「週末はほぼ海。釣りのための家も借りとる」
そんな方と出会いました。
「釣りキチ三平を読んで人生が変わった」
そんな方もいました。
・・・釣り・・・
はまる人が多い中、
話を聞くだけではその愉しさイマイチわからず。
「やってみたらわかるて。釣りバカ日誌は観とったやろ?」
確かに観てた。
でも別にわからなくていいと思った。
紫外線を避け、屋根伝いで生きている自分には、
釣りなんて一生無縁…
のはずだったのに、
なにを間違ったのか、来ちゃった、海。
来ちゃった、海
これから何が起きるのか、
よくわかっていないまま、
岸に迎えに来たルアー船「G OCEAN」に乗り込んだ。
ここは三重県尾鷲市須賀利町。
人口約270人で、
日本の原風景が残る趣深い漁村だ。
聞けば、今から体験するのは、
ルアーフィッシングというものらしい。
なるほど。ルアーフィッシングか。
って、それがなんなのかわからないけど。
ルアー船G OCEANの舵を切るのは、
キャプテンの西原健一さん。
西原さんは名古屋市出身。
小学生の頃、川釣りにはまり、
以来、頭の中は釣り一色。
大人になってからも名古屋の会社に勤めつつ、
週末は釣りで海へ通う生活を続けていた。
そしていよいよ、釣愛が溢れすぎて脱サラ。
三重の漁村部に移住しちゃった類である。
夢だったルアー船のキャプテンとなった西原さん。
「単純に人生楽しいことしなきゃ損でしょ」
そう言って笑う。
因みにこの日、一緒に船に乗った友人も、
東京からこの須賀利に移住しちゃった女性。
来ちゃった系のワンディクルーズ。
約8時間の旅へ。
待たない。追いかけるの。
ピピピピピ・・・
操縦席に電子音が響く。
「ここら辺りで一旦いってみましょうか」
キャプテン西原が船を止めた。
ルアー船には魚群探知機とGPSが付いていて、
魚の群れを追いかけられるらしい。
釣り=待つという固定概念があった私は、
攻める釣りにちょっと驚いた。
文明の利器を駆使する私たち。
対して、鳥たちは既に魚群を察知し、海上に群がっていた。
鳥の察知能力すごい。
まずキャプテン西原に、
竿とリールの初歩的な使い方を教わる。
魚を誘き寄せるのは、
疑似餌とも呼ばれるルアー。
リアルな餌に見せかけるべく、
リールを巻くと同時に、ルアーを上下左右に動かす。
ルアーを海底まで落とす、
巻き上げて、また落とす。
その繰り返し。
慣れてくると、
なんだか楽しくなってくるから不思議。
美味しいよー美味しいよー。
そう呪文のように唱えながらルアーを動かしていると、
グググっと手応え!!
キター!!!
こ、これは、大物な予感!!!!
鯛か?!鯛なのか!!
やばい!すごい引きだ!!!
周りを巻き込み、
テンパりながら釣りあげると、
予想以上に可愛いヤツでした。
ワタシ、海してる。
さて、約8時間、船上で過ごすというのが、
どういうことなのか理解していなかったわけだけど、
トイレが付いていたのには安心した。
そして食料の確保は抜かりなく、
早朝に握ったおにぎりを持参。
とある漁師さんが以前に、
「漁船で食べるカップ麺が世界一うまい」と言ってたけれど、
”ルアー船で握り飯”もかなりのご馳走だった。
しかもそれっぽい干物付き。
海してる自分にちょっと酔う。
酔い止めはしっかり飲んだからそっちは大丈夫。
友人の竿に激しい異変!
船は同じ場所にとどまらず、
約30分周期で移動する。
理由は、魚群は動くし、
風や潮の流れ、波によって、釣りのポイントは刻一刻と変わるから。
常に沖に出て、
ポイント探しをしているというキャプテン西原の経験と、
魚群探知機・GPSを駆使し、
魚の群れを追いかけるのだ。
因みにキャプテン西原が会社員時代には、
休みの度に、
春秋は福井でヒラマサ、夏は鳥羽でキハダ。
冬は石鏡へ行ってシーバスか寒ブリというように、
年間の釣りルーティンがあったそう。
楽しみ方や狙う魚は人それぞれで、
1年中特定の魚を追いかける人も多い。
ここ尾鷲での面白さについては、
魚種がとても豊富で、
初級者から上級者まで幅広く楽しめるところ。
また須賀利町は、
釣りポイントまでの距離が近いのが、
GOODなのだそう。
そんなお話を聞いている最中、
友人の竿に激しい異変が。
歯を食いしばりながら、
重たそうにリールを巻く友人。
獲物との闘いがもう始まっているようだ。
臨場感たっぷりの生声を聞きたくて、
「どんな感じ?どんな感じ?」
と覗き込んで質問しまくったが、
それどころではない彼女からは、
「とにかく重い」しか返ってこない。
格闘すること数分間。
水面に上がってきたのは、
どデカイ鯛だった。
超高速PDCAな現場
その後、友人の雄姿に触発され、
気合が入った私も鯛を捕獲。
サイズは小さいものの、
青いアイシャドウが入ったべっぴん鯛。
魚がルアーに食いついた時のアタリの感触と、
釣り上げる時の興奮を知ってしまうと、
おかわりが欲しくて仕方なくなる。
これが釣りにハマる感覚のひとつか…
船上で神経シメを教えてもらい、
約8時間の釣りクルーズを終えた。
初めてルアーフィッシングで感じたこと。
まず、釣りの現場は超高速PDCAだったということ。
今回、私は上げ膳据え膳状態だったので、
釣れたらラッキー的な感覚だった。
でも実際は、
データを集め、分析し、
魚種や潮などの状況に合わせて、
適切な仕掛けやアプローチを考え実行。
失敗したら即見直して、再度実行。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)
いかに狙った魚を誘い、
釣り上げるかという魚との駆け引きPDCA。
頭を使う上、
意外にも全身を使い、
筋肉痛も伴った。
なるほど、釣りは紛れもなくスポーツなのだな。
手に鮮明に残るアタリの感覚と、
海への余韻に浸りながら、
岸で食した釣りたてのべっぴん鯛は最高だった。
「やってみたらわかるて。釣りバカ日誌は観とったやろ?」
釣りキチなおじさんの言葉が舞い戻る。
釣りの面白みと奥深さにちょっぴり触れ、
ずっぽりとはまり込んでいく中毒性が、
ちょっぴりわかった気がした。
釣り具少しずつ揃えちゃおうかな…(小声)
ルアー船「G OCEAN」
【問い合わせ】090-6744-1069
【サイト】facebook
【設備】屋根・トイレ有
【レンタル】竿・リール・ライフジャケット・長靴
【浜の家】宿泊利用可。水道・氷・風呂・トイレ・ドライヤー・キッチン用品あり
【料金】 乗合:定員6名様迄。10,000円(8時間)/名 ※中学生以下無料 高校生5,000円
チャーター :定員5名様迄。60,000円(8時間)/隻
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事