豊かな自然と神話が息づく三重県。
日本には近代化を実施した19世紀後半まで、約1000年続いた68の国が存在しました。国ごとに独自の文化や歴史を持ち、三重県は4つもの国(伊勢・伊賀・志摩・紀伊)が共生する国内でも珍しい県です。そして今も独特な文化が県内各地に息づいています。
南北に長い三重県の地形は、西部一帯に山が連なり、東部は伊勢湾と熊野灘、南部は紀伊山地とリアス海岸があります。命の母である海では太陽の力で蒸発した潮水は雲になり、山に降った雨は養分を含む水となり、野に流れ、海に流れ着きます。その過程で農作物や畜産物、海では食物連鎖をつくり多用な海産物が育ちます。地形と自然がもたらす恵みの水が多くの命を育む三重県は「美し国」と呼ばれています。
伊勢の国は江戸中期から明治期(1651〜1912年)に、日本全国から伊勢神宮に参る「お伊勢参り」が大流行し、今も年間観光客数が1,000万人を超えることもある日本の一大観光地です。
国土の大部分が山であり、海に囲まれた島国日本。自然への畏怖や畏敬の念を大切にする日本人の心。豊かな食材や自然、そして古からの信仰が根付く三重県は、まるで美しき日本の縮図のようです。
伊勢志摩
伊勢市
玉城町
度会町
鳥羽市
志摩市
南伊勢町
伊勢神宮
日本人の心のふるさとと称され、約2000年の歴史を持つ伊勢神宮。日本人の総氏神と崇められる「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」を祀る皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮)と、衣食住、産業の守り神「豊受大御神(とようけのおおみかみ)」を祀る豊受⼤神宮(とようけだいじんぐう)(外宮)へは、国内外から多くの人々が参拝に訪れています。
「参道の真ん中に生えている樹木」
人の主体的より自然との調和を重んじる日本人の精神を感じられる。
伊勢神宮では、年間1500もの神事が執り行われますが、最も重要な行事は10月の神嘗祭(かんなめさい)で、初穂を神に奉納し、自然の恵みに感謝します。
また、志摩地方は古代から平安時代(〜1192年)まで皇室・朝廷へ海産物を献上していた御食つ国です。日本最大の湾である伊勢湾の湾口に位置し、森の養分を多く含んだ水が流れ込み、海藻が育ち、豊富なプランクトンは小魚の餌になります。リアス海岸の岩礁に棲む伊勢海老や、海藻をエサとする鮑の産地として全国的に有名です。
鮑や海藻を素潜りで獲る2000年以上の歴史を持つ海女の人数は日本では最多で、魔除けの印、セーマン・ドーマンを身に付けたり、灰を額に付けて安全を祈る儀式を行うなどどこか神秘的です。
御木本幸吉が真珠養殖に世界で初めて成功した地で、今もこの地域では養殖真珠が盛んで、世界中の人々を魅了しています。伊勢志摩は戦後初の国立公園に指定され、旅行客が集うリゾート地として発展し、食材の宝庫であることから美しい自然と美食を求めて多くの人が訪れます。
Tourist Attractions
「夫婦岩」
二見浦に夫婦のように鎮座する伊勢志摩を代表するスポット
「おかげ横丁」
伊勢神宮内宮前にあり、江戸や明治期の雰囲気が味わえる土産物や飲食店街
「漁業体験」
漁師と一緒に漁船に乗り込み漁などを体験できる
北勢
いなべ市
桑名市
東員町
菰野町
木曽岬町
朝日町
川越町
四日市市
鈴鹿市
亀山市
伊勢茶
世界に広がりつつある抹茶。三重県産の抹茶も海外に輸出され、カフェなどで使われています。三重県で生産されるお茶の総称は「伊勢茶」で生産量は全国3位。なかでも北勢地域で生産される「かぶせ茶」の国内シェアは日本一を誇ります。
「茶畑に囲まれた古民家カフェ」
かぶせ茶の産地で茶畑を眺めながらお茶を愉しむことができます。
多くの伝統的な産業が今に生きる北勢地域。国指定伝統的工芸品である四日市萬古焼は、100社以上の窯元があり、なかでも土鍋の生産高は、国内産土鍋の約80%を占めています。
鈴鹿市で生産される鈴鹿墨と伊勢形紙も国指定伝統的工芸品です。鈴鹿墨の発祥は延暦年間(780年頃)で、上品で深みがあり発色が良いことから多くの書道家が愛用しています。1500年代の後半には始まっていたとされる伊勢形紙は、0.1㎜以下にもなる細やかな彫刻を施した形紙で、美しい文様に染め上げた着物は国内外で愛されています。
こちらも繊細な職人の技が生きる組子は、神社仏閣や住居などの建具として使われ、光と影を取り込む日本家屋の特徴を利用し、見る者を感動させます。桑名市では昔、刀を生産しており、刀好きの間で名高い宝刀「村正」が実在しています。
また、木曽三川の養分豊富な水が流れ込む干潟で育つハマグリや、海外からも多くの注文が集まる日本酒ZAKUが有名です。
Tourist Attractions
「鈴鹿サーキット」
F1日本グランプリなどが開催される国際レーシングコースや遊園地、ホテルなどがあるレジャー施設
「東海道 関宿」
街道の宿場町として賑わった昔ながらの街並みが残る観光地
「湯の山温泉」
開湯1300年の歴史があり三重県を代表する御在所岳山麓の温泉街
中南勢
津市
松阪市
明和町
多気町
大台町
大紀町
松阪牛
肉の芸術品と評される松阪牛は、日本で一番の人気を誇る最高級和牛です。本場では、個室のお座敷で炭火を使って仲居さんが目の前で作る、すき焼きが人気です。また地元では下町焼き肉文化があり、鶏の焼き肉も親しまれています。
「松阪の下町焼き肉文化」
地元で愛されている鶏焼肉。若鶏や親鳥、部位の味の違いを愉しめる。
県都・津市や松阪市は城下町として栄え、お伊勢参りの参宮街道は多くの参拝者で賑わいました。人が集まると同時に情報も集まり、江戸(現:東京)での木綿着物の需要をいち早く知った松阪や津の商人は木綿商として成功し豪商に発展しました。
津市にある真宗髙田派本山「専修寺(せんじゅじ)」は、高田本山の名で親しまれ、如来堂、御影堂は国宝に指定されています。 明和町には伊勢神宮の天照大御神に仕える未婚の皇族女性「斎王」が暮らしていた遺跡「斎宮跡」があります。動物の皮を紙で模した擬革紙(ぎかくし)は斎王のまちで殺生はしないという理由で作られましたが、今はSDGs的な観点で海外からも注目が集まっています。
西側は山が連なり、林業や昔ながらの田舎暮らしが残っています。清流日本一に選ばれた宮川や櫛田川の景観は美しく、カヌーやSUP、渓流釣りなどを楽しむ人たちが訪れます。
Tourist Attractions
「豪商のまち松阪」
旧長谷川治郎兵衛家や旧小津清左衛門家など豪商の邸宅を見学できる
「美杉いなかツーリズム」
津市山間部、美杉町の田舎暮らしをまるっと体験できる
「大杉谷」
日本三大渓谷のひとつで近畿の秘境と呼ばれ、登山客が訪れる
伊賀
伊賀市
名張市
忍者
忍者の里、伊賀市にある伊賀流忍者博物館には国内外から多くの観光客が訪れ、からくり忍者屋敷での忍者の実演などを楽しんでいます。また、映画やアニメではわからない忍者の本質について理解を深めることができます。
「伊賀流忍者博物館」
資料館では忍者の忍術や火薬の調合など本来の忍者の姿が学べる。
四方を山で囲まれた盆地に位置する伊賀地域は約400万年前、琵琶湖の底であったことから、採取される粗土が陶器づくりに向いており、無骨で力強い伊賀焼独特の肌合いになります。山から流れる豊富な水、粘土質の土壌、寒暖差など地域の風土を生かした酒や米づくりも盛んで、酒蔵は10軒も現存しています。都市部のレストランでは幻の和牛と称される伊賀牛の産地でもあり、仕入れは肉屋が直接牛舎にて1頭買い付ける独特のスタイル。そのほとんどが地域内で消費されています。芳醇な香りとコク、柔らかな肉質、赤身と脂肪のバランスがよく、和牛本来の上質な味わいは食通を呻らせます。
伊賀は城下町で戦火を逃れたこともあり風情ある町並が残り、和菓子店が多いのも特徴。職人がヘラ1本で仕上げる上生菓子からは、四季を感じます。
名張市にある赤目四十八滝は、かつては修験者が修行を行った場所で、23瀑もの滝を見ることができます。
Tourist Attractions
「伊賀上野城」
約30mの高さを誇る石垣に天守閣がそびえ立つ
「陶芸体験」
伊賀焼の本場で陶芸体験ができる
「ぶどう狩り」
ぶどうの産地である名張市ではぶどう狩りやイチゴ狩りが人気
東紀州
紀北町
尾鷲市
熊野市
御浜町
紀宝町
原始自然信仰
古来から巨岩や山、海など人知を超えた雄大な自然を神聖視する自然信仰がありました。 日本人の根底にある自然への畏怖や畏敬の念は、深い山々と黒潮洗う海が間近に迫る紀伊半島に色濃く残っています。
「花の窟(はなのいわや)神社」
神々の母である伊弉冊尊(イザナミノミコト)の御陵。御神体は高さ45mもの巨大な磐座。
聖地熊野三山への参詣道「熊野古道」は世界遺産に登録され、三重県には「熊野古道伊勢路」があります。江戸時代から、お伊勢参りの後に伊勢路を通って熊野三山へ向かう熊野詣が盛んになりました。熊野古道は、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路と同様に歩ける世界遺産であり、国内だけでなく海外からも観光客が訪れます。
周辺のリアス海岸沿いに点在する小さな漁村には、山と海に挟まれた僅かな土地に、昔ながらの家屋が所狭しと建ち並ぶ日本の海沿岸部の原風景が残っています。漁業が盛んなこの地域では、多くの魚種が水揚げされ、珍しい魚種も食されています。東紀州地域はヒノキを中心とした林業も盛んで、加工産業もあり、伝統技法の尾鷲わっぱなどが人気です。
また、世界最大規模の海流「黒潮」が運ぶ温暖な風と、燦々と降り注ぐ太陽の力で様々な柑橘類が生産されています。その柑橘をエサに加え、のびのび育てる地鶏「熊野地鶏」は弾力に富み、地鶏本来のコクと風味があることが特徴です。
Tourist Attractions
「鬼ヶ城」
世界遺産に登録されているリアス海岸を象徴する自然の造形美
「トロッコ電車」
温泉とホテルを結ぶ小さな電車はかつて鉱山労働者の通勤で使われていた
「楯ヶ崎観光遊覧船」
熊野灘にそびえ立つ楯ヶ崎や日本の青の洞窟と称されるスポット巡り
詳しくはこちらから簡単アクセス
三重県
https://www.pref.mie.lg.jp
伊勢志摩観光コンペティション機構
https://www.pref.mie.lg.jp
志摩市
https://www.city.shima.mie.jp
三重県観光連盟
https://www.kankomie.or.jp
三重の食結び
https://www.shoku.pref.mie.lg.jp/jp/
【発行】
三重県雇用経済部
G7交通大臣会合推進プロジェクトチーム
514-8570 三重県津市広明町13番地(本庁8階)
この記事は令和5年3月20日時点の情報をもとに作成しています
三重に暮らす・旅するWEBマガジンOTONAMIEの、広報的なお知らせを投稿していきます。