芋、それは人によっては魅惑のキーワード。焼き芋、芋けんぴ、スイートポテト、大学芋・・・巷で見つければおいしいよー、こっちにおいでよーと手招きをしてくる。それに従うか、あらがうか、あらがえるのか・・・そんな場面がよみがってきます。
芋に思いをはせながら、今回の主役は「干し芋」。「干し芋」というと甘くて美味しいけど、ちょっと固くて保存食なイメージを持っていませんか?そんなイメージを必ず覆してくれるそんな「干し芋」が志摩市安乗にありますよ。
訪れたのは志摩市安乗のきんこ芋工房 上田商店さん。
店名からピンときましたか?そう、伊勢志摩で有名なきんこ芋!といいたいところですが、そうではなく今回お伝えしたいのは「煮切り干し製法」の干し芋なんです。
一般的な「蒸し切り干し製法」に比べ、もっちりとした柔らかさで一口頬張れば水々しくも濃厚な甘みが口いっぱいに広がる。それが伝統の「煮切干し製法」が成せる技。
そもそも、きんこ芋とは全国的にも生産量が少ない「はやと芋」の愛称で希少なさつまいものことです。志摩では干し芋のことをさし、海女さんが漁に出られない時の副業として作っていたことでも有名ですね。語源は干しナマコの「金ん子」からきているそうです。
志摩市安乗にある「きんこ芋工房 上田商店」では、原材料の芋を育てる干し芋農家でありながら、主にきんこ芋の商品の製造・販売をされています。
極上に柔らかい煮切り干し芋を、もっと多くの人に伝えたいという店主の想いから、昭和49年に上田商店は創業しました。元々は家庭のおやつとして作り、伊勢志摩だけで流通していた煮切り干し芋でしたが、品質を維持しながら量産化するのは茨の道だったそうです。
立ちはだかったのは伊勢志摩の温かい気候で、柔らかく水分量の多い煮切り干し芋は、とても傷みやすく、商品化には失敗を幾度となく重ね、店主は独自の製法を生み出しました。苦労の末、販売を開始できたのが何と昭和55年、製造開始から6年の月日が流れていました。
そんな秘話を知ると、干し芋の一つ一つに店主の想いが詰まっていて、何だか後光がさしているように見えてきました。ありがたや。
干し芋の製法は一般的な「蒸し切り干し」では作れない副産物が芋蜜。砂糖や甘味料は一切加えておらず、さつまいもも本来の甘さを大切にして完全無添加で製造されることで、煮詰めて溢れ出たのが芋蜜。アイスクリームにかけたり、パンケーキにかけたり、ヨーグルトにかけたり食物繊維もたっぷりで身体にもいいですよ。
上田商店さんには販売店もあり、魅惑の芋スイーツを楽しむことができます。
もちろん、煮切り干し製法で作られた魅惑の干し芋(きんこ芋、べにはるか)や芋蜜も販売してます。※.商品によっては売り切れあり。ご注意くださいませ。
その年によって販売期間は異なりますが、今年は12月〜順次商品発送をされるそうです。安乗の灯台で海をみて、安乗神社で参拝し、上田商店で芋スイーツを堪能して、煮切干し芋を買って帰るなんてプランはどうですか?
【きんこ芋工房 上田商店 店舗情報】
営業時間 | 平日12時(休日10時)〜17時まで |
定休日 | 不定休 |
電話番号 | 0599-47-3517 |
公式HP(オンライン販売あり) | http://kinkoimo.com/ |
住所 | 志摩市阿児町安乗1076-2 |
駐車場 | あり |
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。