魚のまち尾鷲。奇妙な世界へ。
打ち合わせにて訪れた
三重県南部にある尾鷲。
落ち着いて話せる場所として
地元の方に案内してもらったのは純喫茶「磯」
外観は、所謂、昭和レトロ。
看板は、漁業が盛んな町だけに魚。
入店1歩目で足が止まった。
ヤバイ。
ざわつく胸。
空気的には静かで落ち着いた純喫茶。
なのだけど…何かが確実に違う。
![](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2017/09/DSC_5-838x1024.jpg)
案内してくれた方は、
挙動不審になる私を横目に、
薄笑いを浮かべていた。
隣の席よりも気になるのは壁。
おずおずと席につく。
各テーブルは、
パーテーションで仕切られており、
隣の席は全く気にならない。
そんなことよりも気になるのは真横の壁面。
ゆっくりしたい気持ちはやまやまだけど、
壁面が気になる。
貝、魚、ルアー、釣竿等々、
海に関するもので装飾は施されている。
なんというか背筋がゾワッとする感じ。
でもよく見ると、
とても手が込んでいて、
作者の熱意が伝わってくる(気がする)
細やかに並べられた貝。
これ、素材を集めるところから大変だろうな。
奇妙な世界は発見の宝庫。
とりあえずアイスコーヒーを注文すると、
普通のアイスコーヒーが出てきた。
ホっ。
喉を潤わし、ふと顔をあげる。
っ!!
もう打ち合わせどころではない。
「え、あの魚て!!」
「みて、天井!!」
「やだ、気付かなかった!!」
「ちょ、あれ、なに?!」
新たな発見にテンションが上がる。
意外!!最高に美味しいエッグトースト。
朝7:00~11:00はモーニングタイム。
地元の方おススメのエッグトーストは、
いい意味で予想を裏切るビジュアル。
ハムエッグトーストも美味しそう。
手にした時の感触、厚み、重み、温度、匂い。
もう食べる前にわかる…これ絶対美味しいやつ!!
大口でかぶりつく。
バターが浸み込んだパンがサクッと音を立てる。
中はふわふわ。
卵の具合もちょどよい。
メンバーからは
「こんな美味しいエッグトースト初めて食べた」と最高の一言。
お店も店長さんも38歳。
現在、喫茶「磯」は、
店長さんお一人で営まれている。
お店自体は、
店長さんが生まれた年に、
お父様が作ったのだそう。
磯も店長も今年で38歳。
店内のオブジェは当時からあり、
全てお父様の手作り。
お父様が他界されてからはお母様が引継ぎ、
10年ほど前からは
息子である店長さんが継がれたとのこと。
——お一人で全てを担うの大変じゃないですか。
店長:それはもう大変です。母がやっていた頃は、お手伝いの方が2人いました。
——店内の装飾、すごいですね。
店長:父の手作りです。作るのとても大変だったと思います。
——店長さんの1番お気に入りはどれですか。
店長:うーん、これですかね。理由は特になく何となく好きです。
常連さんにお話を伺った。
朝10時を回ると、お客さんはひっきりなし。
各々お決まりの席があるようだ。
常連さんにお話を伺った。
——いつから磯に通われているのですか?
「この店ができた当初から来てるわ」
——というと、38年前ですかね。
「そうか、そんなに経つのね。学生の頃もよく来たの」
——長年通う”磯”の魅力はなんですか?
「なんだろねぇ。とにかく落ち着くのよ」
——壁面・・・気になりませんか??
「え、あ―これ?そういえばあるわねぇ。あはは(笑)」
―—(えっ、この壁面、そんな程度??)
「そういえば、この前友達を連れてきたら驚いてた気がするわ」
―—もう皆さんにとって、この壁面は日常なのですね。
「そういうことかしらねぇ。この貝って、当時からずれたの見たことないよ、すごいわよね。普通落ちたりするじゃない?」
”いつもの時間”を過ごせる純喫茶。
入店から約1時間。
奇妙と思っていた空間に
すっかり落ち着きを感じてきた。
もはや初めに感じたあの「ゾッ」が懐かしい。
ゆっくり新聞でも読みたい気分だ。
懐の深さを感じるこの空気感は、
店と常連客双方によって作り出されているのだろう。
地元で愛される純喫茶。
何年も変わらない「いつもの時間」が過ごせる場所。
これだからDEEPスポットは面白い。
純喫茶 磯
住所:三重県尾鷲市野地町12-5
電話:0597-22-0638
![福田ミキ](https://otonamie.jp/wp-content/uploads/2015/10/0c6abe6ba47f91287c049ca7f0a65986_2-150x150.jpg)
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事