『ここの伊勢うどんが旨いんよ』
そう地元の人に連れてきてもらったお店にて、
伊勢うどんを注文。
『僕はチャーシューメンで』と地元の人。
ちょ、伊勢うどんじゃないんかい。
ふぁぁぁぁん!!ってなる焼豚伊勢うどん
ここは伊勢 河崎。
かつては勢田川の水運を活かし、
”伊勢の台所”として、
参宮客の食料や雑貨などの物資供給で栄えた港街。
今も古い町屋や黒塗りの蔵などが残り、
情緒ある街並みとなっている。
今回、教えてもらったのが、
河崎にあるつたや。
懐かしさを感じる食堂だ。
早速人気の伊勢うどんが運ばれてきた。
ふぁぁぁぁっーーん!!
思わず叫ぶそのビジュアル。
焼豚入りの伊勢うどんを超えて、
伊勢うどん添えの焼豚状態。
その焼豚の存在感たるや、
ふわふわな伊勢うどんを労わりたくなる粋だが、
タレの旨味と焼豚の脂の相性が絶妙で、
それらを絡めた伊勢うどんの主張も全然負けてない。
美味しい!!
もう夢中ですすった。
で、地元民はラーメンやチャーハン
地元の方が注文したチャーシューメン。
間違いなく美味しそう。
でもさ、ここは伊勢うどんじゃないの?
お隣の席でもラーメン。
親子でラーメン。
週1ペースでここのラーメンを食べるのだとか。
でもでもさ、ここは伊勢うどんじゃないの??
『伊勢市民はあまし外で伊勢うどん食べへんのと違うかなー。食べとるのは大抵観光客やよね』
なんと伊勢の人は、
伊勢うどんは家で食べるから、
わざわざ外食先で頼まないと言うのだ。
そんな伊勢あるあるがあるらしい。
ダシは薪で炊く。そして熱した鉄板でジュッとキメる
創業70年のつたや。
現在お店は、
二代目と三代目が共に営んでいる。
驚いたのが、
厨房のおくどさん。
ダシは、
鰹節2種と煮干3種、昆布などの材料をふんだんに使い、
毎日5時間かけ薪のカマドで炊いているのだそう。
ご主人:『ガスでは出来ないからね』
その理由はこれ。
火の中に投入して熱した鉄板を、
ダシを炊いている鍋の中にジュッと入れる。
それによって、
魚の臭みがとれ、醤油の香りがより引き立つという。
更にダシは1日寝かして馴染ませる。
『こんな工程を踏んでいるのは、今はもううちくらいなんじゃないかなぁ』
とご主人。
ふぁっふわな伊勢うどんは竹かごで茹でる
優しさの塊ともいえる柔らかな伊勢うどんは、
専用の竹かご”とおし”で茹でる。
30分茹でて、30分蒸らす。
計1時間かけた伊勢うどんは、
ふぁっふわっだけどもっちりし、
それでいて角が取れない。
熱々の伊勢うどんに、
たまり醤油で仕上げた特製のタレを、
常温の状態でかける。
見た目は濃厚そうだが、
実際は魚と醤油の風味が豊かな、
上品かつ奥深い味わいなのだ。
最初から最後まで私だけのもの…
戦後の何もない頃から始まったという、
歴史あるつたや。
おくどさんと共に、
引き継がれた伝統のダシ。
そのダシで織りなす、
伊勢うどんもラーメンもとても美味しい。
もしこの味を知らない人が隣にいたら、
”ちょっと一口食べてみて!”
って言いたいけれど、
正直ひと欠片もあげたくない絶品なお味でした。
取材日 2018.9.28
Photo by y_imura
つたや
住所:三重県伊勢市河崎2-22-24
電話:0596-28-3880
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事