津市の丸之内、某百貨店の裏通り。
(帰りに暗い中、スマホで撮ったので上手く撮れなかったが……)
「Heart ポッポ」
国道から1本逸れた所なので、比べるとお店の周りは大分静かになる。
入ってみると、くの字になっているカウンターの隅には常連らしいお客さんがいて、
お店の中には煙草の香りが広がっており、ジャズやロックなど様々な音楽が流れてくる。
気取ったようなお洒落、ではなく、音楽に関するグッズや写真が飾られた、
落ち着いた、隠れ家のような大人の空間。
後々聞いた話だと、7年前からここでお店を開いているとのことだが、
ここは、良い意味でもっと前からあったような、馴染みのあるような、そんな雰囲気だ。
(自分の家でもレコードとかCDをこんな風に飾りたい……)
「Heart ポッポ」という店名は由来は何なのだろうか。
マスターが手を止めるところを見計らいながら、話を聞いてみた。
マスターは、25年程前からお店を開いていたそう。
先程少し触れたが、7年前まではここではなく、津市の乙部でお店を開いていた。
乙部、といえば津観音の近くである。
津観音の近くには鳩がたくさんおり、そこで、その鳩から名前を借りて、
「ハトポッポ」だそうだ。
また、気持ちが盛り上がるという意味で、「ハートがポッポ」するという意も込められている。
常連のお客さんは親しみを込めて、「ポッポ」「ハトや」と呼んでいる。
お店にはレコードやCDのみならず、ギターも飾られていたりする。
最近殆ど触っていない自分のギターを思い出した。
そういえばお店の外にもライブの広告があった。
そのことを聞いてみると、手作りのチラシを貰えた。
お店では定期的にライブが開かれるとのことだ。
お店に来るお客さんも、音楽の話をする人も多いのだとか。
(マスターが演奏している写真を写真に撮らせてもらった。格好良い。)
そうこう話しているうちに、マスターの手料理が出来上がった。
話していて、マスターは何となく型にはまらないような性格の方だと思っていたが、
意外に家庭的な料理。
個人的に煮付けが、味が染み込んでいてとても美味しい。
ちなみに、以下がメニューである。
(「黒いカレー」もとても気になる……)
今日の「丁度ええかげんつまみ」が、この煮付け達だったらしい。
他に「キューピット」という、聞き慣れないものもあるが、
これはカルピスをコーラで割ったものだそう。
お店に入ったのは開店して間もない時間だったが、いつしか外は完全に暗くなっており、
お客さんが1人、また1人とやって来る。
どの方も1人でやって来るのだが、既に居るお客さんとは皆知り合いらしく、
声をかけたり、そのまま隣に座ったりする。
1人で来るけど、来たら誰か知ってる人が居る。
そして、慣れた様子でマスターに話しかけ、ドリンクと料理を注文する。
そんな場所があるって、何か大人っぽくて良いなぁと感じた。
「焼酎をロックで」
お客さんの1人がそう言って、さらに付け足した。
「いや、フォーク、ジャズで!」
すると、マスターもドリンクを作り、それを渡しながら、
「焼酎クラシックです」
……書き起こすとその場の面白さ、粋な感じが伝わらないのが非常に申し訳ない。
お客さんはマスターと楽しそうに話していて、時折マスターがギャグを放ったりする。
詳しく何を話しているのかまでは分からなかったが、双方とも、楽しそうだ。
マスターに色々と聞いた中で、ここは居酒屋なのか、ライブハウスなのか、と聞いてみると、
マスターは「喋り場」だと答えた。
全く予想しなかった回答だったが、腹に落ちた。
気付くと、マスターと数人のお客さんが一緒になって話をして笑っていた。
僕も1人でふらっと来てお酒と料理を楽しみながら、
そこでいつものように居合わせた知り合いと、マスターと、話に花を咲かせる。
いつにできるのか、どこになるのかは分からないが、
そんな場所を見つけたいなぁ、と思った。
~ Heart ポッポ ~
三重県津市東丸之内19-6
090-8470-2458
取材日:2018/07/14