか、と深く気に留めてこなかったのだけど、結婚を機に三重県で働き始めた私は当時の職場で「絶対にA型!」と言われたのだ。人生で初めて。
そしてその場にいた人たちがみんな、うんうんと深く頷いていたのだ。
「ゼッタイニエーガタ」その言葉は脳内でスーパーリピートされた。

私はさっそくこの喜びを母に伝えた。
すると母は「よかったね、いいところに嫁いだわね!!!」と的を得ているのかいないのかよく分からない感想を言った。

またある時のこと。
職場で贈答品の包装をしている男性がいて、どうやらかなり難航しているらしかった。

横目でちらと見たものの、私が最も苦手とする類のことであるのは一目でわかったので黙って通り過ぎようとしたら、「こういうの得意そうやなぁ、きっちりしとるで」、と突然白羽の矢が刺さってしまった。まじか。

あたいできない、そんなのできない。折り紙すらまともにできないのに。
「え!できません!」と言ったのだけど、頼むよと言われて断り切れず、なんとかそれらしく包装紙をあてがって、テープをあちこちにに貼って、これはちょっとまずいのではと思う仕上がりだったのだけど、あろうことか男性はそれを満足げに受け取って、その場をなんとか切り抜けられてしまった。
私が生きてきた二十数年でこういった器用さを問われることを頼まれるのは皆無に等しく、「きっちり」なんて言葉は生涯無縁だと思って生きていた。
突然降りかかった「きっちり」は私の脳天に深く突き刺さった。

もちろんこれも母に自慢した。
母はもはや定型文のように「いいところに嫁いだわね!!!!」と繰り返した。
それ以降も、三重県でくらすようになって「真面目」という言葉をあてがわれたことも一度や二度ではない。
高校時代遅刻と居眠りを繰り返し、「いつ起きているのか」と担任に詰問された私が。

私はいいところに嫁いだらしい。
よかった。

お天気のせいなのかなんなのか

私は石川県の出身だ。
石川県は三重県のように半島が海に突き出した形をしているが、突き出している場所は三重県の反対側、つまり日本海だ。それも北の方。

年中いつでも雨が降っていて、降っていないときでもたいてい空には分厚い鉛色の雲が広がっている。
冬にはもちろん雪が降るし、海は荒れる。
季節を問わず傘がないと生活できないほど年中なにかしらがぱらぱら降っていて、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉は石川県の金言だ。
全国天気図を見たら、ちょっと県庁所在地「金沢」の文字を探してみてほしい。
きっと曇りか傘のマークがついている。

そんな町に暮らす人々はみな慎重だ。

ちゃんとしていないとバチが当たる。
都合のいいことなんてそうそうない。

年中恵まれないお天気は住む人にそんな意識を植え付けたのだろう(私調べ)。

三重県に暮らして十年。
この町で出会う人たちのおおらかさはいまだに私を驚かせる。
みんなのストライクゾーンがとてつもなく広いし、「些細」にカテゴライズされるものが多くて多い。
三重県で暮らしていると、ああほとんどすべてが些細だな、と思う。
生き死に以外は執着してちゃいけないな、と妙な達観すら覚える。
もちろん、暮らす人の性格はそれぞれで、一概に言えないのは大前提だけど、このおおらかで懐の広い県民性は(主観強めの)体感として確かにここにある。

海と山と川と温暖な気候に恵まれた背景が関係しているのか、はたまた遺伝子のアルゴリズム(使い方あってる?使ってみたかった)なのか、ちょっとその辺私には分からないけれど、少なくともいいところにお嫁にきた感は十年経った今でも満々に、ある。のだ。

 


令和元年の幕開けとともにインフルエンザの家庭内パンデミックに陥ってしまい、更新が一週間遅れとなりました。
次回からまた、最終水曜更新です。
ぜひともよろしくお願いします(土下座)。

【バックナンバーはこちら】
第一回「R23 ラプソディ」

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
シェア

この記事のFacebookいいね!数

113