30年という時間。
大型ショッピングモールや大型のおもちゃ店ができたり、コンビニが暮らしになくてはならない存在になったり。
それこそインターネットで何でも買えてしまう時代。
SNSの普及。インスタントなコミュニケーション。
もちろん、そんなSNSの世界から脱却する勇気も、チカラも私にはないが、少し疲れたりもします。
そんな現代。
変わらない店がある。
三重県で一番最初にできた模型店
津市の岩田橋商店街にある、ユーキ模型。
私は小学生のときに、何度かお店には行ったことがあった。
その後どうなっているのだろう。
タイムカプセルを開けてみる。
そんな感覚で伺った。
店のお母さんと、何気ない会話をしていて驚いた。
なんでもユーキ模型は、三重県で最初にできた模型屋らしい。
店内にところ狭しと置いてある、プラモデルやラジコン飛行機などのパーツ。
お母さんが、懐かしいおもちゃを見せてくれた。
簡単に組めて、プロペラをぐるぐるして、ゴムのチカラで飛ぶやつ。
家の中で飛ばして、怒られるやつ。
ゴムなどの替えパーツも売っていて、少し感動。
飛行機のラジコンに魅せられた人生
お店にお伺いしたとき、店主(旦那さん)は不在だった。
と、お母さんが携帯の写真を見せてくれた。
え、なんでポケモンのイベント!?
このポケモンの飛行船の心臓部を設計したのが、店主らしい。
ユーキ模型の店主は、飛行機ラジコンなどの業界では有名な方。
店主のお父さんが、そもそも飛行機のラジコンの前身となるUコンが好きで、店主も幼稚園の頃からUコンを飛ばしていたという。
過去には、大手メーカーの農薬散布用ラジコンヘリの設計製作の依頼があり、出向もされていた。
航空力学は、ラジコンから学んだ。
そして今でも全国から依頼があり、日本中を飛び回っている。
変わらない価値。あなたの居場所。
お母さんが、路面にディスプレイしてあるジオラマを見ながら話してくれた。
このジオラマは、とある新聞記者(当時24〜25歳くらいの男性)が作った。
ユーキ模型は、ジオラマも扱うお店。
店主はジオラマに詳しいが、お母さんはあまり詳しくなかった。
店主が不在のある日、ジオラマについて、お店に問い合わせにきたお客さんがいた。
そこに偶然居合わせたのが、例の新聞記者。
お母さんの代わりに、対応してくれたのだという。
それをきっかけに仲が良くなり、新聞記者はプライベートで週に1〜2回ほどお店に通うようになった。
名古屋から赴任していた記者。
来店時の、お母さんとの何気ない会話。
その後、半分居候のような状態になって、このジオラマを作成した。
今は転勤になって、津にいない。
お店には、お客さんが作ってくれた作品が飾ってある。
お客さんが、わざわざ展示品を定期的に入れ替えに来てくれる。
「このお店は、お客さんに助けてもうてるんです」
と、お母さんはいう。
何十年と変わらない、お店とお客さんの関係。
このお店には、お客さんの “居場所” がある。
インスタントではない、変わって欲しくない繋がり方。
「ありがとう、また来ます」
そんな言葉が、自然と口に出た。
ユーキ模型
tel 059-225-5700
hp http://youkimokei.eek.jp
add 三重県津市丸之内1番14号
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事