ホーム 04【知る】 プレハブ小屋から始まった、地元に愛されるブランド豚肉専門店。養豚会社が取り組む、地域との繋がり方。

プレハブ小屋から始まった、地元に愛されるブランド豚肉専門店。養豚会社が取り組む、地域との繋がり方。

養豚業者直営の精肉販売店に入ると、加工品やパック詰めされた豚肉が並ぶ。しかし、レジカウンターでは「ミンチ500㌘とロースカツ5枚ちょうだい」と客がスタッフにオーダー。店に隣接する加工場ではオーダーが入ってから豚肉を丁寧にカットしていく。

そんな光景が印象的なのは、松葉ピッグファームが営むブランド豚さくらポークの専門店、ポークプラザ松葉だ。店があるのは養老山麓の麓、三重県最北端のいなべ市。通常の電車より一回り小さいナローゲージが走るのどかな風景が広がる。運営するのは専務の松葉崇道さん。

右から長男の崇道さん、次男の泰幸さん 、三男の幸登さん。

松葉ピッグファームは三兄弟で代を引き継ぎ、社長で次男の泰幸さんと三男の幸登さんが養豚場を継承。幼いときから休みなく働く両親をみて、崇道さんは自分には向いていないと思ったという。東京の不動産会社で営業職をしていた崇道さん。弟達が家業に入り、養豚だけでなく精肉販売へと事業展開を考えていたタイミングで帰郷した。 販売なら挑戦してみたいと思い、静岡県の会社で豚肉の枝肉をさばく修行を行い、県内の食品会社で販売のスキルを磨いた。

その後、実家にプレパブ小屋を建て、母とパートさんの三人でテスト的に精肉を始め、知人に配った。「しゃぶしゃぶ用の肩ロースをもっと食べやすくするには、どうカットしたら良いか。生姜焼きの厚みはこれでいいのか。地味ですが、そういった工夫の繰り返しでした」。 養豚業者が販売する豚肉は、鮮度の良さと食べやすさが口コミで評判になり、地元JA、道の駅、レストランとの取り引きも始まった。実家が山奥だったため加工場を現在の場所に移す際、崇道さんは専門店の併設を決断。

「弟たちが育て上げた豚肉の味をお客さんにわかってもらえたことが、自信に繋がりました。営業活動はあまりせず、地域との繋がりを大切にしています。地元にいるなら何かの役に立ちたい。何より人やお店と繋がっていくことがたのしいです」。実際にポークプラザ松葉では地元のレストランと一緒に、子ども向けの料理教室を開催したり、お総菜などの共同開発も行っている。そして無理な販路開拓は行わず、スーパーマーケットは地元いなべ市内だけに限定して卸している。

崇道さんらは今、県内のさくらポーク生産者の会、四P会の仲間とともに、さくらポークの安定供給とブランディングにも取り組んでいる。競合という枠を超えての挑戦だ。具体的には肥育方法やエサの統一など。特にエサは加熱した植物性タンパク質のみを使うことで、吸収しやすく、よく成長するという。また極力ストレスを与えないために夏は換気を、冬は体温が下がらないように温度調整。おいしい豚肉が育つ条件を泰幸さんに聞いた。

「系統6割、エサ2割、水1割、あとは愛情1割です。新鮮で瑞々しい豚肉なので、まずは薄味で素材の味を味わって欲しいです」。三重県北部で愛されているさくらポークは、地域との繋がりを大切に成長している。

 


 

ポークプラザ松葉
いなべ市北勢町阿下喜3000
https://www.sakurapork.co.jp/
0594-72-3032

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