オトナには、特別な時間が必要だ。
上質な空間、最高の料理。
できるだけじっくりと目で味わい、ゆっくりと舌で堪能する。
名古屋の歓楽街、錦。
店へ向かう。
待ち合わせの時間は午後8時。路上では、早くも酔っ払っている大学生達が大声で笑っている。
今日は金曜日。街に繰り出す人々の足取りも軽い。
今宵は極上の肉を堪能する。
とある女性と。
【 指を染める addictive 】
和食、イタリアン、フレンチ・・・。
よくジャンルで食を語る者がいるが、私は少し違和感を感じる。
食べ物は生き物で、人間も生き物だ。
ジャンル分けされたカテゴリーで食すのではなく、人間という生き物として単純に美味しい食を愉しみたい。
まずは生で。
生きている海老を、手でつかんだ感覚を思い出していた。
反ったり丸まったり、全身をうねらせ、生を表現する。
「おいしい。」
白ワインを少し口にして、ママは小さな声で言った。
錦でクラブを経営する人気ママだ。
身がふっくらと、そして照り具合が食欲をそそる。
閉じ込めた甘みとコクを逃がさずに、旨みを舌の上で堪能する。
「私、やっぱり煮付けはキンメが好き!」
好みの味を口にして、ママに笑顔が出てきた。
ピンと張っていた二人を繋ぐ糸が少しだけ緩み、アルコールも手伝ってか、いまここで同じ空気を吸っているのだと、急に意識をした。
【 触覚 sence 】
「そういえばこの前、潮干狩りに行ってね、貝つかまえたよ。」
顔立ちの整った年上のママ。凜とした雰囲気だが、口を開くと茶目っ気があり、つい多くを話してしまいそうになる。
三重県の桑名でとれた沖しじみ。木曽三川の栄養を含んだ漁場を持つ桑名は、ハマグリが有名だ。ハマグリの影的存在だった沖しじみ。
「最近まで、地元の漁師さんが食べていて、あまり一般に流通していなかったんですよ。」と、三重県出身である、寿司・和食の料理長が教えてくれた。
話は変わるが、貝は不思議な生き物だと思う。
堅い殻を覆い、身は外の世界に出ることがない。しかし、艶のある柔らかな弾力の身は、熱で旨みをコントロールされながら調理され、最高の味に仕上がる。
写真の牡蠣は、三重県答志島桃取産のブランド牡蠣「桃こまち」だ。答志島は鳥羽にある離島で、木曽三川と宮川が森の栄養をもたらす、三重県屈指の漁場だ。桃こまちはそのような漁場で育った影響か、熱を加えても身が縮みにくいらしい。
【 温 warm 】
「シャリは人肌。」
むかし、老舗の寿司職人に聞いた言葉を思い出した。
しかし日本人は、なんとも情緒ある言葉をつくり出す。
人肌・・・。
適度な温度を持ったシャリが、寿司ネタである身の脂を程よく口で溶かし、旨みが口の中でじわっと広がる。
脂といえば、この店のルーツである国産黒毛和牛のホルモン(詳しくはこちら)。
口で溶ける驚くほどサラっとした脂と、パリっとした焼き目、そして口のなかに残る上品な食感のホルモン。
さすがこの店のルーツというだけあり、相当なホルモンへのこだわりを感じる。
串刺しのとろけるホルモン。
上手に熱を伝えてやると、やわらかくて、あたたかい。
そう、最高な状態を堪能できる悦び。
【 歓楽極まりて哀情多し so authentic 】
いよいよ今日の目的であった、極上のフィレ肉を堪能するためにワインを赤へ。
最高級松阪牛フィレ肉。
その美しく焼き上がった身に、とろみのある大蒜を大胆に擦り込み、ナイフを入れる。
至福のひととき。
オトナの愉しみ。
上品で柔らかく、そして繊細。
私ごときが味わってはいけないのではないか、と思えてくる。
まさに、歓楽極まりて哀情多し。
オトナには、特別な時間が必要だ。
Model:クラブ綺ら(kira) ゆきママ
Photo:井村義次
2017年2月7日(火)OPEN
桒名 本家はり本
松阪牛をはじめ国産黒毛和牛のみ使い、また北から南まで豊富な漁場である三重の海産物や野菜を、寿司・和食とイタリアンの三重出身の料理人が腕を振るいます。
食材だけでなく、三重の地酒やはり本発祥の地である桑名の文化も紹介しています。
住所:愛知県名古屋市中区錦三丁目18-21
(東京第一ホテル錦2F)
電話:052-253-6039
時間: PM5:00〜
定休:日曜・祭日
現在、ホールスタッフを募集しております。
ご応募・お問合せはお電話にてご連絡下さい(担当:泉)
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事