新幹線や電車の高架下。 そびえ立つビル郡が見える。 時代に置き去りにされてしまったかのような、昭和の長屋。 しかし、しっかりと暮らしの匂いがする。
名古屋にきた。 三重県桑名市出身の若者が、名古屋、大阪、などの都市部に残る、このような古い家屋を仲間とリノベーションをして、シェアハウスとして様々な住人を受け入れている。
住人の中には、ギターを中心に木工を扱うクリエーター、アメリカからきた人もいる。
たけちゃん。 そう桑名の人に言われて親しまれている、水谷岳史さん。 庭師であり、シェアハウスの発起人の一人であり、もうすぐ古民家を改装して飲食店も始める予定だ。
シェアハウスの運営のやり方が興味深い。 都市部で暮らすにはどうしても高額な家賃が必要。 でも、名古屋駅からほど近いこのシェアハウスは格安だ。
しかも、住人の食いっぱぐれがないように米やうどんなど生きていく上で最低限必要な食材は、運営側が供給するというユニークな仕組み。
クリエーターの駆け出しである若いシェアハウスの住人などが、コンビニなどの食事に頼りっきりにならないように、ちゃんとした食事を食べて欲しいとの想いから飲食店を開業するらしい。
取材させていただいたとき、もうすぐシェアハウスに住み始める新たなクリエーターのために、シェアハウスのすぐ近くにアトリエを建設中だった。
ここのシェアハウスでもうひとつ印象的だったのが、個室がほぼないこと。所謂、生活様式も昭和だ。昭和の家族みたい。 なんだか、とても気になっていろいろと考えていた。 モノを消費するために、時間を浪費し続けた時代。 そして、そんな時代に少し疲れてしまった現代。 楽しいと思える暮らし。 そんな暮らしを真ん中に考えた時間の使い方。 そうすれば、仕事の仕方も変わってくる気がした。
ユーチューバーになるとスマホで動画編集に夢中だったマイケルさん。 なんとなくやってきて、楽しむことに前向きでシェアハウスに暮らしはじめた住人たち。
そんな住人たちが暮らすシェアハウスのすぐそばを、通勤列車が通り過ぎていく。
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事