46年間、
地元で愛され続けた喫茶サフランが
10月末に・・・閉店する。
私がサフランを知ったのは2年前。
とある場所で定期的に行われていた、
街活性について話す会での
「桑名に増やしたい暮らしの動詞は?」
というブレスト。
私自身、移住当初、最も困ったのが
街に馴染みたくとも
とっかかりがなかったこと。
なので、
とりあえずあそこに行ってみれば??
という場所がほしかった。
話し相手がいたり、
情報がもらえたり、
必要な人と取り次いでくれたり、
ふらり立ち寄れたり。
ただ”場”があるだけではきっとダメで、
重要なのは、
珈琲をブレンドするように
人をブレンドするマイスター的存在。
そんな話の中で、
「あれ?いるじゃん」
と教えてもらったのが、
喫茶サフランだった。
皆の憩いの場であり、
ホッとする居場所。
シャイなママさんはフレームアウト。
ママさんに店名の由来を聞いてみた。
そもそも喫茶店を始めたのは成り行き
初めはママさんお一人でスタートしたそう。
開店前、
ママさんが勉強に行ったのが
津の大門にある喫茶店。
その店のご主人が大工だった為、
サフランの施工と名付けもしてくれたのこと。
ママ:「店名には、多分色々意味はあるんやろけどわからんわ」
その後、
徐々に忙しくなり
老舗料亭で修行中だったマスターを呼び、
夫婦でサフランを営むことになったそう。
平均年齢は、65~75歳。
だからか
お客さん同士とても仲良し。
季節の植物と、
常連さんの作品やチラシが並ぶ
マスターが各活動の主旨を理解して
沢山の方へ広げて下さるので、
情報が集まってくる。
サフランは古さと新しさを併せ持っているのだ。
大テーブルゾーンは
今は改築され、
娘さんのネイルサロンスペースとなっている。
頼めばオールシーズン対応してくれるのだけど、
夏になるとママさんが、
「暑いからこっちの方が良いでしょ~」
と”焼かないやつ”が推しになるので、
なんとなく夏メニュー。
私:「マスターこのラジオ、レトロでいいねぇ」
マスター:「何や知らんけど誰かが持ってきたやつやで」
この店にはそんなもので溢れている。
マスター曰く、
「ここは自由やから」とのこと。
その通りで、
サフランにいると、
色んなことが始まる。
ご近所さんが
いきなり綿菓子を作り出したり、
気配なく
足下にいるものだから
初めて来る人はめちゃ驚く。
あ、そうそう。
表には大きな水槽があるので、
夏はやたら蚊が多い。
でも誰も気にしない。
旬のものもよく頂いた。
地元愛が強く、
アイディアマンのマスターは、
地域課題にも積極的に取り組んでおり、
サフラン発信で
立ち上がったイベントや仕事、文化は沢山。
とにかく温かく、
人と人を繋げるのがとても上手な
マスターとママさん。
お二人のお人柄あってこそのサフラン。
昔は朝7時から、
夜22時まで営業しており、
休みは月2日のみだったそう。
3人の娘さんを
産み、育てながら営業されていたママさん。
ランチは何年前からかやめている。
常連さんには、
某ホテルの料理長や、
某洋菓子店のパティシエ等、
いつも話題が豊か。
開店当初から通っている
常連さんに聞いてみた。
サフラン無くなって哀しくないですか??
常連A:「哀しいというか困るよ」
常連B:「これからどこにたむろすりゃええのか」
私:「サフラン難民が沢山出ますね・・・」
常連A:「そうや。わしらには死活問題や」
常連C:「かなわんわぁ・・・」
今後たむろする場所を作るべく、
最近、自宅の裏庭に
小屋を作ったという常連さんもいた。
常連:「床はないけどなー」
えっ・・どういう状態・・??
そんな話をしていたら、
隣のテーブルの常連さんも加わってくる。
これもいつもの風景。
常連だろうが
知らない人同士だろうが、
大抵話題はテーブルを越える。
マスターの同級生や、
開店当初、
学生だったお客さんもいる。
私:「サフランは学生の入りやすい店でした?」
常連D:「全然。なんや暗かったわ」
私:「それがなぜ46年来の常連さんに??」
常連D:「ママとマスターの人柄やね。温かかった」
当時のお客さんは、
左官屋や大工、鋳物屋等
職人さんが多かったそう。
女性の常連さんにも聞いてみた。
サフラン無くなったら困りますよね??
常連E:「困るわー。本当どないしよう・・」
私:「写真撮らせてもらってもいいですか?」
常連E:「あかん、私、病気やで、写したらいかんて。」
他にも女性の常連さん数名には
「あかん、私、病気やで」
という言葉で断られた。
常連の皆さんが
共通して仰っていたのが、
「サフランのおかげで友達の輪が広がった」
ということ。
サフランという空間は、
皆がファミリーになれる場だったと思う。
サフランの閉店まで・・・あと1ヶ月。
でもここで紡がれた絆は、これからもずっと続く。
サフラン
住所:三重県桑名市相川町44
電話:0594-21-0989
時間:火~土7:00~17:00/日7:00~10:30
定休:月曜日
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事