みたらし団子といえば??
関東出身の私にとって、
みたらし団子と言えば、
トロンとした一般的な甘辛タレ。
なのだけど、
”いやいや、甘くないのがみたらし団子でしょ”
という声を三重県桑名市ではよく聞く。
今回訪れたのは、
甘くない派一押しである、
創業58年のみくらや餅店。
名前の通り、お餅屋さん。
餅屋と和菓子屋の違いについては、
今まで意識したことなかったが、
餅屋はのし餅や赤飯、大福、団子など、
和菓子屋は練り切りや羽二重、求肥など、
昔は明確なすみ分けがあったらしい。
かつて城下町だった桑名には、
和菓子屋が多く、
最盛期には約70軒あったが、現在は35軒程。
餅屋においては、
もう2軒程しかないのだそう。
その貴重な餅屋の1軒が、
みくらや餅店なのだ。
約60年間の歴史がしみ込む団子
早速、甘くない派を唸らせる、
みたらし団子を焼いてもらった。
程よく焦げ目をつけながら、
くるくるまわる団子たち。
くぐらせる特製の醤油だれは、
創業時から58年間継ぎ足しているもの。
くぐらせたら焼く。
そしてまたくぐらせる。
そしてまた焼く。この工程を3回。
『こうすることで味がしみるんよ』と大将。
58年の歴史を纏い、
こんがりきつね色になってきた頃、
香ばしい匂いが鼻を誘う。
熱視線を送る私に、
大将がくれた熱々の”半端もん”
醤油の焦げ目が香ばしく、
お団子はもっちり柔らか。
うん、甘くない!
今まで定番だった、
とろみのある甘辛のみたらし団子とは、
全く違う食べ物だ。
聞けば、みたらし団子の原型は、
このような醤油だれを浸け焼きしたもの。
砂糖の流通量が増える時代のなかで、
甘辛タレが主流となったのだそう。
大将:焼き立ては焼き立てでええんやけど、うちの団子は30分後が味が染みて馴染むんよ。
粉からこだわっているため、
団子は冷めてもかたくならず、
焼き立てとはまた違う食感が味わえるという。
では、その30分を経たものを一串。
なるほど、
焼き立てに比べて餅にコシが出て、
醤油の味も馴染んでいる。
焼き立ては辛みが勝っていたけれど、
30分後のものは餅の甘みまで味わえる。
たかが30分。
されど30分。
好みかもしれないが個人的には、
58年の歴史に30分のちょい足しを、
おすすめしたい。
美味しさの秘訣は…
お団子を食べて感じたのが、
キメの細かさ。
草餅でもその違いがよくわかる。
理由の一つは、
大将のお父様が製粉屋だったため、
生の粉にとてもこだわっているということ。
--やっぱり粉も生の方が美味しいですか?
大将:そりゃそうだよ。生ビールと瓶ビールくらい違うよ。
--そりゃ、大差っ!
そして製法も。
蒸気でふっくら蒸すことと、
大将しか扱えないという、
手動の餅つき機がその秘密。
ズドーンと下までしっかり沈み、
キメ細やかな餅を作り上げる。
もちろん餡子も全て手作り。
普段の営業は注文が主で、
冷凍は一切せずに販売しているというのも、
昨今においては貴重なのかも。
この味を、
関東から帰省している子供・孫にも食べさせたいと、
みたらし団子やたがね餅(もち米とうるち米をついた餅)を、
沢山買っていかれる方も多いのだそう。
私がお伺いしたのは11月下旬だったが、
年末は餅の予約が、
山のように入っているとのこと。
おかみさん:もう朝2時からフル稼働なのよ!
--わぁ、おかみさん、2時は朝ではなく真夜中ですね。
なんだかツウな気分になれる、
お餅屋さんの香ばしいみたらし団子。
焼きたてvs.誘惑に30分打ち勝ったもの。
どちらがお好みか、
ぜひ食べ比べしていただきたい。
みくらや餅店
住所:桑名市大字江場1450
電話:0594-22-1746
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事