46年間、
地元で愛され続けた喫茶サフランが
10月末に・・・閉店する。
私がサフランを知ったのは2年前。
とある場所で定期的に行われていた、
街活性について話す会での
「桑名に増やしたい暮らしの動詞は?」
というブレスト。
私自身、移住当初、最も困ったのが
街に馴染みたくとも
とっかかりがなかったこと。
なので、
とりあえずあそこに行ってみれば??
という場所がほしかった。
話し相手がいたり、
情報がもらえたり、
必要な人と取り次いでくれたり、
ふらり立ち寄れたり。
ただ”場”があるだけではきっとダメで、
重要なのは、
珈琲をブレンドするように
人をブレンドするマイスター的存在。
そんな話の中で、
「あれ?いるじゃん」
と教えてもらったのが、
喫茶サフランだった。
![dsc_0656](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0656.jpg)
皆の憩いの場であり、
ホッとする居場所。
![”おはようございます”が言えるって幸せ](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0687.jpg)
シャイなママさんはフレームアウト。
ママさんに店名の由来を聞いてみた。
そもそも喫茶店を始めたのは成り行き
初めはママさんお一人でスタートしたそう。
開店前、
ママさんが勉強に行ったのが
津の大門にある喫茶店。
その店のご主人が大工だった為、
サフランの施工と名付けもしてくれたのこと。
ママ:「店名には、多分色々意味はあるんやろけどわからんわ」
![当時は現店舗の隣に店があった。移転前の土地。その頃、店先には川が流れていたらしい](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0734.jpg)
その後、
徐々に忙しくなり
老舗料亭で修行中だったマスターを呼び、
夫婦でサフランを営むことになったそう。
平均年齢は、65~75歳。
だからか
お客さん同士とても仲良し。
季節の植物と、
常連さんの作品やチラシが並ぶ
![もちろんOTONAMIEも](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0673.jpg)
マスターが各活動の主旨を理解して
沢山の方へ広げて下さるので、
情報が集まってくる。
サフランは古さと新しさを併せ持っているのだ。
大テーブルゾーンは
今は改築され、
娘さんのネイルサロンスペースとなっている。
![大きな水槽が置かれていた](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_0391.jpg)
頼めばオールシーズン対応してくれるのだけど、
夏になるとママさんが、
「暑いからこっちの方が良いでしょ~」
と”焼かないやつ”が推しになるので、
なんとなく夏メニュー。
私:「マスターこのラジオ、レトロでいいねぇ」
マスター:「何や知らんけど誰かが持ってきたやつやで」
この店にはそんなもので溢れている。
マスター曰く、
「ここは自由やから」とのこと。
その通りで、
サフランにいると、
色んなことが始まる。
ご近所さんが
いきなり綿菓子を作り出したり、
![夏祭りの試作だったらしい。砂糖は向いの和菓子屋さんからのお裾分け](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_8854.jpg)
気配なく
足下にいるものだから
初めて来る人はめちゃ驚く。
あ、そうそう。
表には大きな水槽があるので、
夏はやたら蚊が多い。
でも誰も気にしない。
旬のものもよく頂いた。
![「わかめいるかー?」と言っているマスター。予想外の大きさ。](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_3216.jpg)
地元愛が強く、
アイディアマンのマスターは、
地域課題にも積極的に取り組んでおり、
サフラン発信で
立ち上がったイベントや仕事、文化は沢山。
とにかく温かく、
人と人を繋げるのがとても上手な
マスターとママさん。
お二人のお人柄あってこそのサフラン。
昔は朝7時から、
夜22時まで営業しており、
休みは月2日のみだったそう。
3人の娘さんを
産み、育てながら営業されていたママさん。
ランチは何年前からかやめている。
![COFFEEの右側が消えているのはそういうこと](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0082.jpg)
常連さんには、
某ホテルの料理長や、
某洋菓子店のパティシエ等、
いつも話題が豊か。
開店当初から通っている
常連さんに聞いてみた。
サフラン無くなって哀しくないですか??
常連A:「哀しいというか困るよ」
常連B:「これからどこにたむろすりゃええのか」
私:「サフラン難民が沢山出ますね・・・」
常連A:「そうや。わしらには死活問題や」
常連C:「かなわんわぁ・・・」
今後たむろする場所を作るべく、
最近、自宅の裏庭に
小屋を作ったという常連さんもいた。
常連:「床はないけどなー」
えっ・・どういう状態・・??
![レモンがちゃんとレモン](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0695.jpg)
そんな話をしていたら、
隣のテーブルの常連さんも加わってくる。
これもいつもの風景。
常連だろうが
知らない人同士だろうが、
大抵話題はテーブルを越える。
![今日はもう2回目の来店という方も。まだ朝10時半なのに・・・](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0063.jpg)
マスターの同級生や、
開店当初、
学生だったお客さんもいる。
![私が関東出身と言うと、「”でもさー”という土地やろ」と言われたのがツボだった](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/DSC_0059.jpg)
私:「サフランは学生の入りやすい店でした?」
常連D:「全然。なんや暗かったわ」
私:「それがなぜ46年来の常連さんに??」
常連D:「ママとマスターの人柄やね。温かかった」
当時のお客さんは、
左官屋や大工、鋳物屋等
職人さんが多かったそう。
女性の常連さんにも聞いてみた。
サフラン無くなったら困りますよね??
常連E:「困るわー。本当どないしよう・・」
私:「写真撮らせてもらってもいいですか?」
常連E:「あかん、私、病気やで、写したらいかんて。」
他にも女性の常連さん数名には
「あかん、私、病気やで」
という言葉で断られた。
常連の皆さんが
共通して仰っていたのが、
「サフランのおかげで友達の輪が広がった」
ということ。
![愛だろ、愛](http://otonamie.jp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_0394.jpg)
サフランという空間は、
皆がファミリーになれる場だったと思う。
サフランの閉店まで・・・あと1ヶ月。
でもここで紡がれた絆は、これからもずっと続く。
サフラン
住所:三重県桑名市相川町44
電話:0594-21-0989
時間:火~土7:00~17:00/日7:00~10:30
定休:月曜日
![福田ミキ](https://otonamie.jp/wp-content/uploads/2015/10/0c6abe6ba47f91287c049ca7f0a65986_2-150x150.jpg)
福田ミキ。OTONAMIEアドバイザー/みえDXアドバイザーズ。東京都出身桑名市在住。仕事は社会との関係性づくりを大切にしたPR(パブリックリレーションズ)。
2014年に元夫の都合で東京から三重に移住。涙したのも束の間、新境地に疼く好奇心。外から来たからこそ感じるその土地の魅力にはまる。
都内の企業のPR業務を請け負いながら、地域こそPRの重要性を感じてローカル特化PRへとシフト。多種多様なプロジェクトを加速させている。
組織にPR視点を増やすローカルPRカレッジや、仕事好きが集まる場「ニカイ」も展開中。
桑名で部室ニカイという拠点も運営している。この記者が登場する記事