(注意:今回の記事は個人的な嗜好が強く、
一部マニアックな表記がある事を予めご了承ください。てへ。)
…2023年6月9日。その店は、僕の日常に突然姿を現しました。
かつて僕がオトナミエに初めて記事を寄稿したガラパコス焼き鳥でお馴染み、鳥長さんの2件隣。つまるところ、僕の家から歩いて3分程の超至近距離に、6月9日、ロックの日。中古のギター屋さんがオープンしました。姉さん、事件です。僕一人っ子だけど。とりあえず僕にとっては非常に大事件です。
ご存知(?)僕はogurockとして、大阪から地元伊勢へと戻ってきた後に仲間と一緒にアコギ片手に日本全国で音楽を奏でながら、かれこれ10年が経とうとしている身ですが、根っからのバンドっ子として生きてきたのでエレキギターやエレキベースなどの楽器は大好きです。もしかしたら芸人ではなく、楽器を作る人になりたかったのかもしれないと思う程に、竿物楽器(ギターやベース)に対する好奇心は、それなりに深い自覚があります。
そんな僕の家から徒歩すぐの距離に、普通なら都会の楽器屋さんに行かなければ見れない、触らない様な竿が沢山陳列されている壁が窓越しに見えているとなると、いてもたってもいられません。なぜいきなりこんな場所に?誰が一体何のため?もしかして僕へのご褒美なの?もしかして…僕が全部もらってもいいの?
6月9日、昼12時過ぎ頃、「すみません。あの…ここは一体なんですか?」と、完全な興味と童心をもってして、ドアをくぐりながら口走った僕がいました。思えば…確かに、何か開店準備をしているなという気配はあったんです。犬の散歩で前を通る度に、何やら改装じみたことをしている…パン屋さんかな?お惣菜屋さんかな?なんて話を隣を歩く嫁としてしていたものの、まさか楽器屋さんがオープンするとは青天の霹靂もとい宮後の霹靂。
そんなあまりにもフラっと入店しすぎた僕を迎えてくれたこの楽器屋さん”B13Guitars(ビーサーティーンギターズ)、少し長めのお名前です。店長の河瀬さん、実はこのお店のすぐそばにある石材屋の息子さんでした。
そんなご実家からほど近い距離に軒を構えるというのは何ともエモいです。高校卒業後、岡山の理系大学を経て楽器に関わる仕事に就きたいと、愛知県の某大手ギターショップに就職後、愛知県内、そして静岡県内の系列店舗を渡り歩き、15年が経った去年、先輩や仲間たちの大きな協力もあり、満を持して独立。地元伊勢に店を持ったのが、たまたま小黒家のすぐ傍だったというのが運の尽きだったってワケ♡(‘ω’)
ガラスの向こうで作業をされている様子を見ると、一見強面な感も否めないですが、長年楽器に携わってこられただけの知識量と、ギターに対する知識や愛を丁寧な言葉で紡いでくれる様子は、あのハードな業界に身を置いていたからだろう経験と人間味の両方が垣間見えます。店に突入したあの日以来、用事があって一旦B13のドアを潜ると、ついつい話が盛り上がってしまい、河瀬さんの業務妨害ともとれる程、ついつい楽しく喋り倒してしまうので、ついつい病が過ぎて煙たがられないよう、なるべく行かないようにしてます(笑)
かつてはお互い、都市部で音楽やバンド、楽器。そして、それらをとりまくエンタメ環境を垣間見る仕事の一端に従事していたからこそ、共通の話題であったり、地方における音楽の存在意義みたいな事を語り始めると、ついつい病が発症しちゃいます。
伊勢という町はご存じの通り、伊勢神宮を取りまく地方の小さな町ですが、今日の時点で楽器屋さん、レンタルスタジオ、ライブハウスなどは各数件ずつあり、僕が全国行脚の旅をしている中で回ってきた、伊勢と同じ程の規模感を形成する町の中では少しだけ贅沢な環境にあるかな?といった印象です。首都圏や政令指定都市クラスになると楽器にとどまらず、人口に比例して芸術にちなんだ店や仕事はそれなりに存在するのですが、伊勢ほどの規模となると、そうも言えなくなるのが実情だったりします。現場で突然の機材トラブルなどに見舞われた時に頼りの綱となるのが、いわゆる地方の楽器屋さんであり、僕たちドサ回りをしているミュージシャンからすると非常に大切な存在です。個人的に、地方の町を訪れた際は公私ともなるべく時間を作り楽器屋さんを回って各町の音楽事情を収集したりしています。
僕も河瀬さんも、大きく括ればUターン組というカテゴリーに属します。都市部から地元に戻ってきた身として共通の話題になったのが、地方に生まれて地方に生きているから、田舎で音楽はあまりできないよねとか、地方に住んでいて芸能事務所に所属できないから、音楽は趣味の範疇で留めておかないとねという概念は、実際、都市部と比べて人口や文化レベルという点でのハンデはあるものの、田舎で暮らしているが故に諦め、夢の着地点を必要以上に留めるべきではないという事。
地方から出港していくパフォーマーも今は珍しい話ではないし、少なからず僕も事務所に所属せず、どこまで自分の名前が泳いでいくのだろうかと我が身、我が人生を実験台にしている一人です。
実際、ゆっくりではあるけど結果もついてきた事なので、非常に小さい声ではあるけど、そんなメッセージをこの記事に込めたい思いは強いです。尤も、元来芸術というものは商用であろうが趣味であろうが、個人や団体が自由の元に創造する表現物だと認識しているので、この町にどんなレベルの芸術が存在していても全く問題ないとも考えています。だからこそ、老若男女アマプロ問わず楽器や音楽を堪能できる環境もあってほしいと考えてもいます。少なくともそのダイナミクスに応えられるだけの環境が、B13にはあるなと感じています。
近年、僕と同い年の仲間が市内にライブハウスをオープンさせたり、都市部の風を纏った飲食店な商業スタイルをこの伊勢でも展開する同世代、年下の子たちが出てきたりと、20年前、面白くないとて僕がこの町を飛び出した頃に失っていた勢いが、現代を生きる若者の手と感性で、再びゆっくりと蘇ってきた空気を肌に感じて生きています。方程式の様に決まった正解はなく、個人各々が考えて導き出したそれぞれの正解を武器に、今後、伊勢の地にどんな風を吹かせてくれるのか(僕も吹かせられるものだろうか)毎度のごとく、僕の感情をぶつける様な記事になってしまいましたが、そのプレイヤーの中に、ここB13Guitarsも入っていると切に信じて今後に期待したいですね。
そんな開店して1年半が経とうとしているB13Guitarsさんから、ワークショップ開催のお知らせです。
11/9(土),10(日)に「大賀 好修」さんをお招きしてギターレッスン&ワークショップを行わさせて頂きます。 詳細のお問い合わせ、また、ご参加希望のは、■Mail : info@b13guitars.com ■Tel : 0596-65-6069までお願い致します。
【大賀好修 プロフィール】ギタリスト、アレンジャー、作曲家 B’z、Tak Matsumoto、稲葉浩志、ZARD、倉木麻衣、ほか数々のライブにギタリストとして参加しており、 ZARDでは1999年の”船上ライブ”でZARDのライブ初参加以降、全てのライブに参加し続け、バンドマスターも努めている。 2016年にはd-project with ZARDに参加し、ZARDの楽曲のリアレンジを手がけた。 また、アレンジャーとしても数多くの作品を手がけており、B’zのアルバム「EPIC DAY」に参加している。 稲葉浩志ソロ作品のレコーディングほか、幅広くさまざまなアーティストの作品に参加し、多彩なギタープレイを残している。 2005年B’z・松本孝弘のレーベル“House Of Strings”の第2弾アルバム『Theatre Of Strings』に参加。 2009年に自身のバンド[OOM(ウーム)]として、フルアルバム「OOM」をリリース。 2012年、インストロックバンド[Sensation]を結成しこれまでに3枚のアルバムをリリースしている。 2016年11月16日に4枚目のAL.「Sensation Ⅳ」をリリース。
【B13Gutars】
〒516-0072 三重県伊勢市宮後3丁目1−20
☎0596-65-6069
【HP】https://www.b13guitars.com/
営業時間:11:00~19:00(木曜定休)
【X】https://x.com/B13Guitars
【Instagram】https://www.instagram.com/b13guitars/
ogurock(おぐろっく)OTONAMIE公式記者。
伊勢市河崎在住のしがない路上アーティスト。普段はごく普通のサラリーマンだって言ってるのに誰も信じてくれないんです。
日中は伊勢の河崎にあるお塩屋さんの下っぱしてて、同じく実家の鰹節屋、小久保商店も切盛りしてます(鰹節は削れません)
ギターはちょっとだけ弾けます。趣味はリサイクルショップ巡りと一人旅。2018年からツアーミュージシャンしてます。
みなさま何卒。なかよくしてね。
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