むー、気になる外観。
ファミリースナック…??
堂々たるメニューのランナップから、
惹かれるのが、ホットケーき。
パンケーキではない。
ホットケーき。
これは食べねばならぬ。
奥のルームへどうぞ・・・
中に入ると、
いきなりしびれた。
おぅ…
その奥には…
スナック調の”ルーム”
ここは伊勢市駅近くにある「喫茶 寿」
伊勢界隈では一番古い喫茶店。
懐かしいやつも健在。
奇妙なやつも存在。
ホットケーきと生トマトジュース
リチャード・クレイダーマンが流れる店内。
早速、ホットケーきを注文。
実物は、
イラストよりもずっとふんわか。
とろ~りシロップをかけ、
ナイフを入れる。
サクッとふっくらな生地。
懐かしさを感じる、
王道の美味しさだ。
飲み物は生トマトジュース。
これまた、非常に飲みやすし。
時季に合わせた完熟トマトを、
ミキシングした100%フレッシュ。
青臭さはなく、
トマトジュースが苦手という人でも、
はまってしまうという噂の逸品。
カウンターでは、
常連とみられるおじさまが、
ホットコーヒーとぜんざいを頼んでいた。
おばちゃまグループは、
生トマトジュースと焼きそばを食べていた。
「マスター、焼きそば、お持ち帰り用のもお願いね」
そんな声も聞こえてきた。
昭和20年。戦後まもなく創業した喫茶寿
終戦を迎えた昭和20年8月。
喫茶寿はその同年11月に創業した。
屋号は寿屋。
憩いの場となり、
皆が幸せになれるように…
そんな想いを込めて
付けた名だったという。
当時は、
おくどさんに薪をくべ小豆を炊き、
ところてんやあんみつ、ぜんざいなどを出していた。
昭和27、8年頃、
その頃には珍しかった、
ホットケーキをメニューに入れ大ヒット。
昭和3、40年頃には、
カレーライスを始めた。
電子ジャーがないので、
ご飯が冷めぬよう、
おひつを座布団で包み保温していたそう。
その後も、
スパゲティや丼など、
メニューを増やしていった。
特に焼きそばが大当たりして、
一時は列をなす程だったとか。
時代とともに、
最先端に挑戦してきた喫茶店なのである。
料理写真 / y_imura
家族はもちろん、密会も大丈夫…!?
寿の店内は、
ちょっと不思議な造りになっている。
大通りに面した表の入口から入ると、
モダンなルーム。
その奥の通路を行くと、
スナック調のルームがある。
そして更に先には、
裏の入口がある。
なので、
奥のルームで密会中に、
都合の悪い人が入ってきても、
こっそり教えてもらえれば、
裏の入口から出て、修羅場を回避できるということ。
便利!!
そして気になっていた、
ファミリースナックとは。
マスター:『1980年代、住居部分を店舗に拡張してスナックも始めたんですよ。家族でも来れる空間で、カラオケしたり、近所の人たちがよく集ってくれていましたね』
ママ:『大変だったけれど、朝と夜、1日に何回も来てくれる常連さんもいて楽しかったですよ』
因みに、
ちょこちょこと置かれた奇妙なブツたちは、
マスターの作品でした。
今、伊勢市駅前では、
着々と再開発が進んでいる。
賑やかになることが予想されるこの地区で、
喫茶寿は、
町や人の歴史を背負い、
ホッとする味わいと佇まいを守り続けている。
表と裏、どちらの入口を使うか。
手前と奥、どちらのルームに腰を落とすか。
TPOとお好みでどうぞ。
寿
住所:三重県伊勢市宮後1-2-24
電話:0596-28-3781
写真一部 / y_imura
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事