三重大学の学生さんたちと、
津新町(三重県津市)を散策中、
ふと目に留まったたばこ屋の看板。
「喫茶 南米」
喫茶 南米て…
非常に気になる。
外から店内の様子を覗いてみたが、全く見えない。
振り返ると、
不安そうな表情の学生さん達。
好奇心をぐっと抑え、
通り過ぎることにした。
が、どうしても気になって、
I came back したよ、喫茶 南米。
なぜ南米なのか、聞かずには帰れない。
南米という名の喫茶
想像以上に店内は明るかった。
愛嬌もあった。
小さなテーブルが2つと
大きなテーブルが1つ。
大きなテーブルには、
大人のアイテムが積まれていた。
昭和39年にオープンしたこのお店。
南米という店名の由来を聞くと、
『特に意味はない』という、
1周まわって驚きの回答が返ってきた。
開店時に、
お客さん達から募集した案の中で、
一番コーヒーっぽい名前を選んだのだと言う。
Oh,ハッピーゴーラッキー。
南米はそっと見守る
昭和から平成に変わる頃、
この辺りには250軒ほどの喫茶店があったのだそう。
現在は、その1割程に激減。
『今の若い子は、喫茶店によう入らへんわ』とママさん。
昔は高校生のお客さんが多く、
友達で溜まったり、
アベックが待ち合せたり、
女の子同士で恋愛話に花を咲かせたり、
青春がこの南米に溢れていたという。
ママさん:『おちゃくい子だって可愛いもんだったわね』
出過ぎず、出なさ過ぎず、
学生たちの日常をそっと見守ってきた。
街の防犯にも、
積極的に取り組んでいる喫茶南米。
通りがかる人と、
たばこ販売用の窓越しに、
挨拶をかわすのも日常。
昭和の学生さん現る
ふと、小さなテーブルに座っていた、
お客さんに話しかけられた。
高校生時代にこの喫茶店によく通っていたという、
60代の女性だった。
ここに来るのは17年ぶりだそうで、
召し上がっていたのは、
変わらぬ味のサンドウィッチ。
当時、南米には主に、
近隣3つの高校の学生が出入りしていた。
他校の生徒と一緒になった時は、
どう接すればいいのか、何を話したらよいか、
ドキドキワクワクしたのだと、
懐かしみながら教えてくれた。
今や一巡してお洒落にみえる床も、
昭和を映し出すような照明も、
学生たちの青春を、
キラキラと照らしていたのだろう。
平成の学生さんに聞いてみた
喫茶南米を出て、
三重大学の学生さんたちに聞いてみた。
--レトロな喫茶店どうだった?
学生A:入るのに勇気がいるけど、心地良かったです。
学生B:ママやお客さんが話しかけてくれて嬉しかったです。
学生C:新しくてお洒落なカフェよりも得るものがあった気がします。
入店前の不安げな表情とは打って変わって、
皆、晴れ晴れ。
歴史ある店にはそれだけストーリーがある。
54年間、街を見守り続けている喫茶南米。
今日も通りにそっと佇む。
喫茶 南米
住所:三重県津市南丸之内11-15
電話:059-228-5522
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事