ホーム 00DayTrip 新事実発見!!多気町 相可名物 まつかさ餅はミネラル豊富なお餅?!お餅のようでお餅でない?!三重県でも珍しい黒糖餡についても深掘りしてみた

新事実発見!!多気町 相可名物 まつかさ餅はミネラル豊富なお餅?!お餅のようでお餅でない?!三重県でも珍しい黒糖餡についても深掘りしてみた

◎「長新」の歴史について

三重県多気郡多気町相可において「まつかさ餅」で有名な「長新」を訪れた。創業は元禄年間(1688年〜1704年)。「生類憐みの令」で有名な5代将軍 徳川綱吉の時代である。2023年からさかのぼっても、少なくとも約320年前というから、三重県でも超老舗の和菓子屋さん。

江戸時代からお伊勢参りや熊野詣の旅人に親しまれ、まんじゅうの上に米粒を乗せてまつぼっくりの様に見せたことから「まつかさ餅」と名づけられたそうです。

 

現在の当主は8代目の村岡伸祐さん43歳。現在の当主で8代目。村岡家は広島県 因幡藩の武士の出で、家紋は「三つ盛り二重亀甲に剣花菱(みつもりきっこうにけんはなびし)」という家紋。お寺に保存されている、過去帳は47人遡れるそうです。なんだかお家柄もとても歴史がありそうですね。

お餅もお店もお家柄も、興味深々の「長新」さんを今日は深掘りしてご紹介いたします。「まつかさ餅」は私が物心ついた頃から食べている40年以上のお付き合いになる和菓子ですが、今回の取材では伝統を守る事への努力や工夫、そしてこだわり等をお聞かせ頂き、驚きの連続でした。

◎店舗の様子

いつ訪問しても、綺麗な店舗、元気な「いらっっしゃいませ!」の声、ご家族の素敵な笑顔が出迎えてくれます。多気町相可名物「まつかさ餅」をお目当てに来る方もいらっしゃる一方で、リピーターのお客様はご家族に会いにご来店される方もいらっしゃるのではないかと思います。

◎「名物 まつかさ餅」のこだわりについて

餡の製造は8代目の村岡伸祐さん、お餅の皮を伸祐さんのお父さんである、7代目村岡邦彦さんが担当されています。

餡の製造は季節によって湿気や温度も違うため火加減と水加減を調整して製造されているとの事。また、餡の原料である黒糖は、沖縄県の波照間島から取り寄せられていて、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めて造られており、季節や天候によってエグ味や甘みも違う為、味の塩梅(あんばい)が難しいというお話を聞くことができました。

例えばそれは、りんごが一つ一つ甘みや食感が違うのと同じだそうです。その違いを白ザラ糖という砂糖で甘みを調整されるのですが、温度や湿度、甘み等を調整し、いつもと変わらぬ味を再現されるところに職人技を感じます。また、黒糖にはカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル、ビタミンB1やビタミンB2といったビタミンB群も豊富に含まれていますので、「まつかさ餅」は食べる事で健康にも良いかもしれませんね。

今回は、特別に餡の原料である黒糖をみせて頂きました。黒糖は波照間島から一枚の板で送られてくるそうです。それを、毎回専用のドリルで細かく砕いた後で製造をされているとの事。奥の店舗から取り出してきて見せていただいたのがこちら

 

重さは30キロ。成人男性でも鍛えてないとなかなか持ち上げるのは大変な重さ。波照間島の黒糖を使われているのは、色々な黒糖を試した結果、波照間産の黒糖が一番「まつかさ餅」に合ったのだそうです。

また、「まつかさ餅」の皮については、地元三重県や多気町の契約農家さんから取り寄せられ、お店で製粉されたお米から作られています。

私も初めて知った事実だったのですが、実は「まつかさ餅」は餅米ではなく、お団子と同じようにうるち米の粉から作られています。

保存料や添加物を一切入れずに作られている「安心・安全」の「まつかさ餅」は賞味期限は当日のみとなっております。理由は添加物を使われていない事もありますが、「まつかさ餅」の皮はお米で作られていますので、硬くなりやすいというという点もあります。それは、炊いたご飯も時間が経つと硬くなりますよね?それと同じなんです。それが安心・安全の証。

でも、硬くなっても大丈夫です。保存方法もお聞きしてきました。原料はご飯ですので、保存は炊飯器に入れておくと硬くなりにくいそうです。ラップに包んで保温すると良いかもしれません。その他、食べ方については、焼きおにぎりと同じ様に「焼いて食べる」のもお勧めだそうです。お客様の中には「うちは焼いて食べるんだ」という方もいらっしゃるそうですので、新しい食べ方として是非お試しください。

いろんな過程や工程を経て作られる「まつかさ餅」のこだわりは今までの私の想像を大きく超えていて、お菓子を作ることの奥深さを感じました。

店主おすすめの食べごろは、出来立てよりは少し時間が経った頃がお勧めとの事。「まつかさも餅」の皮の『プツっ』という歯応えと、蒸して作られている事でしっとり感を合わせもち、美味しく食べて頂けるそうです。お客様にはいつも美味しい状態で食べて頂きたいという店主の想いから、取り置きをせず、1日に何度も蒸しあげて、しばらく置いて冷ました上で、お客様に最高な状態で食べて頂けるように工夫されています。

私も「まつかさ餅」はしばらく置いたお餅が好みで、歯応えがあり、とても満足感があります。また、店主がお勧めする点に加えて私は「まつかさ餅」の『香り』も楽しまれるのをおすすめします。包みを開けた時の、炊き立てのお米の様な香りを感じると食欲をかき立てられて思わずお餅に手が伸びてしまいます。これも、お取り置きせず、いつも作りたて、出来立ての「まつかさ餅」だからこそ味わえる事ですよね。

 

◯これからの「長新」の目標は?

最後に、事業主としてこれからの伸祐さんの「長新」の目標を聞かせて頂きました。

家族経営ですので事業は大きくしたりはせずに、大事なことはしっかり守って行きたいとの事。しかし、新しいことにも挑戦されていて、最近は「桜の花の塩漬け」を乗せた「まつかさ餅」を販売したりもしていらっしゃいます。甘みに塩味が加わってお客様には好評を頂いているそうです。ここ2年くらいは新型コロナウイルスの影響もあり、お休みしていましたが、来年の3月くらいには再開されるそうですので今から楽しみですね!

店主の伸祐さんは、「既存のお客間を大事にして、新規の方にも来ていただける工夫を考えてこれからも頑張ります!」との事。伝統は守りながらも、少しずつですがお客様に喜んでもらえる事を考えて工夫をされ、リピーターの方を大事にされる姿勢が素晴らしく、店主の気持ちの若さや、チャレンジ精神も感じられました。

インタビューの後、お母さんのお話も伺えました。名物「まつかさ餅」は遠い昔は多気町相可にある、浄光院(天台宗)の門前町で振る舞われていたお餅で、角川文庫から発売されている「茶の湯人物志」とい本の中にも「松笠餅」として登場しています。山田宗徧(やまだそうへん)という茶人がお茶菓子として「松笠餅」を振る舞い、好評を得たと書いてあるそうです。このお茶会が慶安・承応の頃(1648年〜55年)というから「まつかさ餅」の歴史を改めて感じました。また、昔はサトウキビもこの多気町で栽培され、地元で取れたサトウキビを使って「まつかさ餅」を作っていたのだそうです。

 

 

冒頭でお話をした、「三つ盛り二重亀甲に剣花菱(みつもりきっこうにけんはなびし)」という家紋が入った、重箱の入った立派な箱も見せていただきました。お菓子や料理だけでなく、大事なものを運ぶ際に使われていたそうです。箱からも「長新」さんの歴史を感じられますよね。今回、インタビューさせて頂き、歴史だけでなく食材、製法、食べ方、新たな新商品に至る様々な情報を聞く事ができました。ご紹介した本や重箱、サトウキビのブロックなども見せていただけると思います。お店にお越しの際にはお餅だけでなく、ご家族の温かい笑顔や、長新の歴史にも触れてみてください。

 

 

 

【長新】

住所:〒519−2181 三重県多気郡多気町相可564

電話番号:0598−38-2018

HP URLhttp://matsukasamochi.la.coocan.jp/

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