ホーム 01【食べに行く】 紆余曲折の脱サラ起業、あるたいやき屋さんのお話@松阪市

紆余曲折の脱サラ起業、あるたいやき屋さんのお話@松阪市

夏休みに友達家族と、最寄りの「わらしべ」でたいやきを買って「たいやきデコレーション選手権」を開催した。あまりにも楽しかったので、その時の写真をオーナーの岡田さんに見てもらいたくなった。

ーこの間、たいやきをデコレーションしてみたんです。背開きにしてホイップやフルーツを入れてみたら、スイーツ感が爆上がりでした!…きれいにあんこが閉じてあるのに、なんかすみません…

岡田さん:ええやん、おもろいおもろい!(笑)(たいやきを背開きにされても、怒らない岡田さん。)

「たいやきわらしべ飯高駅前店」オーナーの岡田光弘さん

そんな話ができるほど、フレンドリーな「たいやきわらしべ飯高駅前店」のオーナー、岡田光弘さんは、7年前に京都から松阪市飯高町へ移住。なぜ、たいやき屋さんになろうと思ったのだろう。教えて、岡田さん!

 

一人になった男は燃える。岡田さんの脱サラ起業!

岡田さん:京都で医薬品関係のサラリーマンをしてたんやけど、昔から飲食店に興味があって。レポーターがご当地グルメを食べたりする旅番組が好きやってなあ。嫁に脱サラして飲食店やりたいってゆうたら猛反対されて、それから夫婦仲がおかしくなって…当時は内緒で起業塾に通ってたな。正式に離婚が決まってからは、「やるしかない!元嫁を見返したい!」そんな気持ちもあったね。数年後、店の紹介で旅番組に出演した時、元嫁がそれを見て「見直した」ってゆうLINEをくれてな。見返したい気持ちが感謝に変わった。今はもう感謝しかないよ。

香肌のめぐみ、伊勢茶あんたいやき。

 

開業のきっかけは、たまたま見かけた貸店舗の貼り紙

岡田さん:最初は北陸で店舗を探してたんやけど、両親の出身が飯高町やってね。両親は京都に出てきてたから、住んだことは無かったんや。でも祖父母の家は飯高に残ってたんで、夏休みはひと月ぐらい滞在して、カブトムシをとったり、川で魚をとったりして、楽しかった思い出はあったね。

岡田さん:祖父母の墓参りに来た時に、飯高駅へ「よもぎのだら焼き」を買いに寄ったんよ。その時たまたま、シャッターに貼ってあった貸店舗の貼り紙が目に入ってね。それがやけに気になって、連絡先をひかえて帰ったんさ。どうせ店を出すなら、ゆかりのある地でやるのがいいかなと思えてきて。

 

店舗は押さえた、何をやるかは未定

岡田さん:飯高駅の空き店舗はおさえても、何をやるかは決まってなかったわけ。(笑)やるなら何しよ?家でホットケーキのもとを買ってきて色々試作してたん。「飯高茶粉ボール」(いいたかちゃこぼーる)ってゆうの作って、商標登録までしたんよ。ソースの代わりにチョコ、青のりの代わりに茶の粉やで、面白いやろ?(笑)

「飯高茶粉ボール」の試作品(写真は岡田さん提供)

ー甘いたこ焼き…みたいな感覚ですか?「チョコボール」にもかけてあるんですね。

岡田さん:そうそう。いきなりこれを引っ提げて松阪商工会議所へ、アポなしで突撃して。(笑)

ー行動力がハンパない!(笑)

岡田さん:「いきなり茶粉ボールで食べていくのは難しいのでは?三重県にはわらしべというチェーン店がありますよ」って会議所の方から助言をもらって、帰りに新町のわらしべさんに寄って食べてみたら…それがものすごくおいしかったんさ!会議所の方から、今度は店舗のある飯高町管内の商工会を紹介されて、そこからコンサルタントを派遣してもらったんやけど。何の示し合わせもないのに、コンサルタントの方も「わらしべさんはどう?」って言うわけ。これはなんか縁があるなと思ってな。

そこからはとんとん拍子で話が進み、2017年2月にわらしべ飯高駅前店をオープン。店は軌道に乗り始めるのだが…

たいやきわらしべ飯高駅前店HPより

岡田さん、胃に穴があく

開業から半年程たった夏の暑い頃、岡田さんは救急車で運ばれたのだという。

岡田さん:病院に着いて、次から次へと救急外来入ってくるやん?胃けいれんぐらいやと思ってたから、僕は最後でいいですって言うてたん。CT撮ってみたら「岡田さんが一番重症ですよ、よく我慢しましたね」って言われて。急性腹膜炎やったかな。

「わらしべ愛」を感じる、スタッフさんの手作りボード。

環境の変化によるストレスもあったのかも知れない。「そやけど毎日楽しいよ!」と岡田さんは話を続ける。

岡田さん:サラリーマンの時は楽しいことなんて、この先ないと思ってたからな。一生懸命になれるのって楽しい!スタッフさんとメニュー考えたりね。もっとわらしべを知ってもらって、もう一花咲かせたいね。

岡田さんは、2021年4月、多気町にある日本最大級の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」にも「たいやきわらしべVISON店」をオープンさせている。

VISONのHPより

サイクリング大会の委員長もやったで、ママチャリも乗らんのに

わらしべを通して、地域の良さを知って欲しいという岡田さん。香肌写真部を立ち上げ、写真展で香肌峡の魅力を発信したこともあった。現在は、いいたか山里協同組合(飯高駅敷地内)の組合長、松阪市主体の飯高駅活性化委員なのだという。

岡田さん:移住して7年目やけど、前より観光客は増えたと思う。サイクリングや山登りでアウトドアを楽しむ人も増えたしな。俺、第1回サイクリング大会の委員長もやったで、ママチャリも乗らんのに。(笑)当時は20人ですら集まらへんだのに、今や200人以上参加するイベントになったでな。

松阪市観光協会HPより

岡田さん:逆に、地域の住民が激減してるのもわかる。今まで買いに来てくれてた人が高齢者施設に入ったとか、過疎化や高齢化が進んでるのを肌で感じてるよ。

飲食店を営んでいるからこそ見えてくる、松阪市中山間地域の現状。それでも、京都の観光地で暮らしていた岡田さんから見たこの地域には、日本の故郷を感じる独特の良さがあるという。

岡田さん:チャリで嵐山や渡月橋へ散歩に行けるくらいの観光地に住んでたけど、ここは山が近くて星空も綺麗で、住む環境としてはほんと最高やね!

紆余曲折、今が幸せ。そんな岡田さんとお話ししながら「外はパリッ、中はモチッ」な、わらしべのたいやきをほおばりませんか。

暑い日は、ゆずフローズンと一緒にさっぱりと。

たいやきわらしべ飯高駅前店
三重県松阪市飯高町宮前257-1
ホームページはこちら

 

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