ホーム 01【食べに行く】 01テイクアウト・お取り寄せ 都会ナイズされていないローカルさがかっこいい。泥臭く実践し続けるたけちゃんに心揺さぶられる。

都会ナイズされていないローカルさがかっこいい。泥臭く実践し続けるたけちゃんに心揺さぶられる。

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殺風景だった自宅に観葉植物を置いた。

ところが想定以上に葉が落ち、
日々の世話が結構な手間。

観葉植物のくせに…

そんな嘆息をもらしたところ、
ある庭師さんに言われた。

可愛いやん

 

 

その言葉にハッとした。

当たり前だけど、観葉植物は生き物。

 

風貌は怪しさしかないその男性

雨音や風音を、
当たり前のように感じられる家屋が好き

そう話すのは、庭師 水谷岳史さん。

出身は三重県桑名市

彼の剪定は自然樹形。

そこに生きる木の個性を活かし、
自然な姿を維持したまま整える技法だ。

庭を創るのはもちろんのこと、
外構や塗装、木材加工、何でもやる。

なんなら古民家をDIYして、
シェアハウスやアトリエも展開しているし、
その勢いで飲食店も手掛けている。

サラリと描くデザイン画に光るセンス

コントラバスを奏でることや、
イベントで音響を担うこともある。

もはや何屋なのかわからない、
通称「たけちゃん

彼が一貫してこだわっているのは、
違和感のない空間にすること

つまり、
いかにナチュラルな風景を、
クリエイト出来るかどうか。

 

古臭くもお洒落過ぎもしない自然体

名古屋駅から徒歩15分。

レトロさと大都会という、
不思議なコントラストを味わえるこの一角に、
たけちゃんがオーナーを務める飲食店がある。

最寄は名鉄の栄生駅

古民家飲食店『BUCHI(ブチ)

物件は、
長らく空き家だった元呉服の染め物店。

自分たちで、
人工的な化粧材は全て剥がし、
腐りかけていた床は直し、
壁や柱を本来の姿に再構成。

時代を越えて、
情緒を存分に惹き出された家屋は、
古臭くもオシャレ過ぎもしない。

見渡した時、
目が留まるところはなく自然体なのだ。

” 縁、そして縁側のように、
中と外が繋がるような場所に… 

店名に込められた想いの通り、
学生からお年寄り、外国人、
ビジネスマンも羽を休めに訪れ、
窓越しには道ゆく人と挨拶が交わされる。

更に、たけちゃんや店長たちの気さくさが、
空気を調和させる。

音楽好きが集まれば、ジャムセッションが始まることも

色のない、程よいぐちゃぐちゃ感が、
どの属性にもよく馴染むのであろう。

 

ルールも個室もない空間はシェアハウスと呼ばれた

庭師であるたけちゃんが、
空間を創るようになったきっかけは、
友人が暮らしていた古民家に転がり込んだこと。

築70年以上の老朽化した長屋だったが、
名古屋駅からのアクセスは抜群。

友人と共に改築を進め、
住みやすい空間へと変えていった。

その後も近隣で、
気になる空き家を見付けては、
大家を探すところからスタート。

いつしか仲間が居つき、
流れ者が留まるようになり、
名もなき居場所は、
周囲から「シェアハウス」と呼ばれるようになった。

現在、シェアハウスの運営は、
たけちゃんとパートナーを組む、
藤田恭兵さんが主に担当。

興味深いのが、
彼らのシェアハウスには、
個室もルールもないということ。

各自の荷物は押し入れを区切り収納し、
トイレとお風呂以外は全てが共用。

一つ屋根の下、
家族のように食卓を囲む暮らしなのである。

ある日のシェアハウスの様子(筆者撮影)

ストレスやトラブルはもちろんあります。
ただルールは考える力を失くすものだと考えています。
問題に対し皆で話し合いクリアにしていく。
大切にしたいのはその工程と人への信頼ですね。

そう、彼らが長けているのは、
自然発生的に起きる事象に対し、
都度向き合い対応する能力

起こりうる衝突も、
予防に注力するのではなく、
体感して共に考えるところに、
エネルギーを使っているのだ。

また生活コストを下げ、
創作活動に時間を費やせることに、
メリットを感じるクリエイターも集まっており、
生まれたプロジェクトが多数ある。

その展開を汲み、
増設したフリースペースは、
のちにアトリエと呼ばれるようになった。

※筆者撮影

今では半径1.5キロ圏内に、
シェアハウス3軒、アトリエ2軒。

まるで小さな村のよう。

お金はない。
だからないものは創る、それもクリエイティブに。
大それた事を考えているわけではなく、
楽しい事をしようとしたら、
これが一番良いのかなと思っただけです。

そして、住民たちに、
ちゃんとご飯を食べさせたいと始めたのが、
先に紹介した飲食店BUCHIなのだ。

 

育ててくれているのは地域

― 家賃4万円まかない付き ―

シェアハウス住民は、
BUCHIでまかないとして食事ができる。

それでも皆、
自主的に手伝いに入っているところに、
アットホームな”らしさ”を感じる。

シェアハウスの住民

店と客の垣根がフラットな分、
派生するコラボも多種多様。

ある時は、農家さんと八百屋化。
ある時は、近所の高校生による食堂化。

提案に対し、
懐深く受け容れるのが、彼らの基本姿勢。

例え失敗したとしても、
そのチャレンジに意味があるからだ。

また孤食の子どもに場所を開放しており、
食事のお礼で皿洗いをする少年を見掛けたことがある。

先日の台風明けには、
たけちゃんたちが大工となり、
地域で被害を受けた屋根の修繕レスキューに、
回る様子も印象的だった。

僕らは地域に育ててもらっていますから

「今」があるのも、
1軒目のシェアハウスの大家さんが、
長屋を自由にさせてくれたことがきっかけ。

なので自分たちも、
誰もがチャレンジ出来るフィールドを作ることが、
恩返しだと考えているという。

 

お金ではない価値観で楽しむ文化

個性を活かし、違和感なく整える

まさにこれは、
庭師としての剪定とリンクする、
たけちゃんの地域や文化の捉え方。

一見、何者か謎しかないたけちゃんだが、
信じた概念を実践し、証明する強さを持っている。

空間を細分化して、
要素を結合させ、
日常と日常を掛け合わせて非日常を作り、
それを新しい日常としていきたいですね。

その世界観、触れればきっと、腑に落ちる。

 

最後に、徒然想うこと。

たけちゃんこと、
水谷岳史さんを取材して、
改めて感じたのは、
都会ナイズされていないローカルさが、
かっこいいということ。

滅茶苦茶で粗削りなところはある。

でも愛ある泥臭さに、
ハッとさせられ、心揺さぶられるのだ。

日々に追われ、
植物に”効率”を求めていた自分に気付かされたように。

ローカル感を可愛さに変えているたけちゃんのデザイン

今、地方都市では、
大手企業や都市部への”外注依存”が問題視されている。

心動かされるのは、
パッケージ化されたお洒落ではなく、
今ある資源を活用した違和感のない”らしさ”

派手さや大きな実績がなくとも、
地域を想い、
その土地ならではをしっかり見極め、
取り組んでいる若者たちを、
どうか見逃さず、育てる街であることを切に願う。

Photo by y_imura


古民家飲食店 BUCHI
住所:愛知県名古屋市西区栄生3-21-2
電話:052-551-5378

シェアハウス LongRoof/Fyume

 

福田ミキ

フクダミキ。OTONAMIE副代表。OTONA MASTER。
仕事は東京の企業の社長秘書兼オフィスワークセンター長。数年前から社会人学生でもある。2014年に夫の都合で東京から三重県桑名市にお引越し。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。この記者が登場する記事
※くわブロにて情報更新中

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