三重県民手帳をご存知でしょうか?
通常のカレンダーや手帳機能に加え、公共機関など暮らしに役立つ情報や、人口推移や各種統計データなども掲載されていて、三重県について記事を書いたり、企画書を書くことが多い私は重宝しています。
2015年から県内の書店やネット(BASE)などで販売され、累計約8万部を超えています。制作・出版元は三重県印刷工業組合で三重県庁からの業務委託として運営しています。そして驚くことに、業務委託料金はゼロ円。つまり手帳を制作、販売して売上を上げなければ利益どころか赤字になってしまうのです。
私も所属している三重県印刷工業組合や組合の青年部では、自分たちの会社の業務に加え、皆さん必死になって手帳の制作や販売をしています。いち印刷人として、中途半端なものは作れない、地元三重県人として誇れる県民手帳を作りたい。印刷業界で働く仲間を見ていると、そんな気持ちが伝わってきます。
表紙にも毎年こだわり、2023年版はカモシカなど三重の森をモチーフに、三重県出身のイラストレーター、つぼいたけしさんが担当。しおりには伊勢神宮宮域林で育つ神宮スギを使用しています。
過去の手帳の表紙には、伊勢形紙、伊賀組紐、松阪木綿など三重県の伝統工芸とコラボしています。そして2024年度版は地元三重県立飯野高校・応用デザイン科の2年生の生徒とのコラボレーションが決定しました。今回は、三重県民手帳、制作の裏側をリポートします。
課題として生徒の皆さんがそれぞれ表紙をデザイン。最優秀賞に選ばれた作品はプロのデザイナーと一緒にブラッシュアップを行い、実際に表紙として採用されます。
2023年7月7日に飯野高校で評議会が行われ、デザイナーのつぼいたけしさんや伊勢型紙職人の那須恵子さんなどの評議委員が、デザイン画への思いなどを生徒とディスカッション。
なかでも印象に残った作品をご紹介します。
伊勢海老
三重の魚・伊勢海老のシンメトリーの構図を上手く使った作品。ガンダムっぽいデザインでもあり、幅広い年齢層に受け入れられそうです。
伊勢茶
全国生産量第3位を誇る伊勢茶。ほっこるするイラストや現代風のポップな配色でカジュアル感があります。
牡蠣
牡蠣をキャラクター化するというユーモラスな作品。生徒さん自らパラパラ漫画も作成するなど、キャラクターを活用した展開も楽しそうです。
オオサンショウウオ
今っぽい感覚で描かれた、プロ顔負けのイラストのクオリティ。細部にまでこだわりを感じ、全体から楽しげな雰囲気を感じます。
この作品を描いた生徒さんにお話をお聞きしたところ、とにかくイラストを描くことが好きで、学校の課題じゃなくても描くことが習慣とのことでした。
好きで描いている、だから作品も楽しい雰囲気になる。こういった心持ちは日々仕事に追われている私は見習いたいところ。「これからもイラストを描きまくります!」と笑いを誘う生徒さんの発言も素敵でした。
さて、実際に採用されたのは、どの作品になったのでしょうか!?
10月4日から県内の書店やネット(BASE)で一斉販売予定です。
お見かけの際は、ぜひお手に取りいただき、地元高校生が考案した生き生きとしたデザインをお確かめください!
三重県民手帳
特設サイト http://www.mie-pia.or.jp/notebook/
Twitter https://twitter.com/miekenmintechou
BASE https://kenmintecho.base.shop/
三重県印刷工業組合HP http://www.mie-pia.or.jp/
三重県印刷工業組合青年部HP https://mieprint-seinen.com/
村山祐介。OTONAMIE代表。
ソンサンと呼ばれていますが、実は外国人ではありません。仕事はグラフィックデザインやライター。趣味は散歩と自転車。昔South★Hillという全く売れないバンドをしていた。この記者が登場する記事