美味しいお菓子をもらった。
袋を開けてみると商品の紹介文に加えて見つけた一文に目をむける。
(オーブンなどで焼いても美味しくお召し上がりいただけます。)
そういえば、いつもそのまま食べてしまってオーブンで焼いたことはなかった。ちょっと焼いてみるか。
ふと生まれた好奇心で軽やかな足取りでオーブンに向かう。
彼はまだ知らない。オーブンで焼いてみるという行為からドラマが生まれることを・・・・
オーブンの扉は開かれている
自宅にはどこにでもあるのは一般的なオーブンだ。
※.ここでのオーブンは「オーブントースター」のことを指している。
食べ物を焼いてみる前に、今回の名脇役であるオーブンに関して軽く触れておこう。
まず「オーブン」とは・・・熱した空気または壁面などから発する赤外線によって食品を加熱し、焼いて、または乾燥を行う閉じた空間の調理器具である。
今回活躍する「オーブントースター」とは・・・電気トースターのうちオーブン型のもので、日本では、1963年にタニタが最初に製造販売した。
※.ウィキペディア参照
電化製品の「三種の神器」といえば、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫であることは歴史の教科書で習った記憶がある。1950年代後半に「三種の神器」が現れ、その数年後に日本ではタニタから「オーブンとスター」が発売されたのだ。
今では当たり前にある家電が無かった時代を想像するととても不便に思う。当時は生活を劇的に変える技術の登場に、日本中が震撼していたのだろう。
「オーブンで食べ物を温められること」は、本当にありがたいことなのだと改めて認識する。
干し芋やせんべい、餅菓子を用意
それでは待ちに待った「オーブンで焼きまShow」の始まりだ。
用意したのはこちら
- ぎんこ芋
- おにぎりせんべい
- 太閤出世餅
さてさて、どうなることやら。
細末の不安とそれ以上の期待を抱いてオーブンの扉を開けた。
べにはるかの干し芋「ぎんこ芋」を焼く
ぎんこ芋は志摩市安乗にある上田商店の新商品で、伝統の煮切り干し製法で作った干し芋だ。馴染みあるきんこ芋の原料は「隼人芋」だが、ぎんこ芋の原料は「べにはるか」を使っている。
そのままでももちろん美味しい。それは後から出てくる食べ物も同様なので、ここで以下は割愛させてもらおう。
オーブンスイッチON!!どんどん焼き色がついていく。
焼きあがった「ぎんこ芋」をお皿に移すと甘い香りがあたりに広がる。
(これは美味いやつや)
外側はパリッとしながらも、煮切り干し製法ならではのモチっとした食感は残っていた。香ばしさと歯ごたえば少し増す分、食べ応えもある焼き干し芋に仕上がった。とても満足している。
関連リンク:きんこ芋工房上田商店 公式HP
定番おやつ「おにぎりせんべい」を焼く
次に伊勢市のおやつメーカーマスヤが製造する「おにぎりせんべい」を焼いてみる。
なぜ焼こうと思ったかというと、「焼きおにぎり」せんべいになるからだ。
※.よくよく考えたら「せんべい」は焼いて作ることに後から気づく。
オーブンスイッチON!!様子をうかがいながら焼き上がりを見守る。
焼き上がり加減がわからなくてちょっと焦がして、「焼き過ぎおにぎりせんべい」になってしまった・・・「ぎんこ芋」同様に香ばしさは増している。
一口頬張ってみると・・・温かい。「おにぎりせんべい」ってとても新鮮だ。パリッという食感がシャクっと少し変化して、なかなかいける。
普段食べることのない温かな「せんべい」や「あられ」の可能性の片鱗に触れた気がした。
関連リンク:おにぎりせんべいのマスヤ公式HP
驚きの2段変化「太閤出世餅」を焼く
三重県には「赤福餅」や「なが餅」などの餅菓子を筆頭に、お伊勢参りをもてなした名物餅が三重県各地に点在している。
最後に紹介する伊勢名物「太閤出世餅」もその一つだ。
8個入りの袋を開けると冒頭で紹介した
(オーブンなどで焼いても美味しくお召し上がりいただけます。)
という紙が入っている。
実はこの一文には一つ単語が足りていない。
その単語は「驚き」だ。
理由はオーブンで焼きあがる「太閤出世餅」の姿で理解してもらえるだろう。
早速、オーブンスイッチON!!すると・・・
ん?
「なんと太閤出世餅さん!どないしたん!?」
近年稀にみる驚きを得ました。トトロのお腹のような膨らみを魅せる太閤餅に目が釘付けになる。
僕が知っている太閤餅はこれのはずだ。
目の前にいるのも太閤餅・・・?なはずなのに、信じられない自分がいる。
焼きあがった太閤餅を皿に移して眺めてみる。餅は相変わらずぷっくり膨らんでいた。
おそるおそる焼きあがった生地を開けてみた。軽く湯気がふわっと広がった。
今まで何度も食べてきた太閤出世餅との思い出が走馬灯のように巡る。
(僕・・・太閤出世餅のことわかった気でいた。ごめんな)
そう呟きながら一口頬張ってみる。
外はパリッと中はとろける柔らかなさのお餅で、粒あんが優しい味わいを引き出していた。美味しい。
驚きの連続からの一口を味わいながら、「オーブンで焼きまShow」はフィナーレを迎えた。
関連リンク:伊勢名物 太閤出世餅公式HP
これからも焼き続ける。そこにオーブンがあるのだから。
いかがだっただろうか?
僕は正直なところ、「オーブンで焼く」という簡単な行為でここまで楽しめるとは思ってもいなかった。
普段から親しみのある食べ物を、そのまま食べるのも良し。焼いてみるのも良し。はたまた、揚げてみるのも良し。
特にオーブンでのアレンジは、手軽に挑戦できる最高のツールなので、ぜひ身近なものから試してみてほしい。
そこにはきっと、驚きのドラマが待っている。
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。