店内に一足踏み込めばピアノが奏でるモダンなジャズが流れ、芳醇な燻製の香りが広がります。
ここは昭和に鳥羽の台所と呼ばれた鳥羽なかまちにある
「燻製専門店 海童工房 魚寅」。
魚寅店主の杉田さんは燻製の旨味にとりつかれた妥協を許さないこだわり人。お話するとわかりますが、とにかく燻製や旨みが大好きなんだなぁということが伝わってきます。
また、杉田さんは何でも自分で手作りしてしまうDIYブームの先駆けのような方です。
そしてなんといっても驚きなのが・・・
燻製釜も手作りしてしまったこと。
燻製には熱燻、温燻、冷燻と種類があるそうです。たんぱく質は45度程度で熱変性を起こします。魚寅燻製窯では冷燻も作ることができる優れものです。食材に合わせて、温燻や冷燻、燻製用チップの種類などカスタマイズして商品が出来上がっていきます。
なかでも代表的な人気商品は「牡蠣の燻製オリーブオイル漬け」です。
鳥羽産の牡蠣を使い、試行錯誤を重ねた味付けと香り高いブナのチップで燻した逸品です。ふたを開けると、ご家庭でも魚寅おなじみ芳醇な薫香(くんこう)に脳を揺さぶられます。魚寅の燻製商品に共通する「薫香」が魅惑のキーワードだと思います。
オリーブオイルも捨ててしまってはMOTTAINAI!頭の中でワンガリ・マータイさんがささやきます。牡蠣の旨味と薫香が乗ったオイルは、パンにつけたりパスタにからませたり・・・燻製の魅惑の世界へいざなわれていく。
魚寅はもともとは杉田さんの父親の代から海産物の卸問屋をされていました。創業100年以上で、ここの店も以前は魚屋だったそうです。「こんなもんが残っとるんですよ」と出してきてくれたのが、志摩保健所第一号のふぐ取扱営業登録済の許可証。
父親が大阪の業者にふぐを卸していたこと、鳥羽は昔はボラ漁が盛んで多いときで1日に何十トンも買い付けて津や松阪に売りにいっていたことなど、懐かしそうに話してくれました。
鳥羽なかまちは昭和の町並みが残る赴きある町。そんな風景と重なって古き良さを垣間見た気がします。
鳥羽に遊びに来た際は、鳥羽なかまち散策をしながら魚寅の杉田さんに是非会いに行ってみてください。「食べてもらわんとわからない」と試食も出してくれますので、燻製の旨味入門にはもってこいのお店ですよ。
<鳥羽なかまちの魅力が詰まったイベント>
2018年11月11日(日)に定期的に開催されている「鳥羽なかまちマーケット」が開催されます。
時間 | 15:00~17:00 |
会場 | 鳥羽なかまち(〒517-0011 鳥羽市鳥羽) |
公式URL | http://www.tobanakamachi.com/ |
アクセス | 中之郷駅から徒歩約5分(公共交通)、伊勢ICから約15分(車) |
駐車場 | 有り |
魚寅では鳥羽郷土料理「海津(かいず)の干物」が食べられるかも。日本酒ショットバーも開催予定。日本酒と燻製って最高やないかい。
【魚寅 店舗情報】
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 水曜日 |
電話番号 | 0599-26-4000 |
公式URL | http://www.kaidoukoubou-uotora.biz/ |
駐車場 | 有り |
濱地雄一朗。南伊勢生まれの伊勢育ち。三重県といっても東西南北、文化や自然・食と魅力で溢れていることに気づき、仕事もプライベートも探求する日々を過ごす。探求を続けると生まれた疑問、それが「何で◯◯が知られていないんだ」ということ。それなら、自分でも伝えていくことだと記者活動を開始。専門は物産と観光、アクティビティ体験系も好物。自身で三重県お土産観光ナビも運営中。